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地政学を英国で学んだ
しばらくお待ち下さい。
2013年02月04日 「強制終了」は、予期せぬ時に、突然やってきます。

共同管理人の和田です。

いまや、国際関係や企業だけでなく、個人もサバイバルの時代です。

昨年末のことですが、自宅の近所にあったガソリンスタンドが閉店しました。

これによって、オイル交換や洗車してもらう時、
クルマをスタンドに預けて、自宅で待機することができなくなりました。
遠くのスタンドまで行って、洗車が終わるまで、
そこで時間潰しをせざるをえなくなってしまいました...。

自分が子供の頃は、

「ガソリンって使わざるをえないし、
ガソリンスタンドって、安定してるいい商売だな」

なんて思っていました。

ここ20年でも、かなりの数が閉店してきましたが、
それが、この年末年始にかけての、
閉店数の増加は、ちょっと半端じゃありません。

▼ガソリンスタンドが半減!?

このような現象は、今ニュースになっている「改正消防法」により、
設置40年以上を過ぎた地下タンクの改修・交換が、
1月末までに義務づけになった影響です。

高額な改修費用が支払えないスタンドが閉店を余儀なくされました。
ガソリンスタンドの数は現在約37,000軒と
ピーク時の3分の2程度にまで減少しているようです。

地域によってはガソリンスタンド数が半減した地方自治体もあります。
石油ファンヒーターを使っている家庭でクルマがなかった場合、
灯油の買い出しは、特に大変だと思います。

そもそも、リッター30キロ走るエコカーの普及やEVの台頭で
ガソリンスタンドの収益が圧迫されてきていましたが、
今回、この法案「改正消防法」一発で、
厳しいトドメを刺された形になっています。

▼過去にもたくさんの事例があった「強制終了」

かつて、排ガス規制が行われた時にも、
ディーゼルトラックの買い換えや排気触媒への変更が
できなかった企業は倒産しました。

また、消費者金融、商工ローンのグレーゾーン撤廃によって
消費者金融や商工ローンの会社が倒産したり、銀行傘下に組み込まれました。
違法判決一発で、遡っての事後法のような形で裁かれました。
過払い請求が起こり倒産したのです。

社会的には悪役になっていた商工ローンの会社ですが、
その商工ローンを使って生き残っていた会社の多くが
その影響で資金繰りが厳しくなり、倒産しました。

それまで、商工ローン会社は、正式な上場審査を経て上場し、
飛ぶ鳥を落とす勢いで業績を伸ばし、
約20年間に渡って、まったく問題になっていなかったにも関わらず、
法律が変わり、急にグレーゾーン撤廃です。

今回、これらの事象についての是非は置いておきます。

ここで私たちが真剣に考えなければならないことは、
『自分が生き残れるかどうか』です。

昨年からの尖閣問題もあり、
「日本は戦争をしない」とは言い切れない時代になっています。
国際情勢だけでなく、時代の流れや政府の規制で
突然「強制終了」が起こるわけです。

▼私たちが生き残るための戦略

現代の日本において、

「俺は、これまでと同じやり方で、これからもずっと一生大丈夫!」

と何一つ不安なく、そう言い切れる人は、
果たして、どれくらいいるのでしょうか?

これは、なにも会社経営者だけに限ったお話でなく、
会社員の方であっても
会社が倒産したり、転部を要請されるかもしれません。

私たちすべての日本人にとって切実な問題と言えるのです。

奥山真司先生は、戦略の三原則として

1,冷静であれ
2,柔軟であれ
3,選択肢を持て

と言っています。

個人もサバイバル時代を迎えました。

そんな時代を、一人ひとりが力強く生き残るためには
何が必要なのか?どんな準備をしておけばいいのか?
どんな選択肢を持っていればいいのか?

この重大な問題について、
今回、奥山先生が大きな提案を投げかけました。

それは、国家戦略として用いられる
「累積戦略と順次戦略」という概念を、個人にも応用すればよい、
という大胆な発想です。

会社員であるか、経営者であるか、
という枠組みはもはや関係ありません。

巷で持て囃されている「MBA」や、いわゆる「ハーバード流」など、
現代"成功戦略"の盲点にまで、ズバリ斬り込みます。

気になるかたは以下をぜひご覧になってみて下さい。

http://www.realist.jp/cumseq.html

( 共同管理人 和田 )

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技術を制するのは高度な技術ではない。より上流階層からルール決めには対抗できない。
今こそ日本人は「戦略の階層」を学び、その全体像を理解しなければならない。

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このサイトはリアリズムについて学ぶ人を増やすためのサイトです。

さて、早速ですが、・ネオコンをはじめとする勢力が狙ってきた米国の世界一極覇権支配は、長くは続かない。・中国が膨張し、アジアの覇権をねらい、世界は多極構造になる。 90年代から上記のように予想し、米国内でも論争してきたのがリアリスト学派です。

リアリスト学派は、国家のパワー(軍事力、政治力、人口規模、経済力等)がもっとも大事な要素と考え、

正義やイデオロギー、理念は関係ない。国際関係はパワーで決まり、パワーを予測し戦略を立てよう

と考える学派で、19世紀の英国の行ったバランス・オブ・パワーを活用した大戦略を信条とします。

ところが「リアリスト」を自認する日本の親米保守派は、
「経済中心主義」で「安保無料(だだ)乗り」をし続けていますが、
実は、彼らは、以下の2点で決定的、かつ、致命的な誤りを犯していたのです。
そして、そうした日本の政策は、冷酷な米国のリアリストから、
単なる「バンドワゴニング」に過ぎない、と足元を見透かされているのです。

その2点とは、

(1)日本はアングロサクソン(米英)についていれば大丈夫。

(2)米国は「民主制度」と「法治」、「人権」を重んずる日本を信頼し、
   一党独裁の共産主義中国を嫌っている。

ということです。

まず、(1)については、
日英同盟時も上手くいった。だから、これからも米国についてゆけば大丈夫!
万事問題ないというものです。

しかし、我が日本が戦後60年間、幸いにして戦争に巻き込まれなかったのは、
ほとんど偶然の産物であったということは、強く認識しておく必要があります。

米国は国益に係わることならば、いとも簡単に「友達」を切り捨て、裏切る国である。
国論が変われば友好国をあっさり切り捨ててきたことは、これまでの歴史の事実が証明しています。

・日中戦争では、蒋介石を応援しつつも、途中から毛沢東支援にまわった。

・ソ連打倒のためには台湾(中華民国)を切り捨て、中華人民共和国と国交を結んだ。

・ベトナム戦争では出口がみえなくなり、結局南ベトナム支援からあっさり撤退した。

・米国が支援していた南ベトナムは崩壊し、大量の難民があふれ出た。

・イラン・イラク戦争の時、イランが戦争に勝って影響力が拡大することを恐れた米国は、
 サダムフセインに(イラク)に軍事的な支援をした。
 しかし、支援した米国は干渉してこないと思ったフセインは、その後クウェートに侵攻し、
 湾岸戦争、イラク侵攻と2度の戦争で米国に打ちのめされ、最後は米軍に捕まり処刑された。

如何でしょうか?

これでもまだあなたは、アメリカはずっと「友達」でいてくれる!

と思えますか?

次に、(2)についてですが、
欧米メディアなどの報道によれば、米国内における中国の工作員の数は激増しています。
更には、人民解放軍には「政治工作条例」なるものまであります。
彼らは世論戦、心理戦、法律戦からなる「三戦」の任務を与えられ、
まさに今、中国は国策として、米国内で「世論戦」を仕掛けている、というのが冷酷な事実です。

正義や真実でなく、ウソでも現実をつくれると考える中国の
カネも人員もかけたまさに「人海戦術」的な、この国家戦略が功を奏し、
すでに米国世論では「尖閣は日本が強奪した島だ」ということに傾き始めている・・・
この危険な状況を皆さんはご存知でしょうか?

-*- -*-

例えば、韓国との従軍慰安婦問題をみるまでもなく、
日本国内で、いわゆる「保守派」といわれる人達が、
どれだけ「真実」を主張しても、
同じ日本人であるはずの国内左翼勢力がこの外患に呼応するという、
典型的なパターンに陥っている事例は、枚挙に暇がありません。

白州次郎は「日本をプリンシプルのない国」と言いました。
しかし、残念ながら、この分析は現在の日本にも今だに当てはまっているのです。

これらの冷酷な事実を踏まえ、
本サイトで皆さんとともに真剣に考えていきたいのは、以下の2点です。

・日本はいかにして「パワー」を獲得すればいいのか?

・どんな国家像を描き、グランド・ストラテジーを立てればよいのか?

この二つの質問を念頭に据えて、米国のリアリスト思考を学び、
日本におけるリアリスト思考を広げ、リアリスト学派をつくっていく。

これが、このサイト、www.realist.jpの目的です。
あなたも是非議論に加わって下さい。



リアリスト思考を最初に日本にもたらした、
シカゴ学派、元フーバー研究所上席研究員、故・片岡鉄哉先生に捧ぐ

日本がこのままの状態でいけば、
少なくとも十年以内に、二流、三流の地位まで確実に堕ちていくことになる。
現在の日本の状況を冷静に見れば、
どう考えてもそういう結論しか出てこないのだ。
しかし、日本はそのまま堕ちっぱなしというわけではない。

何年後になるかわからないが、日本はしぶとく復活するはずである。
国家というのはいつまでも堕ちっぱなしということはなく、
反省して自覚した国民が生まれ、それが国を復興することになるからである。

そのときに、決定的に必要となつてくるのが「理想」である。

地政学の祖であるマッキンダーは、
「人類を導くことができるのは、ただ理想の持つ魅力だけだ」
と言っている。

しかし彼は、同時に現実を冷静に見る目を
忘れてはならないことを鋭く警告している。
それが地理と歴史を冷静に分析した、
地政学という学問が与えてくれる視点なのである。
彼が一九一九年に発表した『デモクラシーの理想と現実』
という本の題名は、このような理想と現実のバランスの大切さを訴えている。

世界はこれから「カオス化」していく。
これはつまり、世界はこれからますます複雑化した
先の見えない場になるということである。

そして日本は、「カオス化」された状況の中で
自立を目指さなければならないし、
むしろ自立せざるを得ない状況に追い込まれることになるかもしれない。
そして、その中で世界に伍していくためには、
日本人は何よりもまず、リアリズムの思考法を身につけなければならない。

日本人は自分で責任を持って戦略を考えるという思考を捨ててしまい、
安易に平和的な解決だけを求めるという体質が染みついてしまった。
たとえば、外交における戦略も「善か悪か」で判断するため、
善を探そうとするあまり、次の一手がどうしても遅くなる。

しかも、日本が「善かれ」と思って世界に主張したことは、
まずもって善として見られていない。
他国はリアリズムの視点で「日本が何を狙っているのか」
と冷酷に見ているのだ。
だからこそ、わが国も外交戦略を「善悪」ではなく、
「強弱」で見るように訓練しなければならない。
「強弱」とは、現在わが国にとって、
この政策は他国と比べて立場を強めてくれるのか
弱めるものかという冷静な判断である。

弱いのであれば、より強い政策を打ち出さなければならないし、
強いものであれば、政策をより国益に近づけなければならない。
こうしたリアリズムの思考を身につけることは、
むしろ「国際的なマナー」なのである。