・バックナンバートップ

日本の国益を考える
無料メルマガ「アメリカ通信」

・リアリズムの話をしよう





地政学を英国で学んだ
しばらくお待ち下さい。
2013年01月10日 「戦略の階層」を通して、本田直之さんを分析してみた。

アメ通共同管理人の和田です。

前回は「バフェットとジョブズ」という、
海外のビジネスパーソンをご紹介しましたが、
今回は、日本人で、私が面白いと思っている人物を取り上げてみます。

皆さんは、本田直之氏をご存知でしょうか?
ビジネス書で累計200万部を売っているベストセラー作家です。

「レバレッジリーディング」、
「ノマドライフ 好きな場所に住んで自由に働くために、やっておくべきこと」や、
「ハワイを極める50の法則」
など勉強法や仕事術からライフスタイルまで多数の著書があるので、
ご存じの方も多いのではないでしょうか。

彼のユニークなところは、学生時代にハワイに行き、大好きになった。
そこまでは、よくある話というか、誰でもそうですね。(笑)

しかし、その後が彼のスゴいところで、
そのハワイに「自由に行き来できるスタイル」というものを真剣に模索し、
自分の人生戦略に取り込んでしまったところです。

この「ヴィジョン」を実現すべく一貫して行動してきたことが、
彼の著書を読んみると、とてもよく伝わって来ます。
彼は、16年の歳月をかけて、ハワイと日本の両方で暮らす"デュアルライフ"
を確立したのですが、この一貫した執念は驚きです。

そして、今となっては、もはや、
その人生を確立する過程(戦術面)のキーワードさえ、
自らの執筆・講演活動の重要なトピックの一つになっています。

自分が「好きなこと」をやって、それが採算が合って、収益化でき、
かつ「ブランディング」にも直結しているので、
これは「戦略の階層」の考え方そのものです。

               -:-:-:-

本田直之氏の★「世界観」★は
おそらくですが、「自由な人生」という価値観なのではないかと思います。
ここについては、必ずしも著書のみからでは、わからない部分でもあります。

★「政策」★としては、若干漠然としていますが、
いわゆる"ノマドライフ"という考え方が当てはまるのではないかと思います。
これは、現在、一部で話題になっている、
スタバやマックでたむろしている小僧(笑)の浮ついた「ノマド」とは違い、
まさに本物のノマドワークスタイルを地でいってます。
彼のやっていることは、ハワイ以外の、他の国や地域でも
十分に応用できるノウハウに昇華しつつあるのではないでしょうか?

★「大戦略」(ライフ・ストラテジー)★として、
東京、ハワイ両拠点でのビジネス(会社経営・役員)と生活の確立・デュアルライフ。
     
ここまでが「戦略の階層」でいえば、上位概念の部分にあたります。

本田直之氏は、活動拠点を自分の好きな場所で自由に選び、
仕事をライフワーク的こなせるように、自らの「人生戦略」を造り込んでいます。

そして、ここがポイントなのですが、

ハワイに行ってハワイを好きになる人はたくさんいます。
たとえばここを「リゾート地」としてとらえれば、
それは、一過性の、単なる楽しみの場に過ぎません。

ところが彼の場合はそれだけに留まることなく、
「職場」か「生活の場」ととらえた点が、他の人とは決定的に違うのです。

サスティナビリティ(持続可能な、永続性)という言葉がありますが、
好きな場所を職場として、好きなこと仕事にすれば、
経済的にも精神的にも、この「サスティナビリティ」が実現するわけです。
この「サスティナビリティ」は上位階層の概念に入ります。

             -:-:-:-

さらに、彼の言動を検討しゆくと、

★「軍事戦略(ビジネス戦略)」★としては、
・レバレッジシリーズの作家
・ノマドライフとしての作家
・企業、個人のコンサルティング

★「作戦(キャンペーン)」★として、
・講演
・コンサルティング
・トライアスロンチーム
・ワイン講習の講師

★「戦術」★として、
・ワイン
・仕事術
・会社経営
・ハワイのレストラン・グルメ
・読書術

★「技術」★(ネタ)として、
サーフィン
iPhone、Macなどのガジェット
英語力
読書
筋トレ

このように、「戦略の階層」というスコープを通して視ると
彼の著書からいくつかの要素が垣間見えてくるわけです。

              -:-:-:-

彼のように、ハワイのネタを自分のブランディングに取り込んで、
それに関連するものをどんどん換金していけるツールに変えたプロセスは、
まさに「アッパレ」のひと言です。

本田氏は、今でこそ、誰もが羨む自由人的生活を送っているようですが、
実際は、16年がかりでハワイに拠点を築き、
「作家」となる過程では、当初、出版社から相手にされなった、
という経験もしています。

しかし、彼は「ハワイ上陸戦略」というヴィジョン、
つまり、「戦略の階層」上の上位概念をしっかり持ち、
その下位概念をも試行錯誤してアップデートすることで、
自分の心から「好きなこと」を、「ライフワーク」として、
ばっちり組み込むことができたわけですね。

先程、★「軍事戦略(ビジネス戦略)」★という階層をご紹介しましたが、
これは、「食うための仕事」に近いものです。
サラリーマンで、自分の仕事のことが好きでない人は多いのですが、
それは、自らの思考が、この「ビジネス戦略」の階層に留まってしまっているからです。

★「大戦略」(ライフ・ストラテジー)★の階層が、
仕事に関する「世界観」に当ります。

自らの仕事は「趣味」でもあり、更に言えば、
もはや「人生そのもの」となってしまった事業モデルです。

             -:-:-:-

隣の芝生は青く見える...
それは、あなた自身が好きでない事をやっているからです。
あなたが、自らの「世界観」にがっちりと裏付けられた
自分が本当に望む「好きなこと」をやっているのならば
そもそも、他人のことを"羨ましい"とは思わないはずです。

嫌いなことを仕事としてやっている人は、
自分の「世界観」に基づくことをやっていないので、
「戦略の階層」的文脈で言えば、
★「軍事戦略」★以下の下位概念、
所詮、"戦術的生き方"しか出来ていない...とも言えるわけです。

さて、少し挑発的に書いてしまいました。(笑)

ですが、ここまで読み進めた皆さんならば、
多かれ少なかれ、何がしかの想いを抱かれたのではないでしょうか?

私がここで言うまでもなく、人生は短いです。
自分自身の「戦略の階層」をしっかり構築して、
価値観を共有する人を人生の伴侶とし、
また、本当に信頼できる人物を仕事のパートナーに向かい入れたいと思います。

より上位の戦略概念が合えば、その人とは長く付き合えるでしょうし、
逆に、下位概念しか合わないであれば、それは、結局、
短い付き合いになってしまうようにも思います。

せっかくの出会いを、最後に「価値観が違う!」
といって喧嘩別れなどしてしまうのはとても辛いことです。
この「戦略の階層」をしっかと身につけて、徹底的に"使い倒して"みて下さい。

「戦略の階層」を通して、あらためて、
ご自身の「人生」を見詰め直してみては如何でしょうか?

(共同管理人 和田)

つづきはこちら アメリカ通信バックナンバーへもどる


「戦略の階層」を解説するCD

戦略を語れない人生は奴隷だ

技術を制するのは高度な技術ではない。より上流階層からルール決めには対抗できない。
今こそ日本人は「戦略の階層」を学び、その全体像を理解しなければならない。

詳しくはこちらをどうぞ


このサイトはリアリズムについて学ぶ人を増やすためのサイトです。

さて、早速ですが、・ネオコンをはじめとする勢力が狙ってきた米国の世界一極覇権支配は、長くは続かない。・中国が膨張し、アジアの覇権をねらい、世界は多極構造になる。 90年代から上記のように予想し、米国内でも論争してきたのがリアリスト学派です。

リアリスト学派は、国家のパワー(軍事力、政治力、人口規模、経済力等)がもっとも大事な要素と考え、

正義やイデオロギー、理念は関係ない。国際関係はパワーで決まり、パワーを予測し戦略を立てよう

と考える学派で、19世紀の英国の行ったバランス・オブ・パワーを活用した大戦略を信条とします。

ところが「リアリスト」を自認する日本の親米保守派は、
「経済中心主義」で「安保無料(だだ)乗り」をし続けていますが、
実は、彼らは、以下の2点で決定的、かつ、致命的な誤りを犯していたのです。
そして、そうした日本の政策は、冷酷な米国のリアリストから、
単なる「バンドワゴニング」に過ぎない、と足元を見透かされているのです。

その2点とは、

(1)日本はアングロサクソン(米英)についていれば大丈夫。

(2)米国は「民主制度」と「法治」、「人権」を重んずる日本を信頼し、
   一党独裁の共産主義中国を嫌っている。

ということです。

まず、(1)については、
日英同盟時も上手くいった。だから、これからも米国についてゆけば大丈夫!
万事問題ないというものです。

しかし、我が日本が戦後60年間、幸いにして戦争に巻き込まれなかったのは、
ほとんど偶然の産物であったということは、強く認識しておく必要があります。

米国は国益に係わることならば、いとも簡単に「友達」を切り捨て、裏切る国である。
国論が変われば友好国をあっさり切り捨ててきたことは、これまでの歴史の事実が証明しています。

・日中戦争では、蒋介石を応援しつつも、途中から毛沢東支援にまわった。

・ソ連打倒のためには台湾(中華民国)を切り捨て、中華人民共和国と国交を結んだ。

・ベトナム戦争では出口がみえなくなり、結局南ベトナム支援からあっさり撤退した。

・米国が支援していた南ベトナムは崩壊し、大量の難民があふれ出た。

・イラン・イラク戦争の時、イランが戦争に勝って影響力が拡大することを恐れた米国は、
 サダムフセインに(イラク)に軍事的な支援をした。
 しかし、支援した米国は干渉してこないと思ったフセインは、その後クウェートに侵攻し、
 湾岸戦争、イラク侵攻と2度の戦争で米国に打ちのめされ、最後は米軍に捕まり処刑された。

如何でしょうか?

これでもまだあなたは、アメリカはずっと「友達」でいてくれる!

と思えますか?

次に、(2)についてですが、
欧米メディアなどの報道によれば、米国内における中国の工作員の数は激増しています。
更には、人民解放軍には「政治工作条例」なるものまであります。
彼らは世論戦、心理戦、法律戦からなる「三戦」の任務を与えられ、
まさに今、中国は国策として、米国内で「世論戦」を仕掛けている、というのが冷酷な事実です。

正義や真実でなく、ウソでも現実をつくれると考える中国の
カネも人員もかけたまさに「人海戦術」的な、この国家戦略が功を奏し、
すでに米国世論では「尖閣は日本が強奪した島だ」ということに傾き始めている・・・
この危険な状況を皆さんはご存知でしょうか?

-*- -*-

例えば、韓国との従軍慰安婦問題をみるまでもなく、
日本国内で、いわゆる「保守派」といわれる人達が、
どれだけ「真実」を主張しても、
同じ日本人であるはずの国内左翼勢力がこの外患に呼応するという、
典型的なパターンに陥っている事例は、枚挙に暇がありません。

白州次郎は「日本をプリンシプルのない国」と言いました。
しかし、残念ながら、この分析は現在の日本にも今だに当てはまっているのです。

これらの冷酷な事実を踏まえ、
本サイトで皆さんとともに真剣に考えていきたいのは、以下の2点です。

・日本はいかにして「パワー」を獲得すればいいのか?

・どんな国家像を描き、グランド・ストラテジーを立てればよいのか?

この二つの質問を念頭に据えて、米国のリアリスト思考を学び、
日本におけるリアリスト思考を広げ、リアリスト学派をつくっていく。

これが、このサイト、www.realist.jpの目的です。
あなたも是非議論に加わって下さい。



リアリスト思考を最初に日本にもたらした、
シカゴ学派、元フーバー研究所上席研究員、故・片岡鉄哉先生に捧ぐ

日本がこのままの状態でいけば、
少なくとも十年以内に、二流、三流の地位まで確実に堕ちていくことになる。
現在の日本の状況を冷静に見れば、
どう考えてもそういう結論しか出てこないのだ。
しかし、日本はそのまま堕ちっぱなしというわけではない。

何年後になるかわからないが、日本はしぶとく復活するはずである。
国家というのはいつまでも堕ちっぱなしということはなく、
反省して自覚した国民が生まれ、それが国を復興することになるからである。

そのときに、決定的に必要となつてくるのが「理想」である。

地政学の祖であるマッキンダーは、
「人類を導くことができるのは、ただ理想の持つ魅力だけだ」
と言っている。

しかし彼は、同時に現実を冷静に見る目を
忘れてはならないことを鋭く警告している。
それが地理と歴史を冷静に分析した、
地政学という学問が与えてくれる視点なのである。
彼が一九一九年に発表した『デモクラシーの理想と現実』
という本の題名は、このような理想と現実のバランスの大切さを訴えている。

世界はこれから「カオス化」していく。
これはつまり、世界はこれからますます複雑化した
先の見えない場になるということである。

そして日本は、「カオス化」された状況の中で
自立を目指さなければならないし、
むしろ自立せざるを得ない状況に追い込まれることになるかもしれない。
そして、その中で世界に伍していくためには、
日本人は何よりもまず、リアリズムの思考法を身につけなければならない。

日本人は自分で責任を持って戦略を考えるという思考を捨ててしまい、
安易に平和的な解決だけを求めるという体質が染みついてしまった。
たとえば、外交における戦略も「善か悪か」で判断するため、
善を探そうとするあまり、次の一手がどうしても遅くなる。

しかも、日本が「善かれ」と思って世界に主張したことは、
まずもって善として見られていない。
他国はリアリズムの視点で「日本が何を狙っているのか」
と冷酷に見ているのだ。
だからこそ、わが国も外交戦略を「善悪」ではなく、
「強弱」で見るように訓練しなければならない。
「強弱」とは、現在わが国にとって、
この政策は他国と比べて立場を強めてくれるのか
弱めるものかという冷静な判断である。

弱いのであれば、より強い政策を打ち出さなければならないし、
強いものであれば、政策をより国益に近づけなければならない。
こうしたリアリズムの思考を身につけることは、
むしろ「国際的なマナー」なのである。