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地政学を英国で学んだ
しばらくお待ち下さい。
2012年05月24日 これから「戦略」の話をしよう-アメ通「白熱教室」

今回はいつもの「アメ通」とは趣向を大幅に変えて、
ちょっとしたゼミ形式で、読者の皆さんと
熱き「知のバトル」を展開させたいと思う。

それではさっそく、読者の皆さんに、
「課題図書」ならぬ、
「課題テキスト」を提示したい。

その「課題テキスト」とは、
下記に提示する、私のブログのエントリーである。

▼地政学を英国で学んだ :
「オフショア・コントロール」という新しい戦略
(その1)http://geopoli.exblog.jp/18278524/
(その2)http://geopoli.exblog.jp/18284798/

既にご存知の方も居らっしゃるかと思うが、
今回は、まず上記二つの内容をお読み頂きたい。

そしてその内容から、
ご自身が重要と思われるポイントなどを、
ざっくりとで構わないので、
自らの「脳」力でリストアップして頂きたい。

それを行って頂いた上で、この論文で説かれている
「オフショア・コントロール」という戦略概念についての、
私の「まとめ」を聴いて頂きたい。

毎週、こうして「アメ通」を読み続けて頂けるだけの
センスと知力ある読者の皆さんならば、
このような「課題」は朝メシ前であろう。

それでは上記URLをクリックして、ブログの本文をお読み頂き、
今回の「課題」に取り組んで頂きたい・・・
・・・
・・・・
・・・・・
・・・・・・

              -*- -*- -*-

さて、いかがであっただろうか。

今、お読み頂いたテキストの元になっている論文は、
比較的最近創刊された『Infnity Journal』という、
イギリス/イスラエルで発行されている戦略学の専門誌の
今年の四月号に掲載されたものである。

著者はトマス・ハメス(Thomas X. Hammes)という米海兵隊の元大佐で、
現在はアメリカの国防大学にあるシンクタンクに所属する人物だ。

ちなみに彼は二〇〇七年に、当時のブッシュ政権の
ドナルド・ラムズフェルド国防省長官のやりかたに不満を唱え、
議会に直訴した末に軍を辞め、大いに注目された人物である。

軍人だけでなく理論家としても知られており、
彼の出版した「Sling and Stones」という本は、
世界中の戦略研究の関係者でも話題になったほどだ。

話を論文のほうへ戻す。

日本の一部の国防関係者の間で、
昨年から注目されているアメリカの戦略概念に、
いわゆる「エアシーバトル」(AirSea Battle)
というコンセプトが存在する。

このコンセプトは、アメリカが中国(およびイラン)
との戦争が勃発した時に備えたものである、
というのがもっぱらのウワサだが、
このコンセプトを元にして、
ハメスがさらに論を進めて発展させたものが、
今回のテーマとして取り上げた論文なのだ。

 -*- -*- -*-

それでは私の「まとめ」を記してみたい。

その前に、稀代の戦略思想家である
クラウゼヴィッツが残した格言を皆様に思い出していただきたい。
それは、
「戦争は他の手段による政治の延長である」
というものだ。

この「エアシーバトル」というコンセプトは、あくまでも
「いざ戦争が勃発したときに、米軍は作戦面でどう対処するか」
という、戦闘(=バトル)の「やり方」を取り扱った、
いわゆる「作戦レベル」の概念だ。

しかし、このコンセプトでは、
如何にして「戦争(政治面を含んだ)」に勝つのか?
という考慮が決定的に欠けているために、「低位」の概念となるのだ。

それを補うべく、ハメスが提唱した、
より「高位」となる「戦略」概念が、
この「オフショア・コントロール」というわけである。

「作戦レベル」のみにフォーカスした「エアシーバトル」と比較して、
この「オフショア・コントロール」という概念は、
「戦争の勝ち方」という「軍事戦略」のレベルを扱っているため、
そのレベルは「エアシーバトル」よりも「高位」になるのだ。

さて、この大前提をしっかり抑えて頂いた上で、
私の「まとめ」に移りたい。

              -*- -*- -*-

読者の皆さんに、ポイントをスッキリと納得して頂くために、
今回わたしは自分なりの「まとめ」を、
箇条書きの「レジュメ」スタイルで統一し、
以下のように十個の要点に整理してみたので
じっくりとお読み頂きたい。

■■オフショア・コントロール:新たな戦略の提案■■

(1):まずこの新しい戦略が必要になる理由として
    ハメス自身が挙げているのは、主に三つ。

  1-1オバマ政権はアジア・太平洋地域への戦略シフトを明言。
  だが具体的な「戦略」がまだ国防省から出ていない
  (エアシーバトルは単なる"作戦"コンセプト)。

  1-2近年の中国の軍事力の劇的なアップ

  1-3米軍の予算削減。

(2):この戦略の狙い

米中間で紛争が起こった場合に、アメリカとその同盟国側にとって、
受け入れられる形で紛争を終結させること。

(3):ハメスによれば「軍事戦略」に必要な機能は以下の三つ。

  3-1紛争解決を成功させるための「ガイダンス」としての機能

  3-2紛争が起こる前の「抑止」の機能

  3-3「同盟構築」という機能

(4):この戦略のアメリカ側のもつ「前提」(assumptions)は三つ。

  4-1戦争を始めるのは、中国である。

  4-2中国との戦争は、長期戦になる。

  4-3アメリカ側は、北京政府がどのように
  核の使用を決定するのか絶対にわからない。

(5):「オフショア・コントロール」という戦略で実行されること

  5-1→中国の海上貿易を阻止し、アメリカの味方となる国々の領土を守る。

  5-2「決定的な勝利」ではなく、経済消耗戦に持ち込む。

  5-3中国本土のインフラへのダメージを最小限にして、
  互いに「行き詰まり」の状態をつくる。

  5-4核戦争へのエスカレーションの防止と、
  戦争の終結を容易にするため、中国の領空内への侵入は行わない。

  5-5海兵隊や陸軍の兵士を、臨検用の人員として使う。

  5-6物理的な"破壊"ではなく、経済の"消耗戦"という形で完結させる

  5-7中国側は「アメリカ(とその同盟国たち)教訓を与えた!」と宣言して終了。

  5-8敵対関係をすぐに停止し、国境の状態を戦争前の状態に戻す。

  5-9中国本土へのインフラ攻撃は最小限であるため、その後の貿易も復活させやすい。

(6):戦争に突入した際に、具体的に使用される手段は以下の三つ。

  6-1拒否(deny)のためには「第一列島線」内で航行排他海域を確立。
   具体的には高性能の潜水艦と機雷、それに空軍力を使って、中国の艦船を沈める。

  6-2防御(defend)では、協力してくれる同盟国の領土を守るためにあらゆる手段を使う。
   中国側は長距離を越えて戦わなければならないのに対し、
   アメリカと同盟国側は自国の近くで戦える。

  6-3圧倒(dominate)では、中国の兵器が届く範囲の外側の、
   インドネシア列島からアメリカ西海岸までの海域にあるいくつかのチョークポイントで、
商船などの通行を阻止。
   アメリカのもつ資産をフル活用すれば、
   中国のもつ900隻の商船はコントロール可能。

(7):これからアメリカが進めるべきこと

  7-1協力してくれる同盟国の、軍備の強化

  7-2距離が離れた位置からの、海上封鎖能力の確立

  7-3「第一列島線」の内側での、海洋排他圏の確立

  7-4「第一列島線」の外側で圧倒し、中国に対する海上封鎖を強める

(8):その他の注意点や提案

  8-1中国は核武装国家であるため、
   中国共産党政府を崩壊させるのは狙ってはダメ。

  8-2平時からの準備が必要:外交面や軍事面で
   すぐにこの準備にとりかからなければならない。

  8-3この戦略では透明性が大事。
   同盟国に説明して軍備増強してもらい軍事演習などを行うべし。

  8-4この戦略では(オーストラリア以外には)同盟国の基地を必要としない。

  8-5同盟国に必要なのは、地上の防空システムと
   短距離の海洋防衛(機雷設置/除去など)だけ。

  8-6同盟国は地理的に中国に近いため、
   経済的にも結びつきが深いから、なるべく迷惑をかけない。

  8-9エアシーバトルのように中国本土を攻撃してしまえば、
   中国のリーダーたちに「われわれは敵に教訓を与えた!」
   と宣言させて戦争を手じまいさせるのは難しくなる

  8-10エアシーバトルはサイバーや
   空の分野に依存しているため、第一攻撃側が有利。

9:この戦略の利点

  9-1攻撃しないで出てくるところを「拒否」するだけなのでコストは安い

  9-2現在持っている軍備だけでOK。新しい兵器の購入は必要ないから安上がり

  9-3アメリカ側は無理して攻め込まず、「拒否」して受ける側だから楽。

  9-4もし中国側の対潜能力が向上したら、東シナ海や南シナ海の入り口まで引けばいいだけ。

  9-5シーパワーで優位なため、中国に海上封鎖を行っても世界の貿易システムはすぐに修正可能。

  9-6歴史上核武装国家同士の戦いは二回あったが、両ケースともリーダーたちは慎重だった。

10:今後の問題点

  10-1第一に、これからのアメリカの国防予算の増減の見通しがわからないということ。

  10-2第二に、長期戦になった場合に、経済に与えるインパクトがどうなるか不透明。

              -*- -*- -*-

さて、一気にお話してしまったが、
皆さんがご自身でリストアップした項目と比べて如何であっただろうか。
「アメ通」読者の皆さんの「戦略眼」は既にかなり鍛えられているので、
概ね、私の分析と似通ったものになっているのではなかろうか。

一点、補足しておくと、
この戦略はあくまでもハメスという個人の
一つの「提案」でしかない、ということだ。
よって、必ずしもこの戦略が実行されるわけではない、
ということは心得ておいていただきたい。

ただし、ブログ上でも少し触れているが、
オーストラリアでは、すでに米軍が中心となって
明らかに、中国との戦争を想定した訓練なども
展開されているような様子が見てとれるのは
非常に興味深いところではあるが。


              -*- -*- -*-

これで、今日の「講義」を終わりにしてしまっては、
「物足りない!」とのお叱りを受けてしまうこと必至なので、
わたしなりに、ここに挙げた十項目をベースとして、
このような戦略を提示しているアメリカの意図はどこにあるのか?
という点に関する、私なりの分析を更に提示してみたい。

形式を統一するという意味もあるので、再び箇条書きにしてみた。

--------------------------------------------------------
1、もし戦うなら、中国側から先に仕掛けさせたい
  (真珠湾攻撃の再現/大義の獲得)。

2、決戦よりも(長期の?)経済戦にしたい。

3、シーパワーをフル活用したい。海上封鎖したい。

4、相手は核武装国家。核戦争は危険なので、絶対にエスカレートさせたくない。

5、中国に花を持たせて、実はしっかりと取りたい。

6、金がないので、今持っている兵器でなんとか引き分け以上に持ち込みたい。

7、ユーラシア大陸(中国本土)では戦いたくない/攻め込みたくない。

8、同盟国に足かせをされたくない。戦う時は自由にやらせてほしい。

9、ただし平時から同盟国と軍事演習をやることなどで、
  中国に対して牽制しておきたい。

10、サイバー関係に頼ると先制攻撃されてダメージが大きいので、
   あまりそれには頼りたくない。

11、安いコストで勝ちたい。
----------------------------------------------------------------------

以上の一一項目にまとめてみたが、
私が導いたこの分析結果の内容そのものは、
実はそれほど重要なことではない。

今回の「講義」で、
私が「アメ通」読者の皆さんに伝えたかったのは、
まずは自分の頭で考えてみる、ということだ。

そして、その結果を一人の人間としてどう認識し、
この冷酷な現実世界で、「リアリスト」として如何に行動するか?
その指針、軸を定めて頂きたいがために、
このようなことを行ったのである。

自分の頭で考えることをやめた人間は退化し、
その当然の帰結として、
そのような退化した人間ばかりになった国は
いずれ滅びるのを待つばかりなのだ。

(おくやま)

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さて、早速ですが、・ネオコンをはじめとする勢力が狙ってきた米国の世界一極覇権支配は、長くは続かない。・中国が膨張し、アジアの覇権をねらい、世界は多極構造になる。 90年代から上記のように予想し、米国内でも論争してきたのがリアリスト学派です。

リアリスト学派は、国家のパワー(軍事力、政治力、人口規模、経済力等)がもっとも大事な要素と考え、

正義やイデオロギー、理念は関係ない。国際関係はパワーで決まり、パワーを予測し戦略を立てよう

と考える学派で、19世紀の英国の行ったバランス・オブ・パワーを活用した大戦略を信条とします。

ところが「リアリスト」を自認する日本の親米保守派は、
「経済中心主義」で「安保無料(だだ)乗り」をし続けていますが、
実は、彼らは、以下の2点で決定的、かつ、致命的な誤りを犯していたのです。
そして、そうした日本の政策は、冷酷な米国のリアリストから、
単なる「バンドワゴニング」に過ぎない、と足元を見透かされているのです。

その2点とは、

(1)日本はアングロサクソン(米英)についていれば大丈夫。

(2)米国は「民主制度」と「法治」、「人権」を重んずる日本を信頼し、
   一党独裁の共産主義中国を嫌っている。

ということです。

まず、(1)については、
日英同盟時も上手くいった。だから、これからも米国についてゆけば大丈夫!
万事問題ないというものです。

しかし、我が日本が戦後60年間、幸いにして戦争に巻き込まれなかったのは、
ほとんど偶然の産物であったということは、強く認識しておく必要があります。

米国は国益に係わることならば、いとも簡単に「友達」を切り捨て、裏切る国である。
国論が変われば友好国をあっさり切り捨ててきたことは、これまでの歴史の事実が証明しています。

・日中戦争では、蒋介石を応援しつつも、途中から毛沢東支援にまわった。

・ソ連打倒のためには台湾(中華民国)を切り捨て、中華人民共和国と国交を結んだ。

・ベトナム戦争では出口がみえなくなり、結局南ベトナム支援からあっさり撤退した。

・米国が支援していた南ベトナムは崩壊し、大量の難民があふれ出た。

・イラン・イラク戦争の時、イランが戦争に勝って影響力が拡大することを恐れた米国は、
 サダムフセインに(イラク)に軍事的な支援をした。
 しかし、支援した米国は干渉してこないと思ったフセインは、その後クウェートに侵攻し、
 湾岸戦争、イラク侵攻と2度の戦争で米国に打ちのめされ、最後は米軍に捕まり処刑された。

如何でしょうか?

これでもまだあなたは、アメリカはずっと「友達」でいてくれる!

と思えますか?

次に、(2)についてですが、
欧米メディアなどの報道によれば、米国内における中国の工作員の数は激増しています。
更には、人民解放軍には「政治工作条例」なるものまであります。
彼らは世論戦、心理戦、法律戦からなる「三戦」の任務を与えられ、
まさに今、中国は国策として、米国内で「世論戦」を仕掛けている、というのが冷酷な事実です。

正義や真実でなく、ウソでも現実をつくれると考える中国の
カネも人員もかけたまさに「人海戦術」的な、この国家戦略が功を奏し、
すでに米国世論では「尖閣は日本が強奪した島だ」ということに傾き始めている・・・
この危険な状況を皆さんはご存知でしょうか?

-*- -*-

例えば、韓国との従軍慰安婦問題をみるまでもなく、
日本国内で、いわゆる「保守派」といわれる人達が、
どれだけ「真実」を主張しても、
同じ日本人であるはずの国内左翼勢力がこの外患に呼応するという、
典型的なパターンに陥っている事例は、枚挙に暇がありません。

白州次郎は「日本をプリンシプルのない国」と言いました。
しかし、残念ながら、この分析は現在の日本にも今だに当てはまっているのです。

これらの冷酷な事実を踏まえ、
本サイトで皆さんとともに真剣に考えていきたいのは、以下の2点です。

・日本はいかにして「パワー」を獲得すればいいのか?

・どんな国家像を描き、グランド・ストラテジーを立てればよいのか?

この二つの質問を念頭に据えて、米国のリアリスト思考を学び、
日本におけるリアリスト思考を広げ、リアリスト学派をつくっていく。

これが、このサイト、www.realist.jpの目的です。
あなたも是非議論に加わって下さい。



リアリスト思考を最初に日本にもたらした、
シカゴ学派、元フーバー研究所上席研究員、故・片岡鉄哉先生に捧ぐ

日本がこのままの状態でいけば、
少なくとも十年以内に、二流、三流の地位まで確実に堕ちていくことになる。
現在の日本の状況を冷静に見れば、
どう考えてもそういう結論しか出てこないのだ。
しかし、日本はそのまま堕ちっぱなしというわけではない。

何年後になるかわからないが、日本はしぶとく復活するはずである。
国家というのはいつまでも堕ちっぱなしということはなく、
反省して自覚した国民が生まれ、それが国を復興することになるからである。

そのときに、決定的に必要となつてくるのが「理想」である。

地政学の祖であるマッキンダーは、
「人類を導くことができるのは、ただ理想の持つ魅力だけだ」
と言っている。

しかし彼は、同時に現実を冷静に見る目を
忘れてはならないことを鋭く警告している。
それが地理と歴史を冷静に分析した、
地政学という学問が与えてくれる視点なのである。
彼が一九一九年に発表した『デモクラシーの理想と現実』
という本の題名は、このような理想と現実のバランスの大切さを訴えている。

世界はこれから「カオス化」していく。
これはつまり、世界はこれからますます複雑化した
先の見えない場になるということである。

そして日本は、「カオス化」された状況の中で
自立を目指さなければならないし、
むしろ自立せざるを得ない状況に追い込まれることになるかもしれない。
そして、その中で世界に伍していくためには、
日本人は何よりもまず、リアリズムの思考法を身につけなければならない。

日本人は自分で責任を持って戦略を考えるという思考を捨ててしまい、
安易に平和的な解決だけを求めるという体質が染みついてしまった。
たとえば、外交における戦略も「善か悪か」で判断するため、
善を探そうとするあまり、次の一手がどうしても遅くなる。

しかも、日本が「善かれ」と思って世界に主張したことは、
まずもって善として見られていない。
他国はリアリズムの視点で「日本が何を狙っているのか」
と冷酷に見ているのだ。
だからこそ、わが国も外交戦略を「善悪」ではなく、
「強弱」で見るように訓練しなければならない。
「強弱」とは、現在わが国にとって、
この政策は他国と比べて立場を強めてくれるのか
弱めるものかという冷静な判断である。

弱いのであれば、より強い政策を打ち出さなければならないし、
強いものであれば、政策をより国益に近づけなければならない。
こうしたリアリズムの思考を身につけることは、
むしろ「国際的なマナー」なのである。