・バックナンバートップ

日本の国益を考える
無料メルマガ「アメリカ通信」

・リアリズムの話をしよう





地政学を英国で学んだ
しばらくお待ち下さい。
2012年11月06日 米国大統領選挙直前特別号

「アメ通」読者の皆様、こんばんは。
管理人です。

唐突ですが、いよいよ11月6日の今晩、
(宗主国である?)アメリカ合衆国の大統領が決まります。
ということで、今夜は急遽、管理人特別号を配信させて頂きました。

この結果で日本の行方をどう左右するのか、どんな結末になるか?
これは、読者の皆様も大いに気になるところではないでしょうか?。

米国が共和党のいう「小さな政府」になるか、
民主党の「大きな政府」になるかは
実は、日本人の我々にとって大きな問題にはなりません。
それよりも大事なのは「米国の対中政策がどうなるのか」
ということです。

これから20年間の日本の問題のほとんどは中国問題になります。

特にここ5年の間が勝負所です。
この中国問題の大きなポイントは、
「米国をどう日本の味方にできるか」ということです。
米国がアジア覇権を「中国に譲っても仕方ない」となるのか、
「中国とは対峙する」のかがカギとなります。

さて、肝心の両陣営の発言を見てみましょう。

米国大統領選では、ずっとお互いを「中国に対する姿勢が甘い」
と非難しあっています。

共和党ロムニーは、米国の自動車産業が中国への雇用流出につながっていて、
「中国はわれわれをだましている、決して許ささない」
「オバマが大統領だと中国に仕事をもっていかれる」
「私が大統領になったら中国を為替操作国に認定する」
と叫ぶ。

オバマは
「対中輸出は二倍になり、中国をWTOに訴えた件数が前政権の2倍であり、
ほぼすべてで勝利してきた」
と失業率上昇の理由が対中強硬実績をアピールしている。

ところが、オバマが大統領選で勝つと第二次オバマ政権は、
前代未聞の親中派になる可能性が高いという情報があります。
国務省(日本でいう外務省)はオール親中派になりかねない気配です...。

親日派キャンベルが交代という噂があり、
クリントン国務長官の次はケリーといわれており、
残念ながらばりばりの親中派です。

それでは、ロムニーなら大丈夫!と言えるのでしょうか?

共和党・ブッシュ(息子)政権時代を思い出してみてください。
小泉政権時、蜜月の日米関係のように見えましたが、
ブッシュ政権の後半は、日本よりも中国を優先し、
その結果が現在の状況です。

北朝鮮問題について日本に発言させない。
中国の過大な軍拡を見過ごし、10%の経済成長を続けても
米国内での批判を極力抑えてきた結果が、現在の中国の膨張です。

なぜ、中国脅威論が米国内ででてこないのか?
それはワシントンにおける中国のロビー活動等にあります。
日本に比べて人数も予算も桁違いであり、
キッシンジャーやケリー上院外交委員長に対しては
それぞれ500万ドル規模の予算だといわれています。

中国は米国で、親中派、親日派、愛国派、無関心派に
分類して親中派に引き込むための工作をやっているのです。
日本の政治家ももちろん分類されていることでしょう。

さて、結論となりますが、大統領選がどうであれ
結局、中国は巧妙に手をうち、米国内の
対中脅威論を抑え込んでしまう可能性はじゅうぶんにあります。

本メルマガがこれまでずっと主張しているように、
日本はやはり「リアリズム」を身に付け、
冷静に、冷徹に、そして、
徹底的にカウンターを打つより他ありません。
米国内のリアリスト学派の人達も、
これまで一貫して「中国脅威論」を唱えており、
取り込まれることを警戒し続けています。

私たちは、米国のリアリストから学ぶべきです。

おくやまさんと共に、ミアシャイマー教授や、
ウォルト教授といったリアリズムの巨人達の音声教材CD

▼これから「リアリズム」の話をしよう
-日本が生き残るための国際政治学
http://www.realist.jp/walt-cd.html

▼「1時間でわかる!ミアシャイマーの理論」
http://www.realist.jp/mearsheimer-cd.html

などを企画したのも、ひとえに、
「リアリズムとは?リアリストとは?」
ということを、多くの方に理解して頂きたい
と強く想ったからです。

さて、後数時間後には趨勢が決まる、米国大統領選挙。

テレビ画面、ならぬ、
PCのディスプレイの前から離れられそうにありません...。

(管理人)

(「アメ通」管理人)

つづきはこちら アメリカ通信バックナンバーへもどる


「戦略の階層」を解説するCD

戦略を語れない人生は奴隷だ

技術を制するのは高度な技術ではない。より上流階層からルール決めには対抗できない。
今こそ日本人は「戦略の階層」を学び、その全体像を理解しなければならない。

詳しくはこちらをどうぞ


このサイトはリアリズムについて学ぶ人を増やすためのサイトです。

さて、早速ですが、・ネオコンをはじめとする勢力が狙ってきた米国の世界一極覇権支配は、長くは続かない。・中国が膨張し、アジアの覇権をねらい、世界は多極構造になる。 90年代から上記のように予想し、米国内でも論争してきたのがリアリスト学派です。

リアリスト学派は、国家のパワー(軍事力、政治力、人口規模、経済力等)がもっとも大事な要素と考え、

正義やイデオロギー、理念は関係ない。国際関係はパワーで決まり、パワーを予測し戦略を立てよう

と考える学派で、19世紀の英国の行ったバランス・オブ・パワーを活用した大戦略を信条とします。

ところが「リアリスト」を自認する日本の親米保守派は、
「経済中心主義」で「安保無料(だだ)乗り」をし続けていますが、
実は、彼らは、以下の2点で決定的、かつ、致命的な誤りを犯していたのです。
そして、そうした日本の政策は、冷酷な米国のリアリストから、
単なる「バンドワゴニング」に過ぎない、と足元を見透かされているのです。

その2点とは、

(1)日本はアングロサクソン(米英)についていれば大丈夫。

(2)米国は「民主制度」と「法治」、「人権」を重んずる日本を信頼し、
   一党独裁の共産主義中国を嫌っている。

ということです。

まず、(1)については、
日英同盟時も上手くいった。だから、これからも米国についてゆけば大丈夫!
万事問題ないというものです。

しかし、我が日本が戦後60年間、幸いにして戦争に巻き込まれなかったのは、
ほとんど偶然の産物であったということは、強く認識しておく必要があります。

米国は国益に係わることならば、いとも簡単に「友達」を切り捨て、裏切る国である。
国論が変われば友好国をあっさり切り捨ててきたことは、これまでの歴史の事実が証明しています。

・日中戦争では、蒋介石を応援しつつも、途中から毛沢東支援にまわった。

・ソ連打倒のためには台湾(中華民国)を切り捨て、中華人民共和国と国交を結んだ。

・ベトナム戦争では出口がみえなくなり、結局南ベトナム支援からあっさり撤退した。

・米国が支援していた南ベトナムは崩壊し、大量の難民があふれ出た。

・イラン・イラク戦争の時、イランが戦争に勝って影響力が拡大することを恐れた米国は、
 サダムフセインに(イラク)に軍事的な支援をした。
 しかし、支援した米国は干渉してこないと思ったフセインは、その後クウェートに侵攻し、
 湾岸戦争、イラク侵攻と2度の戦争で米国に打ちのめされ、最後は米軍に捕まり処刑された。

如何でしょうか?

これでもまだあなたは、アメリカはずっと「友達」でいてくれる!

と思えますか?

次に、(2)についてですが、
欧米メディアなどの報道によれば、米国内における中国の工作員の数は激増しています。
更には、人民解放軍には「政治工作条例」なるものまであります。
彼らは世論戦、心理戦、法律戦からなる「三戦」の任務を与えられ、
まさに今、中国は国策として、米国内で「世論戦」を仕掛けている、というのが冷酷な事実です。

正義や真実でなく、ウソでも現実をつくれると考える中国の
カネも人員もかけたまさに「人海戦術」的な、この国家戦略が功を奏し、
すでに米国世論では「尖閣は日本が強奪した島だ」ということに傾き始めている・・・
この危険な状況を皆さんはご存知でしょうか?

-*- -*-

例えば、韓国との従軍慰安婦問題をみるまでもなく、
日本国内で、いわゆる「保守派」といわれる人達が、
どれだけ「真実」を主張しても、
同じ日本人であるはずの国内左翼勢力がこの外患に呼応するという、
典型的なパターンに陥っている事例は、枚挙に暇がありません。

白州次郎は「日本をプリンシプルのない国」と言いました。
しかし、残念ながら、この分析は現在の日本にも今だに当てはまっているのです。

これらの冷酷な事実を踏まえ、
本サイトで皆さんとともに真剣に考えていきたいのは、以下の2点です。

・日本はいかにして「パワー」を獲得すればいいのか?

・どんな国家像を描き、グランド・ストラテジーを立てればよいのか?

この二つの質問を念頭に据えて、米国のリアリスト思考を学び、
日本におけるリアリスト思考を広げ、リアリスト学派をつくっていく。

これが、このサイト、www.realist.jpの目的です。
あなたも是非議論に加わって下さい。



リアリスト思考を最初に日本にもたらした、
シカゴ学派、元フーバー研究所上席研究員、故・片岡鉄哉先生に捧ぐ

日本がこのままの状態でいけば、
少なくとも十年以内に、二流、三流の地位まで確実に堕ちていくことになる。
現在の日本の状況を冷静に見れば、
どう考えてもそういう結論しか出てこないのだ。
しかし、日本はそのまま堕ちっぱなしというわけではない。

何年後になるかわからないが、日本はしぶとく復活するはずである。
国家というのはいつまでも堕ちっぱなしということはなく、
反省して自覚した国民が生まれ、それが国を復興することになるからである。

そのときに、決定的に必要となつてくるのが「理想」である。

地政学の祖であるマッキンダーは、
「人類を導くことができるのは、ただ理想の持つ魅力だけだ」
と言っている。

しかし彼は、同時に現実を冷静に見る目を
忘れてはならないことを鋭く警告している。
それが地理と歴史を冷静に分析した、
地政学という学問が与えてくれる視点なのである。
彼が一九一九年に発表した『デモクラシーの理想と現実』
という本の題名は、このような理想と現実のバランスの大切さを訴えている。

世界はこれから「カオス化」していく。
これはつまり、世界はこれからますます複雑化した
先の見えない場になるということである。

そして日本は、「カオス化」された状況の中で
自立を目指さなければならないし、
むしろ自立せざるを得ない状況に追い込まれることになるかもしれない。
そして、その中で世界に伍していくためには、
日本人は何よりもまず、リアリズムの思考法を身につけなければならない。

日本人は自分で責任を持って戦略を考えるという思考を捨ててしまい、
安易に平和的な解決だけを求めるという体質が染みついてしまった。
たとえば、外交における戦略も「善か悪か」で判断するため、
善を探そうとするあまり、次の一手がどうしても遅くなる。

しかも、日本が「善かれ」と思って世界に主張したことは、
まずもって善として見られていない。
他国はリアリズムの視点で「日本が何を狙っているのか」
と冷酷に見ているのだ。
だからこそ、わが国も外交戦略を「善悪」ではなく、
「強弱」で見るように訓練しなければならない。
「強弱」とは、現在わが国にとって、
この政策は他国と比べて立場を強めてくれるのか
弱めるものかという冷静な判断である。

弱いのであれば、より強い政策を打ち出さなければならないし、
強いものであれば、政策をより国益に近づけなければならない。
こうしたリアリズムの思考を身につけることは、
むしろ「国際的なマナー」なのである。