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地政学を英国で学んだ
しばらくお待ち下さい。
2012年07月08日 「地政学入門講座」のご案内

「アメ通」読者の皆さま、おはようございます。
管理人です。

関東地方は、今日もスッキリしないお天気ですね...。
こんな日は、家に篭って、先日発売された、おくやまさん訳の

▼インド洋圏が、世界を動かす
 : モンスーンが結ぶ躍進国家群はどこへ向かうのか
(http://goo.gl/g3hDJ)

をじっくり読もうかと思っております。
管理人もさっそく購入して、目次をざっと見たのですが、
内容盛りだくさんで、読む前からワクワクしております。
読者の皆さまも、お読みになったあとにその感想などを、

▼FacebookPage:リアリスト評議会「アメリカ通信」
https://www.facebook.com/realist.jp

に書き込んでシェアして頂ければ、と思います。

さて、今回の「アメ通」管理人週末号ですが、
おくやまさんが講師を務める「地政学講座」
のご紹介をさせて頂きます。

講義内容の詳細は、如何に記載するURLにて
ご確認頂きたいのですが、これは管理人的にかなりのイチオシ!です。
これだけ濃密な内容の講義が直接おくやまさんから受けられるとは・・・
実のところ、管理人自身がこの講義、受けたいです...
と申しますか、おそらく、受けます。(笑)

読者の皆様も、もしお時間にご都合が付くようでしたら、
ぜひぜひ、直接おくやまさんの講義を聴いて頂きたいのですが、
もし、お申込みになる際には、
そのお申込みメールに必ず
「奥山真司メルマガ/ブログでこの講演を知った。」
と一筆入れて頂ければと思います。

その方には特別特典として・・・、・・・、・・・。

申し訳ありません。まだ、その準備ができておりません...。(笑)

ですが、真面目なお話として、
今後、おくやまさんの思想に共鳴する「アメ通」読者の皆様とは、
更に議論を深めるための仕組みを検討中ですので、
今後も、末永く「アメリカ通信」を、何卒、よろしくお願い致します。

それでは、「地政学入門講座」のご案内をどうぞ。

(転載はじめ)

http://www.igij.org/profile4.html
▼平成24年7月20日(金)「地政学入門講座」開講

「21世紀の日本の地政学のコンセプト」の形成を目指すIGIJが、
いよいよ「地政学入門講座」を開講します。

 講座の担当:奥山真司IGIJ上席研究員(コリン・グレイに師事、戦略学PhD)

 日程および時間:基本的に毎週金曜日の午後1730~1930

 場所:〒160-0022新宿区新宿1-16-10コスモス御苑ビル8階会議室

 受講料:資料代等1,000円/回

シラバス:全10回、但し第3金曜日はIGIJワークショップに(無料)参加。
但しワークショップへの参加は受講回数に含まれておりません。

講義要領:前段1時間「奥山真司の講義」、後段1時間「Q&A・ディベート」
 なお不定期ですが著名識者による特別レクを予定致します。

受講資格:「地政学」に関心のある大学生以上の方々。

狙い:この講座は基本的に「地政学」初心者を対象とし、
国際政治を冷静に分析するための、大きな視点を身につけることを狙いと致します。

お申し込み:別紙様式にてメール(hayashi@igij.org)
またはFAX(03-6457-7546)でお申し込み下さい。

・別紙様式: NPO国際地政学研究所「地政学入門講座」申し込み
http://www.igij.org/nyumon.pdf

お申込みメールに必ず
「奥山真司メルマガ/ブログでこの講演を知った。」
とお書きください。

講義の展開:
● 第一回:地政学とは何か?――「地理の三位一体」: 
国際政治における地理の重要性と、その基本的な役割を、地理そのもの機能にある三つの観点から説明。
地政学の基本要素である「地理」そのものがどういうものかを理解して頂きます。
● 第二回:マハンの地政学――「チョークポイント」:
「シーパワー」の論者として有名なマハンは、実は地政学者としても重要。
グローバル化時代における公共財としての海の役割、そしてそれを握るために重要な地理的ポイントを解説。
アメリカの初期の大戦略の考え方を理解する。
● 第三回:マッキンダーの地政学――「ハートランド」:
地政学の基礎を作ったマッキンダーの理論とその背景を徹底解剖。
ここから見えてくる英米の大戦略の伝統を、ハートランド理論のグローバルな「神の視点」から分析する。
● 第四回:ハウスホーファーの地政学――「レーベンスラウム」:
地政学の名を貶めた張本人であるドイツ地政学の中心人物の理論から、
決定論の弱点やナチスの思想の問題点などを分析する。地政学を批判的に見る視点を養う。
● 第五回:スパイクマンの地政学――「リムランド」:
現在のアメリカの大戦略の基礎になっている理論を、マッキンダーの継承者としての立場から検証。
地政学の三位一体を中心に、国際政治の易不易を見据える感覚を育てる。
● 第六回:冷戦期の地政学――「封じ込め」:
ケナンの冷戦の大戦略からキッシンジャーに至る、アメリカの戦略構想についての議論を分析。
戦略における「世界観」の重要性を理解する。
● 第七回:冷戦後の地政学――「コモンズとコア」:
冷戦後のアメリカの大戦略の議論を中心に説明する。フクヤマとハンチントン、
それにイラク戦争におけるネオコン対リアリストの討論、
そしてバーネットのグローバル化論などを中心に、一体何が争点になってきたのかを分析。
キーワードから見えてくる大戦略の不確実性を理解。
● 第八回:日本の地政学――元寇から現在まで:
日本の歴史上の例を中心に、地政学の三位一体がどのように影響してきたのかを検証。
日本の地政学的スコープが拡大してくる様子や、日本の大戦略の伝統の分類など、
客観的な目で地政学的状況を見る視点を身につける。
● 第九回:現在主流の地政学――「批判地政学」:
1980年代から大陸系の哲学者たちを中心にはじまった「批判地政学」の流れを概説する。
彼らが従来の地政学を問題視するのはどの辺りなのか、
具体的な研究者たちの言説から見えてくる地政学の問題点を探る。
地政学を使う際の視点のバランス感覚を身につける。
● 第十回:情報化時代の地政学――「戦略学」の見地から:
「軍事における革命」(RMA)サイバー戦、エアパワーの登場など、
地理がますます重要性を失いつつあるように見える現代の情報化時代の安全保障環境の中で、
古典地政学はどこまで有用性があるのかを、「戦略学」の見地から分析する。
大戦略としての地政学を再度確認してもらう。

● 推薦図書/参考文献:
―奥山真司著『地政学』
―奥山真司訳『進化する地政学』・『胎動する地政学』
・『平和の地政学』・『大国政治の悲劇』
―『マハン海上権力史論集』・『マッキンダーの地政学』
・『地政学で世界を読む:21世紀のユーラシア覇権ゲーム』
・『地政学の罠に嵌った日本近現代史』など

(転載おわり)

本日も、良き週末をお過ごし下さい。

(「アメ通」管理人)

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「戦略の階層」を解説するCD

戦略を語れない人生は奴隷だ

技術を制するのは高度な技術ではない。より上流階層からルール決めには対抗できない。
今こそ日本人は「戦略の階層」を学び、その全体像を理解しなければならない。

詳しくはこちらをどうぞ


このサイトはリアリズムについて学ぶ人を増やすためのサイトです。

さて、早速ですが、・ネオコンをはじめとする勢力が狙ってきた米国の世界一極覇権支配は、長くは続かない。・中国が膨張し、アジアの覇権をねらい、世界は多極構造になる。 90年代から上記のように予想し、米国内でも論争してきたのがリアリスト学派です。

リアリスト学派は、国家のパワー(軍事力、政治力、人口規模、経済力等)がもっとも大事な要素と考え、

正義やイデオロギー、理念は関係ない。国際関係はパワーで決まり、パワーを予測し戦略を立てよう

と考える学派で、19世紀の英国の行ったバランス・オブ・パワーを活用した大戦略を信条とします。

ところが「リアリスト」を自認する日本の親米保守派は、
「経済中心主義」で「安保無料(だだ)乗り」をし続けていますが、
実は、彼らは、以下の2点で決定的、かつ、致命的な誤りを犯していたのです。
そして、そうした日本の政策は、冷酷な米国のリアリストから、
単なる「バンドワゴニング」に過ぎない、と足元を見透かされているのです。

その2点とは、

(1)日本はアングロサクソン(米英)についていれば大丈夫。

(2)米国は「民主制度」と「法治」、「人権」を重んずる日本を信頼し、
   一党独裁の共産主義中国を嫌っている。

ということです。

まず、(1)については、
日英同盟時も上手くいった。だから、これからも米国についてゆけば大丈夫!
万事問題ないというものです。

しかし、我が日本が戦後60年間、幸いにして戦争に巻き込まれなかったのは、
ほとんど偶然の産物であったということは、強く認識しておく必要があります。

米国は国益に係わることならば、いとも簡単に「友達」を切り捨て、裏切る国である。
国論が変われば友好国をあっさり切り捨ててきたことは、これまでの歴史の事実が証明しています。

・日中戦争では、蒋介石を応援しつつも、途中から毛沢東支援にまわった。

・ソ連打倒のためには台湾(中華民国)を切り捨て、中華人民共和国と国交を結んだ。

・ベトナム戦争では出口がみえなくなり、結局南ベトナム支援からあっさり撤退した。

・米国が支援していた南ベトナムは崩壊し、大量の難民があふれ出た。

・イラン・イラク戦争の時、イランが戦争に勝って影響力が拡大することを恐れた米国は、
 サダムフセインに(イラク)に軍事的な支援をした。
 しかし、支援した米国は干渉してこないと思ったフセインは、その後クウェートに侵攻し、
 湾岸戦争、イラク侵攻と2度の戦争で米国に打ちのめされ、最後は米軍に捕まり処刑された。

如何でしょうか?

これでもまだあなたは、アメリカはずっと「友達」でいてくれる!

と思えますか?

次に、(2)についてですが、
欧米メディアなどの報道によれば、米国内における中国の工作員の数は激増しています。
更には、人民解放軍には「政治工作条例」なるものまであります。
彼らは世論戦、心理戦、法律戦からなる「三戦」の任務を与えられ、
まさに今、中国は国策として、米国内で「世論戦」を仕掛けている、というのが冷酷な事実です。

正義や真実でなく、ウソでも現実をつくれると考える中国の
カネも人員もかけたまさに「人海戦術」的な、この国家戦略が功を奏し、
すでに米国世論では「尖閣は日本が強奪した島だ」ということに傾き始めている・・・
この危険な状況を皆さんはご存知でしょうか?

-*- -*-

例えば、韓国との従軍慰安婦問題をみるまでもなく、
日本国内で、いわゆる「保守派」といわれる人達が、
どれだけ「真実」を主張しても、
同じ日本人であるはずの国内左翼勢力がこの外患に呼応するという、
典型的なパターンに陥っている事例は、枚挙に暇がありません。

白州次郎は「日本をプリンシプルのない国」と言いました。
しかし、残念ながら、この分析は現在の日本にも今だに当てはまっているのです。

これらの冷酷な事実を踏まえ、
本サイトで皆さんとともに真剣に考えていきたいのは、以下の2点です。

・日本はいかにして「パワー」を獲得すればいいのか?

・どんな国家像を描き、グランド・ストラテジーを立てればよいのか?

この二つの質問を念頭に据えて、米国のリアリスト思考を学び、
日本におけるリアリスト思考を広げ、リアリスト学派をつくっていく。

これが、このサイト、www.realist.jpの目的です。
あなたも是非議論に加わって下さい。



リアリスト思考を最初に日本にもたらした、
シカゴ学派、元フーバー研究所上席研究員、故・片岡鉄哉先生に捧ぐ

日本がこのままの状態でいけば、
少なくとも十年以内に、二流、三流の地位まで確実に堕ちていくことになる。
現在の日本の状況を冷静に見れば、
どう考えてもそういう結論しか出てこないのだ。
しかし、日本はそのまま堕ちっぱなしというわけではない。

何年後になるかわからないが、日本はしぶとく復活するはずである。
国家というのはいつまでも堕ちっぱなしということはなく、
反省して自覚した国民が生まれ、それが国を復興することになるからである。

そのときに、決定的に必要となつてくるのが「理想」である。

地政学の祖であるマッキンダーは、
「人類を導くことができるのは、ただ理想の持つ魅力だけだ」
と言っている。

しかし彼は、同時に現実を冷静に見る目を
忘れてはならないことを鋭く警告している。
それが地理と歴史を冷静に分析した、
地政学という学問が与えてくれる視点なのである。
彼が一九一九年に発表した『デモクラシーの理想と現実』
という本の題名は、このような理想と現実のバランスの大切さを訴えている。

世界はこれから「カオス化」していく。
これはつまり、世界はこれからますます複雑化した
先の見えない場になるということである。

そして日本は、「カオス化」された状況の中で
自立を目指さなければならないし、
むしろ自立せざるを得ない状況に追い込まれることになるかもしれない。
そして、その中で世界に伍していくためには、
日本人は何よりもまず、リアリズムの思考法を身につけなければならない。

日本人は自分で責任を持って戦略を考えるという思考を捨ててしまい、
安易に平和的な解決だけを求めるという体質が染みついてしまった。
たとえば、外交における戦略も「善か悪か」で判断するため、
善を探そうとするあまり、次の一手がどうしても遅くなる。

しかも、日本が「善かれ」と思って世界に主張したことは、
まずもって善として見られていない。
他国はリアリズムの視点で「日本が何を狙っているのか」
と冷酷に見ているのだ。
だからこそ、わが国も外交戦略を「善悪」ではなく、
「強弱」で見るように訓練しなければならない。
「強弱」とは、現在わが国にとって、
この政策は他国と比べて立場を強めてくれるのか
弱めるものかという冷静な判断である。

弱いのであれば、より強い政策を打ち出さなければならないし、
強いものであれば、政策をより国益に近づけなければならない。
こうしたリアリズムの思考を身につけることは、
むしろ「国際的なマナー」なのである。