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地政学を英国で学んだ
しばらくお待ち下さい。
2012年11月20日 ~戦略を語れない人生は奴隷だ~

技術を制するのは高度な技術ではない。
より上流階層からルール決めには対抗できない。
今こそ日本人は「戦略の階層」を学び
その全体像を理解しなければならない。

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■「戦略の階層」を徹底解説する
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誰もが使っている検索サービスの最大手、
Google社のことは皆さんご存じですね。
Google社は、

「インターネットによって共有する情報化社会は人類を豊かにする」

という「前提」のもと、会社の「使命」を

「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」

と考えているのです。

その「使命」ために、
これまでインターネットがなかった時代の法律、
その代表的なものに、著作権などが挙げられるが、
インターネットが人類を豊かにするのだから、
そのような様々な障壁は当然変えるべきだとして、
優秀な弁護士を数百人雇っているのです。

これは、訴訟対策というよりも、
これからの法律の「在り方」をどうするべきなのか?
ということを念頭に置いているからなのです。
こういう考え方、発想は日本人がとても弱い部分です。

ビジネスや人生では、「前例がない」ですとか、
「禁止されている」という事態にぶち当たると
真面目にそれに順応してしまうことを考えてしまうのが日本人です。
「ルールを決める」という局面には参加せず、
あくまでも「プレイヤー」として全力を尽くそうとするわけです。

そもそも、社会はもっと豊かで自由であるべきだ
と考えるのならば、そのためには、
新たな時代になれば、当然、規制や法律もそれに対応して変更する。
そういう発想が出来ないのです。
日本が最も勢いがあり、発展した戦後60年を経てもなお、
憲法を一度も改正してこなかった...ことなどは、
その典型的で分かり易い実例ではないでしょうか。

             -*-*-*-

孫正義氏はsprint社を買収し、softbank社は世界3位になりました。
「世界一を目指す!」と宣言しましたが、
例えば、この通信の分野を見ても、日本は世界では遅れているのです。

米国では、クリントン大統領の時代、
それまでの独占を嫌い、AT&Tという巨大通信会社の分割が行われました。
時期を同じくして、日本にも圧力がかかり、
NTTはNTT東日本、docomo、NTTコミュニケーションなどに分割されました。

しかし、当の米国では、国内競争だけでなく、
グローバル競争の到来という潮流の変化にあわせて
通信分野における再編成が行われているのです。
日本は相変わらず、各社がバラバラに行動しておりますが、
すぐにでも、NTTを再合併し、更にauなども加えた
「日の丸連合」をつくり、世界市場に打って出ないと、
取り返しの付かない事態になってしまうのではないでしょうか?

鉄鋼の分野なども同様で、中国が国策として進める
「ナショナル企業」の勃興に対抗して、米国も再編成をしています。
日本も遅まきながら、ようやく再編成の端緒に付いたところです。

もはや、国内での競争だけで済む状況にはなく、
世界中の何億人もの人口を相手にした「世界競争の時代」
になったことへの対応の遅れは、火を見るより明らかです。
世界の企業とのサバイバルを考えた上での世界観が必要です。

             -*-*-*-

このような時代状況において、
多くの人は、すぐに成果が出るような、
言うなれば、安直な「サルでも出来る...」といった話に
思わず飛びついてしまいたくなりますが、
先行きが不透明なこんな時代こそ、
物事の「そもそも」論を考える必要があるのではないでしょうか?

そして、私たち日本人が考えるべき「そもそも」とは何か?
それが「戦略的思考」そのものです。

"そもそも論"が「戦略」の起点です。
そして「戦略」と一概言っても、これはなかなかわかりにくいものです。

それを分かりやすく噛み砕いて皆さんにお伝えできるのが、
米国、英国で戦略を学んできた奥山真司です。
多くの先人の知恵から学び、独自の「戦略の階層」を考案しました。

この「戦略の階層」を用いてGoogle社のことを見てみると・・・

世界観は
「インターネットによって共有する情報化社会は人類を豊かにする」
であり、
政策は、
「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」
となります。

そして、それらの上位階層にある「抽象的」発想とタテに繋がった、
より下位の階層に位置付けられる「具体的な」施策を次々と打つのです。
例えば、その一つが法律改正であり、政治家やユーザーに訴える、
といった事柄もそれに当ります。

私たち日本人も、これからは時代の変化にあわせて、
まず最初に、より高い視点からの、自分の「世界観」や「ミッション」、
「政策」などをしっかり見定めた上で、
自らの人生の「目標」を立てていかなくてはならないのです。

現在、巷にあふれる「・・・の術」といった、
「抽象度」の低い「技術」レベルのみで、自己啓発ということを考えていると、
当然のことですが、より高い階層で発想している人にはかないません。

日本企業も同じく、「技術」といった
より「低い階層」から発想に偏りがちになってしまい、
「自らルールを創る」という、"創造的な"思考をしてこなかったのです。
「世界観」を考えることからスタートし、自分に有利なルールを考える。
そのような、より高い階層に意識を集中させることや、
"そもそも"そのような抽象度の高い概念を持とう!とすること。
そのような意識を持つことが大切なのです。

この「戦略の階層」を解説するCDでは、2012年9月に行われた
奥山真司著「世界を変えたいなら一度武器を捨てよう」
の出版記念講演での「戦略の階層」部分に焦点を合わせ、
さらにわかりやすく事例を追加し解説したものです。

このCDを聞くと以下のことが理解しやすくなっています。

・戦略を持たないことが奴隷である
・人間と動物の違いは戦略がある
・複雑な事態の重要性の順序立て。
・日本人の苦手な戦略と戦術の違い
・戦略的思考
・人や会社を評価するときにそのスケールについて
 例として、世界観がある人かどうかなどイメージ。
・世界観だけでなく、全階層が必要である。
・ビジネスは軍隊的思考から成り立っているため仕事でも応用できる
・どの段階に問題点があるか?などスケールしやすくなる

ご興味のある方は以下のアドレスをクリックして下さい

☆「戦略の階層」を解説するCD
http://www.realist.jp/strata.html
約90分にわたる対談による解説のCDとなっています。
講演会に参加できない方にはおすすめです。

つづきはこちら アメリカ通信バックナンバーへもどる


「戦略の階層」を解説するCD

戦略を語れない人生は奴隷だ

技術を制するのは高度な技術ではない。より上流階層からルール決めには対抗できない。
今こそ日本人は「戦略の階層」を学び、その全体像を理解しなければならない。

詳しくはこちらをどうぞ


このサイトはリアリズムについて学ぶ人を増やすためのサイトです。

さて、早速ですが、・ネオコンをはじめとする勢力が狙ってきた米国の世界一極覇権支配は、長くは続かない。・中国が膨張し、アジアの覇権をねらい、世界は多極構造になる。 90年代から上記のように予想し、米国内でも論争してきたのがリアリスト学派です。

リアリスト学派は、国家のパワー(軍事力、政治力、人口規模、経済力等)がもっとも大事な要素と考え、

正義やイデオロギー、理念は関係ない。国際関係はパワーで決まり、パワーを予測し戦略を立てよう

と考える学派で、19世紀の英国の行ったバランス・オブ・パワーを活用した大戦略を信条とします。

ところが「リアリスト」を自認する日本の親米保守派は、
「経済中心主義」で「安保無料(だだ)乗り」をし続けていますが、
実は、彼らは、以下の2点で決定的、かつ、致命的な誤りを犯していたのです。
そして、そうした日本の政策は、冷酷な米国のリアリストから、
単なる「バンドワゴニング」に過ぎない、と足元を見透かされているのです。

その2点とは、

(1)日本はアングロサクソン(米英)についていれば大丈夫。

(2)米国は「民主制度」と「法治」、「人権」を重んずる日本を信頼し、
   一党独裁の共産主義中国を嫌っている。

ということです。

まず、(1)については、
日英同盟時も上手くいった。だから、これからも米国についてゆけば大丈夫!
万事問題ないというものです。

しかし、我が日本が戦後60年間、幸いにして戦争に巻き込まれなかったのは、
ほとんど偶然の産物であったということは、強く認識しておく必要があります。

米国は国益に係わることならば、いとも簡単に「友達」を切り捨て、裏切る国である。
国論が変われば友好国をあっさり切り捨ててきたことは、これまでの歴史の事実が証明しています。

・日中戦争では、蒋介石を応援しつつも、途中から毛沢東支援にまわった。

・ソ連打倒のためには台湾(中華民国)を切り捨て、中華人民共和国と国交を結んだ。

・ベトナム戦争では出口がみえなくなり、結局南ベトナム支援からあっさり撤退した。

・米国が支援していた南ベトナムは崩壊し、大量の難民があふれ出た。

・イラン・イラク戦争の時、イランが戦争に勝って影響力が拡大することを恐れた米国は、
 サダムフセインに(イラク)に軍事的な支援をした。
 しかし、支援した米国は干渉してこないと思ったフセインは、その後クウェートに侵攻し、
 湾岸戦争、イラク侵攻と2度の戦争で米国に打ちのめされ、最後は米軍に捕まり処刑された。

如何でしょうか?

これでもまだあなたは、アメリカはずっと「友達」でいてくれる!

と思えますか?

次に、(2)についてですが、
欧米メディアなどの報道によれば、米国内における中国の工作員の数は激増しています。
更には、人民解放軍には「政治工作条例」なるものまであります。
彼らは世論戦、心理戦、法律戦からなる「三戦」の任務を与えられ、
まさに今、中国は国策として、米国内で「世論戦」を仕掛けている、というのが冷酷な事実です。

正義や真実でなく、ウソでも現実をつくれると考える中国の
カネも人員もかけたまさに「人海戦術」的な、この国家戦略が功を奏し、
すでに米国世論では「尖閣は日本が強奪した島だ」ということに傾き始めている・・・
この危険な状況を皆さんはご存知でしょうか?

-*- -*-

例えば、韓国との従軍慰安婦問題をみるまでもなく、
日本国内で、いわゆる「保守派」といわれる人達が、
どれだけ「真実」を主張しても、
同じ日本人であるはずの国内左翼勢力がこの外患に呼応するという、
典型的なパターンに陥っている事例は、枚挙に暇がありません。

白州次郎は「日本をプリンシプルのない国」と言いました。
しかし、残念ながら、この分析は現在の日本にも今だに当てはまっているのです。

これらの冷酷な事実を踏まえ、
本サイトで皆さんとともに真剣に考えていきたいのは、以下の2点です。

・日本はいかにして「パワー」を獲得すればいいのか?

・どんな国家像を描き、グランド・ストラテジーを立てればよいのか?

この二つの質問を念頭に据えて、米国のリアリスト思考を学び、
日本におけるリアリスト思考を広げ、リアリスト学派をつくっていく。

これが、このサイト、www.realist.jpの目的です。
あなたも是非議論に加わって下さい。



リアリスト思考を最初に日本にもたらした、
シカゴ学派、元フーバー研究所上席研究員、故・片岡鉄哉先生に捧ぐ

日本がこのままの状態でいけば、
少なくとも十年以内に、二流、三流の地位まで確実に堕ちていくことになる。
現在の日本の状況を冷静に見れば、
どう考えてもそういう結論しか出てこないのだ。
しかし、日本はそのまま堕ちっぱなしというわけではない。

何年後になるかわからないが、日本はしぶとく復活するはずである。
国家というのはいつまでも堕ちっぱなしということはなく、
反省して自覚した国民が生まれ、それが国を復興することになるからである。

そのときに、決定的に必要となつてくるのが「理想」である。

地政学の祖であるマッキンダーは、
「人類を導くことができるのは、ただ理想の持つ魅力だけだ」
と言っている。

しかし彼は、同時に現実を冷静に見る目を
忘れてはならないことを鋭く警告している。
それが地理と歴史を冷静に分析した、
地政学という学問が与えてくれる視点なのである。
彼が一九一九年に発表した『デモクラシーの理想と現実』
という本の題名は、このような理想と現実のバランスの大切さを訴えている。

世界はこれから「カオス化」していく。
これはつまり、世界はこれからますます複雑化した
先の見えない場になるということである。

そして日本は、「カオス化」された状況の中で
自立を目指さなければならないし、
むしろ自立せざるを得ない状況に追い込まれることになるかもしれない。
そして、その中で世界に伍していくためには、
日本人は何よりもまず、リアリズムの思考法を身につけなければならない。

日本人は自分で責任を持って戦略を考えるという思考を捨ててしまい、
安易に平和的な解決だけを求めるという体質が染みついてしまった。
たとえば、外交における戦略も「善か悪か」で判断するため、
善を探そうとするあまり、次の一手がどうしても遅くなる。

しかも、日本が「善かれ」と思って世界に主張したことは、
まずもって善として見られていない。
他国はリアリズムの視点で「日本が何を狙っているのか」
と冷酷に見ているのだ。
だからこそ、わが国も外交戦略を「善悪」ではなく、
「強弱」で見るように訓練しなければならない。
「強弱」とは、現在わが国にとって、
この政策は他国と比べて立場を強めてくれるのか
弱めるものかという冷静な判断である。

弱いのであれば、より強い政策を打ち出さなければならないし、
強いものであれば、政策をより国益に近づけなければならない。
こうしたリアリズムの思考を身につけることは、
むしろ「国際的なマナー」なのである。