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地政学を英国で学んだ
しばらくお待ち下さい。
2012年7月22日 世界を変えたいなら一度"武器"を捨ててしまおう

「アメ通」読者の皆様、こんにちは。
管理人です。

本日の関東地方は、涼しいのは良いのですが、
どうにもスッキリしないお天気ですね...。

さて、先日の編集後記でもお伝えしましたが、
「アメ通」主筆のおくやまさんが著書を出版されます。

▼「世界を変えたいなら一度"武器"を捨ててしまおう」
 奥山真司( http://goo.gl/cQk89 )

Amazonではまだ予約受け付け状態ですが、
この新刊、明日23日(月)から順次、
本屋さんの店頭に並ぶようですので、ぜひぜひ、お手にとってご確認下さい。

この前も少しお話しました通り、
実は管理人は既にこの新刊を読破致しまして、
その余韻に浸っているところであります。

今回のおくやまさんの新刊のジャンルは、「自己啓発/成功法則」です。
さらに本のタイトルがタイトルですので(笑)、これを聞いて、読者の皆様の中には、
一瞬「え?」と眉をひそめた方もいらっしゃるかもしれませんね。(笑)

ですが、おくやまさんはこれまでに、ご自身の専門分野である「戦略学」の研究の傍ら、
プライベートセミナーや、講演会などでは、そのご専門を活かして、
「如何に人生"戦略"を構築して、一人ひとりがサバイバルするのか?」
というテーマでお話をしておられます。

管理人自身も、講演会などでおくやまさんのお話は聞いておりまして、
「地政学やリアリズム的な視点は、そうやって日常生活に活かせば良いのか!」
と、目からウロコが何枚も落ちておりました。
そのエッセンスが目一杯詰まっているのが今回の新刊です。

そして、読者の皆様に「プロパガンダ」を仕掛けても、
直ぐに見破られてしまいますので(笑)、正直にご報告致しますが、
この本の内容は、ハッキリ申しまして、
「自己啓発本」でも、「成功法則本」でもありません。(笑)

実は、管理人は、辛いことがあった時や疲れた時には、
「ファイト一発!自己啓発本!!!」という感じで、
このジャンルの本をGETして一気読みして英気を養うほどの
「自己啓発/成功本」マニアなのですが(笑)、
その管理人からみても、今回のおくやまさんの新刊には類書が見当たりません。
かなり「異色の書」であると言って過言ではありません。

そして、読後の高揚感が収まらないのですが、
それは、今回のおくやまさんがこの本で仰っていることは、
言うなれば、「アメ通版一般教書演説」とも言える、
まさに、この「アメ通」のポリシーそのものの内容だったからです。

詳細はぜひ本書をお読み頂きたいのですが、
これまでに、おくやまさんが、この「アメ通」や、
自らのブログ、ご著書などで研究されてきた、
「戦略学」のエッセンスがバランスよく散りばめられた素晴らしい内容です。

「アメ通」読者の皆様ならば、必ずやご満足頂ける内容であり、
時間と労力とお金を掛けるだけの価値があることは、
この管理人が太鼓判を押して保証、断言致します。

ぜひ、何としても(笑)お手にとってお読み下さい。

と言いましても...
管理人の言葉だけではかなり心もとないですね...。

ですので、ここで「アメ通」読者の皆様だけに、
特別に一足先に、おくやまさんからのメッセージをお伝え致します。

これをお読み頂ければ、もうGETせずにはおれないはずです。(笑)

それでは、さっそくどうぞ。

              -*- -*- -*-

▼奥山真司より「アメ通」読者の皆さんへ

私は国際政治、国際外交を「戦略」という観点から研究している、
単なる一研究者にすぎません。
その私が、なぜあなたに「人生目標の立て方」
についてお話しするのかというと、
私の研究分野である国際戦略や外交戦略と
あなたの生き方を決める人生戦略(ライフストラテジー)には、
共通した考え方があるからです。

その前に、なぜ私がそのことに気づいたのか
についてお話しさせていただきます。

私は22歳のとき、カナダに留学しました。
そのときは、まさか自分が戦略研究である「地政学」
の道に進むと思ってもいなかったのですが、
留学して衝撃を受けたことがありました。

それは、自分自身の歴史観の足りなさでした。

当時、政治問題に興味があった私は、そのような授業を受けると、
とくにアジアの学生が歴史認識に対する議論を吹っかけてきました。
日本人が歴史を学ぶ場合、多くは古代史から江戸時代までを一生懸命に学び、
明治以降の近現代史についてはホトホト弱い。

私もそんな学生の1人で、論争ではいつもやられてばかりでした。
しかし、それは私個人的な問題ではなかったのです。
つまり、歴史観の論争をまわりで見ている他国の学生が、
反論できない日本人学生を見て、
「なんだ、日本人には思想や主張といったものがまったくないのだ」
と思われてしまったことだったのです。

彼ら留学生の多くは、自国に帰ってエリートになる人たちですから、
日本に対するイメージは
「日本人には核となるアイデンティティがない」と刷り込まれます。
やがて、そんな彼らが国際政治の舞台へと上がっていくのです。

あとでも詳しく説明していきますが、国際政治、国際外交というものは、
まさに国益をかけたリアリズムの世界です。
そこには、駆け引きや裏交渉など
少しでも自国の利益になるような取引が交わされます。

その際に、「日本人にはアイデンティティがない」
という刷り込みがここにきて大きく作用してくるのです。
よく日本の外交は「刺身のツマ」だとか「金を出すだけの国」だとか
「大国にならえの国」だとか言われますが、
日本が国際外交でなめられるのは、
実は日本人に対するこんなイメージが大きく影響されていたのです。

その後、私は地政学という学問にのめり込み、
イギリスの戦略学の権威で、80年代のレーガノミクスのブレインでもあった
コリン・グレイ教授に師事し、レディング大学で戦略学を学びました。

そこで研究しているうちに、
あのカナダで留学していたときの「日本人の歴史観」や
「日本人のアイデンティティ」について思いめぐらすようになったのです。

そこで気づいたことは、世界の国は何よりもアイデンティティを重視していて、
ひいては世界観や歴史観、宗教観などが国の指針のトップに位置するということでした。
そして、このことは国に限らず個人にとってもトップの「生き方の指針」だったのです。

そこで多くの欧米の成功哲学書、自己啓発書を読んでいくうちに、
日本人に決定的に足りないものがあることに気づきました。
それは、欧米人の人ライフストラテジーの多くは、
自分の世界観を確立したうえで目標に落とし込んでいくというものだったのです。

この事実は、戦略学を研究していれば当然いき着く結論です。
というのは、そもそも国際社会は自国のアイデンティティや世界観を達成するために、
戦略を練っているからです。言うなれば、これがグローバル社会の常識なのです。

ビジネス書の世界ではアイデンティティや世界観は、
会社や個人のビジョンやミッションとう言葉に置き換えられます。
つまり、彼らはビジョンやミッションを達成するために戦略を練り、
戦術(行動規範)を考え、達成時期(ゴール)を決めていくのです。

この考え方自体、あなたもご存じでしょうし、たいした理論でもありません。

しかし、日本人はビジョンやミッションというものを考えることが苦手です。
そもそも確固とした歴史観も持ち合わせていない人が多いのですから、
アイデンティティや世界観と言われてもピンとこないのは当たり前なのです。
ですから、ビジョンやミッションから目標を設定しようと多くの本に書いてあっても、
日本人にとっては難しい方法なのです。

たしかに、こうした方法で成功した人もいることでしょう。
しかし、ひねくれた見方をしてしまえば、
「あなただから成功したんでしょう」と思ってしまいます。
だって、その人は成功したから本を書いたりしているですから。

もちろんこの本の目的も、ビジョンやミッションを持って
戦略的に人生を設計することです。
ただ、日本人にとってこれだけではうまくいかないことが多いのです。
ですから、日本人に合ったライフストラテジーも述べていきます。

これが今後、あなたの人生にとって最大の武器となります。

グローバルなライフストラテジーを知り、
かつ日本人に必要な戦略が加われば、もうゴールは見えたも同然。
戦略学を知ることで、あなたの人生にとっての武器を手にしてください。

(おくやま)

              -*- -*- -*-

▼「世界を変えたいなら一度"武器"を捨ててしまおう」
 奥山真司( http://goo.gl/cQk89 )

おくやまさんの今回の新刊、明日23日より店頭発売です。

ぜひご期待下さい。

(「アメ通」管理人)

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戦略を語れない人生は奴隷だ

技術を制するのは高度な技術ではない。より上流階層からルール決めには対抗できない。
今こそ日本人は「戦略の階層」を学び、その全体像を理解しなければならない。

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このサイトはリアリズムについて学ぶ人を増やすためのサイトです。

さて、早速ですが、・ネオコンをはじめとする勢力が狙ってきた米国の世界一極覇権支配は、長くは続かない。・中国が膨張し、アジアの覇権をねらい、世界は多極構造になる。 90年代から上記のように予想し、米国内でも論争してきたのがリアリスト学派です。

リアリスト学派は、国家のパワー(軍事力、政治力、人口規模、経済力等)がもっとも大事な要素と考え、

正義やイデオロギー、理念は関係ない。国際関係はパワーで決まり、パワーを予測し戦略を立てよう

と考える学派で、19世紀の英国の行ったバランス・オブ・パワーを活用した大戦略を信条とします。

ところが「リアリスト」を自認する日本の親米保守派は、
「経済中心主義」で「安保無料(だだ)乗り」をし続けていますが、
実は、彼らは、以下の2点で決定的、かつ、致命的な誤りを犯していたのです。
そして、そうした日本の政策は、冷酷な米国のリアリストから、
単なる「バンドワゴニング」に過ぎない、と足元を見透かされているのです。

その2点とは、

(1)日本はアングロサクソン(米英)についていれば大丈夫。

(2)米国は「民主制度」と「法治」、「人権」を重んずる日本を信頼し、
   一党独裁の共産主義中国を嫌っている。

ということです。

まず、(1)については、
日英同盟時も上手くいった。だから、これからも米国についてゆけば大丈夫!
万事問題ないというものです。

しかし、我が日本が戦後60年間、幸いにして戦争に巻き込まれなかったのは、
ほとんど偶然の産物であったということは、強く認識しておく必要があります。

米国は国益に係わることならば、いとも簡単に「友達」を切り捨て、裏切る国である。
国論が変われば友好国をあっさり切り捨ててきたことは、これまでの歴史の事実が証明しています。

・日中戦争では、蒋介石を応援しつつも、途中から毛沢東支援にまわった。

・ソ連打倒のためには台湾(中華民国)を切り捨て、中華人民共和国と国交を結んだ。

・ベトナム戦争では出口がみえなくなり、結局南ベトナム支援からあっさり撤退した。

・米国が支援していた南ベトナムは崩壊し、大量の難民があふれ出た。

・イラン・イラク戦争の時、イランが戦争に勝って影響力が拡大することを恐れた米国は、
 サダムフセインに(イラク)に軍事的な支援をした。
 しかし、支援した米国は干渉してこないと思ったフセインは、その後クウェートに侵攻し、
 湾岸戦争、イラク侵攻と2度の戦争で米国に打ちのめされ、最後は米軍に捕まり処刑された。

如何でしょうか?

これでもまだあなたは、アメリカはずっと「友達」でいてくれる!

と思えますか?

次に、(2)についてですが、
欧米メディアなどの報道によれば、米国内における中国の工作員の数は激増しています。
更には、人民解放軍には「政治工作条例」なるものまであります。
彼らは世論戦、心理戦、法律戦からなる「三戦」の任務を与えられ、
まさに今、中国は国策として、米国内で「世論戦」を仕掛けている、というのが冷酷な事実です。

正義や真実でなく、ウソでも現実をつくれると考える中国の
カネも人員もかけたまさに「人海戦術」的な、この国家戦略が功を奏し、
すでに米国世論では「尖閣は日本が強奪した島だ」ということに傾き始めている・・・
この危険な状況を皆さんはご存知でしょうか?

-*- -*-

例えば、韓国との従軍慰安婦問題をみるまでもなく、
日本国内で、いわゆる「保守派」といわれる人達が、
どれだけ「真実」を主張しても、
同じ日本人であるはずの国内左翼勢力がこの外患に呼応するという、
典型的なパターンに陥っている事例は、枚挙に暇がありません。

白州次郎は「日本をプリンシプルのない国」と言いました。
しかし、残念ながら、この分析は現在の日本にも今だに当てはまっているのです。

これらの冷酷な事実を踏まえ、
本サイトで皆さんとともに真剣に考えていきたいのは、以下の2点です。

・日本はいかにして「パワー」を獲得すればいいのか?

・どんな国家像を描き、グランド・ストラテジーを立てればよいのか?

この二つの質問を念頭に据えて、米国のリアリスト思考を学び、
日本におけるリアリスト思考を広げ、リアリスト学派をつくっていく。

これが、このサイト、www.realist.jpの目的です。
あなたも是非議論に加わって下さい。



リアリスト思考を最初に日本にもたらした、
シカゴ学派、元フーバー研究所上席研究員、故・片岡鉄哉先生に捧ぐ

日本がこのままの状態でいけば、
少なくとも十年以内に、二流、三流の地位まで確実に堕ちていくことになる。
現在の日本の状況を冷静に見れば、
どう考えてもそういう結論しか出てこないのだ。
しかし、日本はそのまま堕ちっぱなしというわけではない。

何年後になるかわからないが、日本はしぶとく復活するはずである。
国家というのはいつまでも堕ちっぱなしということはなく、
反省して自覚した国民が生まれ、それが国を復興することになるからである。

そのときに、決定的に必要となつてくるのが「理想」である。

地政学の祖であるマッキンダーは、
「人類を導くことができるのは、ただ理想の持つ魅力だけだ」
と言っている。

しかし彼は、同時に現実を冷静に見る目を
忘れてはならないことを鋭く警告している。
それが地理と歴史を冷静に分析した、
地政学という学問が与えてくれる視点なのである。
彼が一九一九年に発表した『デモクラシーの理想と現実』
という本の題名は、このような理想と現実のバランスの大切さを訴えている。

世界はこれから「カオス化」していく。
これはつまり、世界はこれからますます複雑化した
先の見えない場になるということである。

そして日本は、「カオス化」された状況の中で
自立を目指さなければならないし、
むしろ自立せざるを得ない状況に追い込まれることになるかもしれない。
そして、その中で世界に伍していくためには、
日本人は何よりもまず、リアリズムの思考法を身につけなければならない。

日本人は自分で責任を持って戦略を考えるという思考を捨ててしまい、
安易に平和的な解決だけを求めるという体質が染みついてしまった。
たとえば、外交における戦略も「善か悪か」で判断するため、
善を探そうとするあまり、次の一手がどうしても遅くなる。

しかも、日本が「善かれ」と思って世界に主張したことは、
まずもって善として見られていない。
他国はリアリズムの視点で「日本が何を狙っているのか」
と冷酷に見ているのだ。
だからこそ、わが国も外交戦略を「善悪」ではなく、
「強弱」で見るように訓練しなければならない。
「強弱」とは、現在わが国にとって、
この政策は他国と比べて立場を強めてくれるのか
弱めるものかという冷静な判断である。

弱いのであれば、より強い政策を打ち出さなければならないし、
強いものであれば、政策をより国益に近づけなければならない。
こうしたリアリズムの思考を身につけることは、
むしろ「国際的なマナー」なのである。