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地政学を英国で学んだ
しばらくお待ち下さい。
2012年12月28日 なぜ日本はいつまでたっても欧米の【奴隷】なのか?

「アメリカ通信」読者の皆さま。
管理人です。

本年も「アメ通」をお読み頂きまして、
誠にありがとうございました。

さて、先日、
▼FacebookPage:リアリスト評議会「アメリカ通信」
 https://www.facebook.com/realist.jp
でも、ご紹介させて頂きましたが、
年の瀬にとても嬉しい贈り物を頂きまして、
その内容がとても素晴らしかったので、
「アメ通」読者の皆さまともシェアさせて頂きます。

これまで何度もご紹介させて頂いておりますが、

▼ロシア政治経済ジャーナル
 http://www.mag2.com/m/0000012950.html

の北野さんが、「戦略の階層」CDのレビューを書いて下さいました。

これから、その本文をご紹介致しますが、
まさに、おくやまさんと私たちが(密かに)意識していた、
ポイントをズバリと突いて下さり、
特に、管理人自身はまさに「我が意を得たり!」
という感覚で、おくやまさんご自身以上に(笑)喜んでしまいました。

「戦略の階層」?なにそれ?
と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、
まずは、以下にご紹介する、北野さんの文章を読むだけでも、
多くの示唆と刺激が得られると思いますので、ぜひお読みください。

そして、年末年始で、何か面白い本を読みたい!
とお思いの方には、北野さんのご著書達もオススメですので、
ぜひ、お手にとってお読みになってみて下さい。

北野さんの本は、平易な言葉で綴られておりますが、
その内容は本質を鋭く捉えております。
読み終わったあとの満足感は、管理人が保証いたします。(笑)

---
■プーチン 最後の聖戦
-ロシア最強リーダーが企むアメリカ崩壊シナリオとは?
http://goo.gl/BB3JT

■隷属国家 日本の岐路
―今度は中国の天領になるのか?
http://goo.gl/f8oP0

■中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日
―一極主義 vs 多極主義
http://goo.gl/2yYmQ

■ボロボロになった覇権国家(アメリカ)
http://goo.gl/Zjrmu
---

それでは、北野さんのメルマガを転載させて頂きます。

(ご紹介はじめ)

== RPE Journal============================
▼ロシア政治経済ジャーナル No.891(2012/12/25)
http://archive.mag2.com/0000012950/index.html
==========================================

★なぜ日本はいつまでたっても欧米の【奴隷】なのか?


全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。

先日、私が「この人はひょっとして諸葛孔明の生まれ変わりなのではないか?」と思っている、
日本一の地政学者・奥山真司先生と日本変革をリードするスーパーエリート必読メルマガ
「アメ通」(→ http://www.mag2.com/m/0000110606.html  )
の管理人さんから、すごいCDをプレゼントしてもらいました。

●「戦略の階層」を徹底解説するCD
(詳細は→ http://www.realist.jp/strata.html )

といいます。

レーガン大統領の戦略アドバイザーだったコリン・グレイ博士から「地政学」を学んだ。
そして、今では「日本一の地政学者、戦略学者」といわれる奥山先生が

「人生戦略」のCDを出された。

今回は、これを取り上げさせていただきます。

ずばり「CDの内容そのもの」ではなく、私が「面白いな」と思った部分についてです。

▼日本はアメリカ幕府の天領

私たちの祖国・日本は、なぜ欧米(特にアメリカ)の奴隷なのでしょうか?
いえ、「奴隷」というのは、言葉が強すぎですね。

私はいつも、日本は「アメリカ幕府の天領」という表現を使っています。

私たちは普通、「戦争に負けたからだ」と考えます。

戦争に負けた。

GHQが「自虐史観」を植えつけて、「日本人は大昔から極悪民族だった」と洗脳した。


軍隊を持つことを禁じられ、そのかわり米軍が日本全国に駐留している。
日米安保で、「安全保障を丸投げ」するかわり、
自分たちはアメリカの「属国」であることを受け入れた。

等々。

これもそうなのですが、今回は別の理由について。


▼日本と欧米の決定的違い


日本がいつも欧米に負け、コントロールされているのは、なぜなのでしょうか?
もちろん、日本と欧米が違うからなのですが、一体何が違うのでしょう?

奥山先生にきいてみましょう。

<欧米人と日本人の大きな違い、それは奴隷制と放牧の伝統の有無の違いです。
 たとえば、イギリスなどは植民地時代にプランテーションで、
 現地人をまとめて動物のように管理して、コントロールしてきました。
 これを別の言葉で言えば、マネジメントです。>

なるほど~。

現地人をまとめて動物のように管理して、コントロールする・・・。

日本人はいかにも苦手そうです。

<彼らはものを作るといった製造面についてはあまりタッチせず、
 どうすればうまく管理できるかだけを考えてきました。
 工業製品においては、失礼な言い方をするとまったく知能のない
 人間をベルトコンベヤーのように働かせ、彼らをいかに管理する
 かというマニュアルや、コスト削減のための賃金体系などを考えていました。
 つまり欧米人は、自国の利益や自分(資本家)の利益のために
 有利な仕組みを伝統的に作ってきた民族なのです。>

「自分に有利な仕組みをつくる」というところがポイントです。

一方、日本人はどうでしょうか?

<日本人は近現代に列強諸国と肩を並べるようになったとはいえ、
 戦争ではゼロ戦の技術や戦艦技術を磨くことは一生懸命やってきましたが、
 もともと管理するという考え方がなかったために、人を統治する
 という面では、結果的にうまくいきませんでした。>


わかります。

今でも日本はそうですね。

「不況を乗り切るためには、『画期的な製品』を開発して」などと考えます。

当時も、「いい製品(=ゼロ戦や戦艦)」をつくれば戦争に勝てる
と勘違いしていたのですね。


ここまでを復習してみます。

日本と欧米の違いを簡単に書くと。

・欧米は「管理すること」だけを考え、それに長けている。
・日本は「いい製品をつくること」を考え、それに長けている。
 
なんとなく、これだけだと、「なぜ日本は負けるのか?」がわかりませんね。

▼ルールをつくる欧米、ルールを守る日本

奥山先生は、さらに日本人と欧米人の違いを解説されます。

<彼らは歴史的に見ても、管理する、コントロールするという思考
 の蓄積があり、その文化が根づいています。
 戦略とは何かと簡単に言ってしまえば、

 「自分の思い通りにする」
 「自分の思い通りになるようコントロールする」

 ということです。>

そういえば、日本には「自分の思い通りに管理する」なんて文化はありません。

日本人はどうなのでしょうか?

<日本人の場合、コントロールするというよりも、自分をすでにある
 与えられた状況に何とか合わせようと考えます。 
 しかし、欧米人はどちらかと言うと、その状況を自分の有利な方向
 に変えようとします。>

まさにそうです。

この部分を読んで、奥山先生ではないですが、
以前どこかで読んだ話を思い出しました。

それは、日本人と欧米人の「宗教観」の違いです。

日本は神道で、「八百万の神々」でしょう?

自然の中に神様がいるので、「それを支配しよう」などと不遜な考えは抱かないと。

それに「地震」「台風」「洪水」「火山噴火」などがしょっちゅうある日本人にとって、
自然は「変えられないもの」「畏れ敬うものであった」と。

一方、欧米人の宗教は、「ユダヤ教」「キリスト教」です。
旧約聖書の最初になんと書いてあるか?

<「神は彼らを祝福して言われた。
 「生めよ、ふえよ、地に満ちよ、地を従わせよ。
 また海の魚と、空の鳥と、地に動くすべての生き物とを治めよ。

 神はまた言われた。

 「わたしは全地のおもてにある種をもつすべての草と、
 種のある実を結ぶすべての木とをあなたがたに与える。>

(旧約聖書 創世記1章28~29)

つまり、神様の子供たる人間は、
「地上のすべてを支配しなさい」というのが神からの命令。

「支配する」というのは、「人間に都合の悪い状態があれば、
自然の方を変えちゃえばいい」という発想なのだと。

ここまでは、私が以前に何かの本で読んだ話でした。

奥山先生は、欧米人と日本人の違いについて、こんな例をあげています。

<たとえば、エアコンを作るという発想は日本人にはなかなか生まれてきません。
 気温が高いのであれば水を撒いたり、葦簀(よしず)を立てかけたりして
 暑さを凌ごうと私たちは考えます。
 しかし、欧米人は気温を下げる装置を作れないかと考えるのです。
 つまり、日本人は環境に個人を合わせようとします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
一方、欧米人は環境を変えようとします。>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

欧米人がこういう発想をもっているおかげで
「日本はいつもコントロールされている」のであれば、
笑い事ではすまされません。


だって考えてください。

欧米は「ルールを決める」。
日本は「そのルール内でがんばる」。

すると、日本が欧米を負かすケースも出てくるでしょう?
そうなったら、欧米はどうするのでしょうか?

欧米は「自分たちが勝てるようにルールを変える」。
日本は「新しいルール内でがんばる」。

おわかりですね。
日本は、このままでは永遠に勝てないのです。
だって、欧米はいつも「自分たちが勝てるようにルールを変える」
のですから。

▼実害の例

ここまで「一般論」を見てきましたが、
奥山先生は実際の例をいくつもあげています。

<ソニーにしても、たとえば、エンターテイメントの分野で
 なぜ敗北したかという問題があります。
 製品技術は真似をされるということもありますが、
 そうした技術の問題よりも、
 音楽の流通そのものを握られてしまったことのほうが大きいのです。
 
 それはアップル社iTunesの登場にすべてが表れています。

 アップル側はiTunesという新しいシステムとともに、音楽配信のシステム、
 いわばルール作りも同時に行って、音楽の流通をすべて握ってしまったのです。>


とてもわかりやすい例ですね。

実は、「ルールを作って支配する」のはビジネス面だけではありません。

たとえば、スポーツ。

<たとえば、スポーツの世界でも同様です。
 日本が得意な種目に対しては、外国人に有利なようにルールが
 作られていくのを指をくわえて見ているだけです。
 1998年に開かれた長野オリンピックでは、ノルディック複合競技
 (クロスカントリーとスキージャンプの2つのノルディックスキー
 競技を合わせた種目)でジャンプの得意な日本に対して、
 そこで稼いだ秒数が下げられるというルールが採用されました。

 これは、前年に行われたトロンハイムの世界選手権大会で、
 ジャンプで加算された秒数を逃げ切って優勝した
 荻原健司選手を牽制するものでした。

 結果的に、翌年の長野オリンピックで優勝候補とされた荻原選手は、
 ジャンプで稼いだ秒数をノルディックで守ることができず、メダルを逃しました。>

金融の世界でもそうです。

<日本の銀行がすごく強くなったら、日本を狙い撃ちするような
 BIS規制という自己資本比率8パーセントという
 新しい国際統一基準が作られました。
 このルールのおかげで、日本の銀行がバタバタ潰れました。>


こう実例を次々と出されると、「日本がTPPのルール作りを主導する」なんて
「夢のような話」に思えてきますね。

▼日本の得意分野は、「戦略の階層」では一番●


さて、奥山先生の話、最大の目玉は「戦略の階層」です。
「戦略の階層」は7つにわかれています。

ところで、日本が得意とする「お家芸」はなんでしょうか?
そう、「技術力」です。これは大昔からそうです。

欧米列強の黒船を見たとき、アジア諸国は「こりゃあ勝てんわ」とあきらめた。
ところが、日本人だけは、「どうやったらこんなの作れるのかな?」と興味をもった。
そして、2~3年後には、実際につくってしまった。

日本の技術力は、こんな大昔からすごかったのですね。

第2次大戦の「ゼロ戦」も当時最高レベル。
戦後も、あっという間に、技術力でアメリカを追い抜いてしまった。
世界的にも「技術は、日本だ」という確固たる評判を確立しています。
それなのに、アメリカに第2次大戦で負け、バブル崩壊でまたもや負けた。

その理由については上で触れました。

もっと衝撃的で大事なこと。

戦略の7つの階層の中で、日本が得意とする「技術」は、なんと「最下層」にあるのです。

もちろん、技術力は高いのがいいに決まっています。
しかし、やはりそれだけでは足りないのです。

戦略ピラミッドをみると、

一番下に「技術」があり、その上に「戦術」「作戦」「軍事戦略」
「大戦略」「政策」「世界観」があります。

奥山先生のすごさは、「国家」の「戦略の階層」を
「個人の人生に使えばいいじゃないか」と考えたところ。

私たちは「日本の自立」を心から願っています。

そのためには、「欧米はルールを勝手に変えてけしからん!」
と憤っていても仕方ありません。
「欧米支配者階級」のルールを学び、
日本も対等に渡り合えるようにならなければならない。

そういう気概のある人は、迷うことなく、
再臨の諸葛孔明・奥山先生のCDをゲットしてください。

じっくり聞き、実践すれば、あなたの人生に「革命的変化」が起
こること、間違いありません。

●「戦略の階層」を徹底解説するCD
(詳細は→ http://www.realist.jp/strata.html )


というわけで、今回は、私が非常に尊敬する奥山真司先生のCDについてでした。

ところで、欧米の支配者と唯一対等にわたりあっている男がいます。

そう、ロシアのプーチン。

彼は、一体なぜ欧米の支配者とケンカする羽目になったのでしょうか?

これからどうやってアメリカを滅ぼす計画なのでしょうか?

知りたい方は、こちらをご一読ください。

山盛り証拠つきで全部わかります。

「プーチンが日本の首相だったら?」

【3刷決まりました!】
【アマゾン(社会・政治部門)1位!】
●「プーチン最後の聖戦」 (集英社インターナショナル)

(詳細は→ http://tinyurl.com/8y5mya3 )

<プーチン本はいろいろ出ているが、これが独特で面白い。>
(立花隆 「週刊文春」2012年7月12日号)

(ご紹介おわり)

つづきはこちら アメリカ通信バックナンバーへもどる


「戦略の階層」を解説するCD

戦略を語れない人生は奴隷だ

技術を制するのは高度な技術ではない。より上流階層からルール決めには対抗できない。
今こそ日本人は「戦略の階層」を学び、その全体像を理解しなければならない。

詳しくはこちらをどうぞ


このサイトはリアリズムについて学ぶ人を増やすためのサイトです。

さて、早速ですが、・ネオコンをはじめとする勢力が狙ってきた米国の世界一極覇権支配は、長くは続かない。・中国が膨張し、アジアの覇権をねらい、世界は多極構造になる。 90年代から上記のように予想し、米国内でも論争してきたのがリアリスト学派です。

リアリスト学派は、国家のパワー(軍事力、政治力、人口規模、経済力等)がもっとも大事な要素と考え、

正義やイデオロギー、理念は関係ない。国際関係はパワーで決まり、パワーを予測し戦略を立てよう

と考える学派で、19世紀の英国の行ったバランス・オブ・パワーを活用した大戦略を信条とします。

ところが「リアリスト」を自認する日本の親米保守派は、
「経済中心主義」で「安保無料(だだ)乗り」をし続けていますが、
実は、彼らは、以下の2点で決定的、かつ、致命的な誤りを犯していたのです。
そして、そうした日本の政策は、冷酷な米国のリアリストから、
単なる「バンドワゴニング」に過ぎない、と足元を見透かされているのです。

その2点とは、

(1)日本はアングロサクソン(米英)についていれば大丈夫。

(2)米国は「民主制度」と「法治」、「人権」を重んずる日本を信頼し、
   一党独裁の共産主義中国を嫌っている。

ということです。

まず、(1)については、
日英同盟時も上手くいった。だから、これからも米国についてゆけば大丈夫!
万事問題ないというものです。

しかし、我が日本が戦後60年間、幸いにして戦争に巻き込まれなかったのは、
ほとんど偶然の産物であったということは、強く認識しておく必要があります。

米国は国益に係わることならば、いとも簡単に「友達」を切り捨て、裏切る国である。
国論が変われば友好国をあっさり切り捨ててきたことは、これまでの歴史の事実が証明しています。

・日中戦争では、蒋介石を応援しつつも、途中から毛沢東支援にまわった。

・ソ連打倒のためには台湾(中華民国)を切り捨て、中華人民共和国と国交を結んだ。

・ベトナム戦争では出口がみえなくなり、結局南ベトナム支援からあっさり撤退した。

・米国が支援していた南ベトナムは崩壊し、大量の難民があふれ出た。

・イラン・イラク戦争の時、イランが戦争に勝って影響力が拡大することを恐れた米国は、
 サダムフセインに(イラク)に軍事的な支援をした。
 しかし、支援した米国は干渉してこないと思ったフセインは、その後クウェートに侵攻し、
 湾岸戦争、イラク侵攻と2度の戦争で米国に打ちのめされ、最後は米軍に捕まり処刑された。

如何でしょうか?

これでもまだあなたは、アメリカはずっと「友達」でいてくれる!

と思えますか?

次に、(2)についてですが、
欧米メディアなどの報道によれば、米国内における中国の工作員の数は激増しています。
更には、人民解放軍には「政治工作条例」なるものまであります。
彼らは世論戦、心理戦、法律戦からなる「三戦」の任務を与えられ、
まさに今、中国は国策として、米国内で「世論戦」を仕掛けている、というのが冷酷な事実です。

正義や真実でなく、ウソでも現実をつくれると考える中国の
カネも人員もかけたまさに「人海戦術」的な、この国家戦略が功を奏し、
すでに米国世論では「尖閣は日本が強奪した島だ」ということに傾き始めている・・・
この危険な状況を皆さんはご存知でしょうか?

-*- -*-

例えば、韓国との従軍慰安婦問題をみるまでもなく、
日本国内で、いわゆる「保守派」といわれる人達が、
どれだけ「真実」を主張しても、
同じ日本人であるはずの国内左翼勢力がこの外患に呼応するという、
典型的なパターンに陥っている事例は、枚挙に暇がありません。

白州次郎は「日本をプリンシプルのない国」と言いました。
しかし、残念ながら、この分析は現在の日本にも今だに当てはまっているのです。

これらの冷酷な事実を踏まえ、
本サイトで皆さんとともに真剣に考えていきたいのは、以下の2点です。

・日本はいかにして「パワー」を獲得すればいいのか?

・どんな国家像を描き、グランド・ストラテジーを立てればよいのか?

この二つの質問を念頭に据えて、米国のリアリスト思考を学び、
日本におけるリアリスト思考を広げ、リアリスト学派をつくっていく。

これが、このサイト、www.realist.jpの目的です。
あなたも是非議論に加わって下さい。



リアリスト思考を最初に日本にもたらした、
シカゴ学派、元フーバー研究所上席研究員、故・片岡鉄哉先生に捧ぐ

日本がこのままの状態でいけば、
少なくとも十年以内に、二流、三流の地位まで確実に堕ちていくことになる。
現在の日本の状況を冷静に見れば、
どう考えてもそういう結論しか出てこないのだ。
しかし、日本はそのまま堕ちっぱなしというわけではない。

何年後になるかわからないが、日本はしぶとく復活するはずである。
国家というのはいつまでも堕ちっぱなしということはなく、
反省して自覚した国民が生まれ、それが国を復興することになるからである。

そのときに、決定的に必要となつてくるのが「理想」である。

地政学の祖であるマッキンダーは、
「人類を導くことができるのは、ただ理想の持つ魅力だけだ」
と言っている。

しかし彼は、同時に現実を冷静に見る目を
忘れてはならないことを鋭く警告している。
それが地理と歴史を冷静に分析した、
地政学という学問が与えてくれる視点なのである。
彼が一九一九年に発表した『デモクラシーの理想と現実』
という本の題名は、このような理想と現実のバランスの大切さを訴えている。

世界はこれから「カオス化」していく。
これはつまり、世界はこれからますます複雑化した
先の見えない場になるということである。

そして日本は、「カオス化」された状況の中で
自立を目指さなければならないし、
むしろ自立せざるを得ない状況に追い込まれることになるかもしれない。
そして、その中で世界に伍していくためには、
日本人は何よりもまず、リアリズムの思考法を身につけなければならない。

日本人は自分で責任を持って戦略を考えるという思考を捨ててしまい、
安易に平和的な解決だけを求めるという体質が染みついてしまった。
たとえば、外交における戦略も「善か悪か」で判断するため、
善を探そうとするあまり、次の一手がどうしても遅くなる。

しかも、日本が「善かれ」と思って世界に主張したことは、
まずもって善として見られていない。
他国はリアリズムの視点で「日本が何を狙っているのか」
と冷酷に見ているのだ。
だからこそ、わが国も外交戦略を「善悪」ではなく、
「強弱」で見るように訓練しなければならない。
「強弱」とは、現在わが国にとって、
この政策は他国と比べて立場を強めてくれるのか
弱めるものかという冷静な判断である。

弱いのであれば、より強い政策を打ち出さなければならないし、
強いものであれば、政策をより国益に近づけなければならない。
こうしたリアリズムの思考を身につけることは、
むしろ「国際的なマナー」なのである。