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地政学を英国で学んだ
しばらくお待ち下さい。
2013年01月18日【特別号】★安倍さんの外交戦略は、正しいの?

「アメ通」読者の皆さまこんにちは。管理人です。

こちらではお久しぶりになるでしょうか。
※Facebookのほうでは、ちょこちょことお邪魔しておりますが...(笑)

さて、本日は、ぜひ皆さまにお知らせしたいお話がありまして、
特別号として配信させて頂きます。

これまで何度も、管理人がご紹介させて頂いておりますメルマガ、
「ロシア政治経済ジャーナル」誌にて、非常に重要な話題が取り上げられておりました。

「アメ通」読者の皆さまにも、すぐにこれを知って頂きたいので、
管理人は、さっさと引っ込みます。

下記転載文、ぜひ、すぐにお読み下さい。

(転載はじめ)

== RPE Journal===================================================


        ロシア政治経済ジャーナル No.897

                         2013/1/18

================================================================


★安倍さんの外交戦略は、正しいの?


全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。


今回は、


・安倍さんの外交戦略とは?

・安倍さんの外交戦略は正しいの?


を考えてみましょう。


▼知られざる安倍さんの「外交戦略」


皆さん、安倍さんの「外交戦略」ってご存知ですか?

おそらく知らないでしょう。

私も、つい最近まで知りませんでした。


ところが先日、読者の朝香様から以下のようなメールをいただき、
そういうものが存在していたことを知りました。

いただいたメールはこちら。

<北野様、いつもお世話になります。

朝香です。

剣kennさんという方が、ブログで面白い記事を書かれていました。

一度ご覧下さい。

http://kennkenngakugaku.blogspot.jp/2013/01/blog-post_10.html?spref=tw

そこで、開いてみると、こうありました。


【●転載ここから▼】

<プラハに本拠を置く国際NPO団体「プロジェクトシンジケート」
のウェブサイトに、12月27日付けで安倍晋三首相の英語論文
が掲載された。

しかし国内メディアはこの論文に沈黙を守っている。

安倍総理は何を語ったのか。

今、日本では奇妙奇天烈な事態が起きている。日本の総理大
臣が英語で世界に訴えた論文を、当の日本メディアが一切取
り上げようとしないのだ。

そもそも安倍総理が英語で論文を発表していたということ自体、
初耳だという人がほとんどなのではないか。

安倍総理が論文を発表したのはプラハに本拠を置く国際NPO
団体「プロジェクトシンジケート」のウェブサイトである。

プロジェクトシンジケートは世界各国の新聞社・通信社と提携
しており、各国要人のインタビュー記事を配信するなど実績あ
るNPOだ。

その格調高さは安倍総理以外の寄稿者の顔ぶれを見ても一
目瞭然だろう。

ジョージ・ソロス、ジョセフ・スティグリッツ、ビル・ゲイツ、マイケ
ル・サンデル、クリスティーヌ・ラガルド、などなど。

2月に出版されるプロジェクトシンジケート叢書では、安倍総
理の論文がこれら寄稿者の劈頭を飾ることになるようだが、気
づいていないのか、知っていて無視を決め込んでいるのか、
日本マスコミの沈黙は不気味としか言いようがない。

自国の宰相が英文で世界に訴えたメッセージを、当の日本国
民が知らぬ存ぜぬでは、世界に対してあまりに恥ずかしいと
いうものではないか。

しかも朝日・読売・日経といった国内大手新聞はプロジェクトシ
ンジケートと提携しているにもかかわらずだ。

 当方はこんな奇妙奇天烈な事態を黙過しがたい。

そこでガラにもなく安倍総理の英語論文を訳してみることにした。

翻訳の専門家ではないので誤訳・迷訳・欠陥翻訳はご愛敬と
して読み捨てていただきたい。

大意を汲んでいただければ十分である。>


【●転載ここまで▲】


安倍さんの、経済政策「アベノミクス」は、全国民が知ってい
ます。


しかし、「外交はどうするのかな?」知らない人がほとんど。

ていうか、恥ずかしながら私自身も知りませんでした。


もちろん、経済政策も超重要。

しかし、外交も同じくらい重要です。


なぜかというと、日本は戦後初めて、「戦争の危機」に直面して
いる。


以前、「中国国民の90%以上が日本との戦争に賛成している」
という衝撃のデータをご紹介しました。

【RPE】【衝撃】★中国人のなんと●●%が対日本戦争支持
http://archive.mag2.com/0000012950/20120721055755000.html

「平和ボケ」な人は、「平和憲法が日本を守ってくれる」と主張し
ていた。

しかし、「ヤクザな世界」では、そんなもん全然役にたたないこと
がわかってきたのです。


こういう非常事態ですので、安倍さんの「外交戦略」はとても大
事です。


そして、日本を愛する一国民である私たちは、自国総理の頭の
中を知っておく必要があるでしょう。


では、安倍さんは何を書いているのか?


▼安倍さんの「アジア・セキュリティーダイヤモンド」とは?


ここからも、

「剣kenn諤々 」さまのブログから転載させていただきます。

翻訳は、同ブログ運営者 剣kenn  さまです。

心から感謝申し上げます。

(●ブログはこちら↓)
http://kennkenngakugaku.blogspot.jp/2013/01/blog-post_10.html?spref=tw


【●転載ここから▼】


Asia's Democratic Security Diamond

http://www.project-syndicate.org/commentary/a-strategic-alliance-for-japan-and-india-by-shinzo-abe

(●北野註↑原文を読みたい方はこちら)


アジアの民主主義セキュリティダイアモンド

 2007年の夏、日本の首相としてインド国会のセントラルホー
ルで演説した際、私は「二つの海の交わり」 ─1655年にムガ
ル帝国の皇子ダーラー・シコーが著わした本の題名から引用
したフレーズ─ について話し、居並ぶ議員の賛同と拍手喝采
を得た。

あれから5年を経て、私は自分の発言が正しかったことをます
ます強く確信するようになった。

 太平洋における平和、安定、航海の自由は、インド洋におけ
る平和、安定、航海の自由と切り離すことは出来ない。

発展の影響は両者をかつてなく結びつけた。

アジアにおける最も古い海洋民主国家たる日本は、両地域の
共通利益を維持する上でより大きな役割を果たすべきである。


 にもかかわらず、ますます、南シナ海は「北京の湖」となって
いくかのように見える。

アナリストたちが、オホーツク海がソ連の内海となったと同じく
南シナ海も中国の内海となるだろうと言うように。

南シナ海は、核弾頭搭載ミサイルを発射可能な中国海軍の
原潜が基地とするに十分な深さがあり、間もなく中国海軍の
新型空母がよく見かけられるようになるだろう。

中国の隣国を恐れさせるに十分である。


 これこそ中国政府が東シナ海の尖閣諸島周辺で毎日繰り
返す演習に、日本が屈してはならない理由である。

軽武装の法執行艦ばかりか、中国海軍の艦艇も日本の領
海および接続水域に進入してきた。

だが、このような"穏やかな"接触に騙されるものはいない。


これらの船のプレゼンスを日常的に示すことで、中国は尖閣
周辺の海に対する領有権を既成事実化しようとしているのだ。


もし日本が屈すれば、南シナ海はさらに要塞化されるであろう。

日本や韓国のような貿易国家にとって必要不可欠な航行の
自由は深刻な妨害を受けるであろう。

両シナ海は国際海域であるにもかかわらず日米両国の海軍
力がこの地域に入ることは難しくなる。


 このような事態が生じることを懸念し、太平洋とインド洋を
またぐ航行の自由の守護者として、日印両政府が共により大
きな責任を負う必要を、私はインドで述べたのであった。

私は中国の海軍力と領域拡大が2007年と同様のペースで
進むであろうと予測したが、それは間違いであったことも告白
しなければならない。


 東シナ海および南シナ海で継続中の紛争は、国家の戦略
的地平を拡大することを以て日本外交の戦略的優先課題と
しなければならないことを意味する。


日本は成熟した海洋民主国家であり、その親密なパートナ
ーもこの事実を反映すべきである。

私が描く戦略は、オーストラリア、インド、日本、米国ハワイ
によって、インド洋地域から西太平洋に広がる海洋権益を
保護するダイアモンドを形成することにある。


 対抗勢力の民主党は、私が2007年に敷いた方針を継続
した点で評価に値する。

つまり、彼らはオーストラリアやインドとの絆を強化する種
を蒔いたのであった。


 (世界貿易量の40%が通過する)マラッカ海峡の西端に
アンダマン・ニコバル諸島を擁し、東アジアでも多くの人口
を抱えるインドはより重点を置くに値する。

日本はインドとの定期的な二国間軍事対話に従事してお
り、アメリカを含めた公式な三者協議にも着手した。

製造業に必要不可欠なレアアースの供給を中国が外交
的な武器として使うことを選んで以後、インド政府は日本
との間にレアアース供給の合意を結ぶ上で精通した手
腕を示した。


 私はアジアのセキュリティを強化するため、イギリスや
フランスにもまた舞台にカムバックするよう招待したい。


海洋民主国家たる日本の世界における役割は、英仏の
新たなプレゼンスとともにあることが賢明である。

英国は今でもマレーシア、シンガポール、オーストラリア、
ニュージーランドとの五カ国防衛取極めに価値を見いだ
している。

私は日本をこのグループに参加させ、毎年そのメンバー
と会談し、小規模な軍事演習にも加わらせたい。

タヒチのフランス太平洋海軍は極めて少ない予算で動い
ているが、いずれ重要性を大いに増してくるであろう。


 とはいえ、日本にとって米国との同盟再構築以上に重
要なことはない。

米国のアジア太平洋地域における戦略的再編期にあって
も、日本が米国を必要とするのと同じぐらいに、米国もま
た日本を必要としているのである。

2011年に発生した日本の地震、津波、原子力災害後、た
だちに行なわれた米軍の類例を見ないほど巨大な平時
の人道支援作戦は、60年かけて成長した日米同盟が本
物であることの力強い証拠である。


 私は、個人的には、日本と最大の隣国たる中国の関係
が多くの日本国民の幸福にとって必要不可欠だと認めて
いる。

しかし、日中関係を向上させるなら、日本はまず太平洋の
反対側に停泊しなければならない。

というのは、要するに、日本外交は民主主義、法の支配、
人権尊重に根ざしていなければならないからである。

これらの普遍的な価値は戦後の日本外交を導いてきた。

2013年も、その後も、アジア太平洋地域における将来の
繁栄もまた、それらの価値の上にあるべきだと私は確信
している。 >


皆さん、読まれてどうですか?

次に、この安倍さんの戦略が「正しいのか、どうか?」を考えて
みましょう。

▼日本の「世界観」を示す


安倍さんは、論文の中で、

「日本は民主主義国家である!」

ことを何度も何度も強調しました。

<アジアにおける最も古い【●海洋民主国家】たる日本は、両地
域の共通利益を維持する上でより大きな役割を果たすべきである。>


<このような事態が生じることを懸念し、太平洋とインド洋をまたぐ
航行の【●自由の守護者】として、日印両政府が共により大きな責
任を負う必要を、私はインドで述べたのであった。>


<日本は【●成熟した海洋民主国家】であり、その親密なパートナ
ーもこの事実を反映すべきである。>


<●海洋民主国家たる日本の世界における役割は、英仏の新た
なプレゼンスとともにあることが賢明である。>


<要するに、日本外交は【●民主主義、法の支配、人権尊重】に
根ざしていなければならないからである。

これらの【●普遍的な価値は戦後の日本外交を導いてきた】。

2013年も、その後も、アジア太平洋地域における将来の繁栄も
また、【●それらの価値の上にあるべき】だと私は確信している。 >

これはなんでしょうか?

総理ご本人がこう語ることで、中国のプロパガンダを明確に否定
しているのです。


中国のプロパガンダってなんだ?

皆さんご存知ですね?


・「日本は右傾化している!」

・「日本は軍国主義化している!」

・「その証拠に、日本は韓国やロシアの領土を狙い、中国固有
の領土である尖閣、沖縄を不法に支配しつづけている

・だから、世界は一つになって、(軍国主義国家)日本をこらし
めなければならない

・中国は、【アメリカ】、ロシア、韓国に


【反日統一戦線】


の構築を提案する!


(詳細はこちら

【RPE】★【超衝撃】中国、【反日統一戦線】を【アメリカ】、ロシア、韓
国によびかける
http://archive.mag2.com/0000012950/20121118015324000.html )


中国と韓国が、セッセと反日プロパガンダをしているので、世界のメ
ディアでも、

「安倍 = ナショナリスト」

という類の記事が出てきている。


一方安倍さんは、日本の世界観は、


・成熟した海洋民主国家

・自由の守護者

・民主主義、法の支配、人権尊重など普遍的価値を重んじる国


であり、これからも、


・普遍的価値に基づいて行動していく


と全世界に宣言したのです。

繰り返します。


中国は、「日本の世界観は、昔と変わらず『軍国主義』だ!」
とプロパガンダする。


安倍さんは、「いや日本は、成熟した民主主義国です!」と反論
した。


なによりも総理ご自身が宣言されたことが、大きいです。

▼中国は「世界の脅威である」ことを示す


次に、安倍さんは、


「中国は日本だけの脅威ではない。

全世界の脅威なのだ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


と主張します。


<ますます、南シナ海は「北京の湖」となっていくかのように見える。>


<南シナ海は、核弾頭搭載ミサイルを発射可能な中国海軍の原潜
が基地とするに十分な深さがあり、間もなく中国海軍の新型空母が
よく見かけられるようになるだろう。

中国の隣国を恐れさせるに十分である。 >


<これこそ中国政府が東シナ海の尖閣諸島周辺で毎日繰り返す
演習に、日本が屈してはならない理由である。>


<もし日本が屈すれば、南シナ海はさらに要塞化されるであろう。

日本や韓国のような貿易国家にとって必要不可欠な航行の自由
は深刻な妨害を受けるであろう。

両シナ海は国際海域であるにもかかわらず日米両国の海軍力
がこの地域に入ることは難しくなる。 >


<製造業に必要不可欠なレアアースの供給を中国が外交的な
武器として使うことを選んで以後、インド政府は日本との間にレ
アアース供給の合意を結ぶ上で精通した手腕を示した。 >


これはいったいなんでしょうか?

はっきりいえば、「尖閣問題」なんて、日本人と中国人しか興味
ありません。

このことは、日本も中国も知っている。


だから、中国は「日本が再び軍国主義化しているのは世界的
問題だ!」とし、

二国間の領土問題を、「世界問題」「歴史問題」に転化しようと
しているのです。


一方の安倍さんもしたたかで、実例をあげながら、


「中国は、日本とは違い、非民主主義、人権無視の独裁国家で
あり、世界の問題なのだ!」


としている。

そして、安倍さんの主張は、まったく正当なのです。


▼そして、世界を味方につける


もし、日本が中国の主張するように、「軍国主義化している」と
しましょう。

そうなると、日本は、アメリカ、欧州、中国、ロシア、韓国などを
敵にまわし、再び「敗戦」ということになるでしょう。

ところが、全世界が「日本は成熟した民主主義国家」

「中国は非民主主義の一党独裁国家」

と考えていればどうなります?


さっきと同じメンツの中で、アメリカ、欧州、韓国は日本の味
方になります。


そう、安倍さんは

1、日本は「軍国主義国」ではなく「成熟した民主主義国であ
る」と宣言

2、中国は、全世界の脅威である!と宣言


その上で、

3、「日本と同じ世界観、価値観を共有する皆さん、一つにな
って、中国の脅威にたちむかいましょう!」と呼びかけている。


安倍さんは、戦略を一文で、こう書かれています。

<私が描く戦略は、オーストラリア、インド、日本、米国ハワイに
よって、インド洋地域から西太平洋に広がる海洋権益を保護す
るダイアモンドを形成することにある。 >


ここでは、

アメリカ
オーストラリア
インド

に言及されています。


特に、アメリカ、インドについては個別に長く言及し、重要度を
アピールしています。

これは、とても正しい。

日本最大のパートナーは現在アメリカ。

しかし、この国は長期衰退トレンド。


だから日本は将来、世界最大の民主主義国家インドとの連携
をますます強めていく必要が出てくるでしょう。


民主主義の国 日本、アメリカ、インド、オーストラリアで独裁国
家中国を封じ込める。

(そして、尖閣、沖縄を守る)

すばらしいビジョンです。


さらに、安倍さんは、イギリスとフランスが「中国包囲網」に加わ
るよう要請しています。

さらに、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール。

もう一度繰り返します。

安倍さんのこの論文は、


1、日本は、(中国の主張する軍国主義国ではなく)

成熟した民主主義国家である!


2、中国は、「世界の脅威」である!


3、だから、日本は、欧米印豪東南アジアと一つになり、この脅威
に対抗していかなければならない!


ことを明確に示しました。

皆さんはどんな感想をもたれましたか?


私は、正直「とても誇らしい!」と思いました。

全世界に日本が大切にする「世界観」を提示し、「脅威」を明らかに
し、

脅威に対抗するための「戦略」まで示した。


日本の総理大臣で、ここまで明確に進むべき道を示した人がいた
でしょうか?

▼お願い


皆さん、いつも書いているように、中国は現在、「日本は軍国主義
化している!」という世界的プロパガンダを行っています。


中国がそれに成功すれば、日本は、またもや欧米中ロを敵にまわ
し敗北。

尖閣、沖縄を奪われることは必至であります。

しかし、今日、私たちは強力な武器を与えられました。

そう、この「安倍論文」です。


これを、日本国内のみならず全世界にひろくひろく拡散して
いただけないでしょうか?


●英語原文はこちら↓
http://www.project-syndicate.org/commentary/a-strategic-alliance-for-japan-and-india-by-shinzo-abe


●日本語訳はこちら↓
http://kennkenngakugaku.blogspot.jp/2013/01/blog-post_10.html?spref=tw


「これだけ読んでも意味がわからんだろう」という方は、今回のメ
ルマガを

(広告など余分なものをカットし)解説文として拡散してください。


ブログ、メルマガで。


そして、今はフェイスブックで案外簡単に外国人とつながれます。

ですから、全世界にひろくひろく拡散しましょう。

この論文を読む人が一人増えるたび、日本の安保は万全にな
っていきます。


皆さまご多忙のことと思いますが、是非ご協力お願いいたします。



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(転載おわり)

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このサイトはリアリズムについて学ぶ人を増やすためのサイトです。

さて、早速ですが、・ネオコンをはじめとする勢力が狙ってきた米国の世界一極覇権支配は、長くは続かない。・中国が膨張し、アジアの覇権をねらい、世界は多極構造になる。 90年代から上記のように予想し、米国内でも論争してきたのがリアリスト学派です。

リアリスト学派は、国家のパワー(軍事力、政治力、人口規模、経済力等)がもっとも大事な要素と考え、

正義やイデオロギー、理念は関係ない。国際関係はパワーで決まり、パワーを予測し戦略を立てよう

と考える学派で、19世紀の英国の行ったバランス・オブ・パワーを活用した大戦略を信条とします。

ところが「リアリスト」を自認する日本の親米保守派は、
「経済中心主義」で「安保無料(だだ)乗り」をし続けていますが、
実は、彼らは、以下の2点で決定的、かつ、致命的な誤りを犯していたのです。
そして、そうした日本の政策は、冷酷な米国のリアリストから、
単なる「バンドワゴニング」に過ぎない、と足元を見透かされているのです。

その2点とは、

(1)日本はアングロサクソン(米英)についていれば大丈夫。

(2)米国は「民主制度」と「法治」、「人権」を重んずる日本を信頼し、
   一党独裁の共産主義中国を嫌っている。

ということです。

まず、(1)については、
日英同盟時も上手くいった。だから、これからも米国についてゆけば大丈夫!
万事問題ないというものです。

しかし、我が日本が戦後60年間、幸いにして戦争に巻き込まれなかったのは、
ほとんど偶然の産物であったということは、強く認識しておく必要があります。

米国は国益に係わることならば、いとも簡単に「友達」を切り捨て、裏切る国である。
国論が変われば友好国をあっさり切り捨ててきたことは、これまでの歴史の事実が証明しています。

・日中戦争では、蒋介石を応援しつつも、途中から毛沢東支援にまわった。

・ソ連打倒のためには台湾(中華民国)を切り捨て、中華人民共和国と国交を結んだ。

・ベトナム戦争では出口がみえなくなり、結局南ベトナム支援からあっさり撤退した。

・米国が支援していた南ベトナムは崩壊し、大量の難民があふれ出た。

・イラン・イラク戦争の時、イランが戦争に勝って影響力が拡大することを恐れた米国は、
 サダムフセインに(イラク)に軍事的な支援をした。
 しかし、支援した米国は干渉してこないと思ったフセインは、その後クウェートに侵攻し、
 湾岸戦争、イラク侵攻と2度の戦争で米国に打ちのめされ、最後は米軍に捕まり処刑された。

如何でしょうか?

これでもまだあなたは、アメリカはずっと「友達」でいてくれる!

と思えますか?

次に、(2)についてですが、
欧米メディアなどの報道によれば、米国内における中国の工作員の数は激増しています。
更には、人民解放軍には「政治工作条例」なるものまであります。
彼らは世論戦、心理戦、法律戦からなる「三戦」の任務を与えられ、
まさに今、中国は国策として、米国内で「世論戦」を仕掛けている、というのが冷酷な事実です。

正義や真実でなく、ウソでも現実をつくれると考える中国の
カネも人員もかけたまさに「人海戦術」的な、この国家戦略が功を奏し、
すでに米国世論では「尖閣は日本が強奪した島だ」ということに傾き始めている・・・
この危険な状況を皆さんはご存知でしょうか?

-*- -*-

例えば、韓国との従軍慰安婦問題をみるまでもなく、
日本国内で、いわゆる「保守派」といわれる人達が、
どれだけ「真実」を主張しても、
同じ日本人であるはずの国内左翼勢力がこの外患に呼応するという、
典型的なパターンに陥っている事例は、枚挙に暇がありません。

白州次郎は「日本をプリンシプルのない国」と言いました。
しかし、残念ながら、この分析は現在の日本にも今だに当てはまっているのです。

これらの冷酷な事実を踏まえ、
本サイトで皆さんとともに真剣に考えていきたいのは、以下の2点です。

・日本はいかにして「パワー」を獲得すればいいのか?

・どんな国家像を描き、グランド・ストラテジーを立てればよいのか?

この二つの質問を念頭に据えて、米国のリアリスト思考を学び、
日本におけるリアリスト思考を広げ、リアリスト学派をつくっていく。

これが、このサイト、www.realist.jpの目的です。
あなたも是非議論に加わって下さい。



リアリスト思考を最初に日本にもたらした、
シカゴ学派、元フーバー研究所上席研究員、故・片岡鉄哉先生に捧ぐ

日本がこのままの状態でいけば、
少なくとも十年以内に、二流、三流の地位まで確実に堕ちていくことになる。
現在の日本の状況を冷静に見れば、
どう考えてもそういう結論しか出てこないのだ。
しかし、日本はそのまま堕ちっぱなしというわけではない。

何年後になるかわからないが、日本はしぶとく復活するはずである。
国家というのはいつまでも堕ちっぱなしということはなく、
反省して自覚した国民が生まれ、それが国を復興することになるからである。

そのときに、決定的に必要となつてくるのが「理想」である。

地政学の祖であるマッキンダーは、
「人類を導くことができるのは、ただ理想の持つ魅力だけだ」
と言っている。

しかし彼は、同時に現実を冷静に見る目を
忘れてはならないことを鋭く警告している。
それが地理と歴史を冷静に分析した、
地政学という学問が与えてくれる視点なのである。
彼が一九一九年に発表した『デモクラシーの理想と現実』
という本の題名は、このような理想と現実のバランスの大切さを訴えている。

世界はこれから「カオス化」していく。
これはつまり、世界はこれからますます複雑化した
先の見えない場になるということである。

そして日本は、「カオス化」された状況の中で
自立を目指さなければならないし、
むしろ自立せざるを得ない状況に追い込まれることになるかもしれない。
そして、その中で世界に伍していくためには、
日本人は何よりもまず、リアリズムの思考法を身につけなければならない。

日本人は自分で責任を持って戦略を考えるという思考を捨ててしまい、
安易に平和的な解決だけを求めるという体質が染みついてしまった。
たとえば、外交における戦略も「善か悪か」で判断するため、
善を探そうとするあまり、次の一手がどうしても遅くなる。

しかも、日本が「善かれ」と思って世界に主張したことは、
まずもって善として見られていない。
他国はリアリズムの視点で「日本が何を狙っているのか」
と冷酷に見ているのだ。
だからこそ、わが国も外交戦略を「善悪」ではなく、
「強弱」で見るように訓練しなければならない。
「強弱」とは、現在わが国にとって、
この政策は他国と比べて立場を強めてくれるのか
弱めるものかという冷静な判断である。

弱いのであれば、より強い政策を打ち出さなければならないし、
強いものであれば、政策をより国益に近づけなければならない。
こうしたリアリズムの思考を身につけることは、
むしろ「国際的なマナー」なのである。