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地政学を英国で学んだ
しばらくお待ち下さい。
2013年02月14日 日本人よ「Quiet(クワイエット)」たれ!

おくやまです。

すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、
つい先日、「累積戦略と順次戦略:クワイエットを読み解く」
というCDを発売しました。
戦略を身近に感じとってもらうために、今回も
国家や軍事で考える戦略を個人の人生戦略に当てはめています。

すでに共同管理人の和田さんも触れているように、
このCDの中身は、私がかなり以前から
戦略論の一つの「究極の概念」だと感じていた、
米軍人のJCワイリーの提唱した「累積戦略と順次戦略」
というものがあります。
それはこれまで講演会でも伝えて来ましたが、
個人の人生戦略でも「順次戦略」と「累積戦略」が必要であり、
「陽の戦略」「陰の戦略」に分類できます。

世の中にでている自己啓発本のほとんどは「順次戦略(陽の戦略)」である
であるので、特に現代の日本人に理解が必要であるとされる
個人の「累積戦略(陰の戦略)」に焦点を当てつつ、
最近発売されてアメリカでベストセラーになった
『クワイエット』(Quiet)という本に出てくる
豊富な実例を参考にしながら、詳しく解説したものです。


このCDの中では、
とくに最近の日本人には見逃されていて、
しかも『クワイエット』の中で結論として挙げられている、
以下の二つの「意外」な主張を解説しています。
その二つとは、

主張1:独創的なアイディアは一人、もしくは、なるべく少人数で出せ!
主張2:一人になって自分の頭で考える時間を意識的につくれ!

というものです。
何度言うようですが、この二つというのは、
ハッキリ言って現在の日本の社会の大きな流行として
「やるべきだ」と思われていることとは正反対。

たとえば主張1のほうは、最近日本で流行の
「コラボレーション」や「グループワーク」の完全否定です。

「ええっ、コラボってダメなの?」というあなたは、
流行の毒素にかなり冒されていると疑ってみたほうが
よいのではないでしょうか?

たしかに『クワイエット』の著者のスーザン・ケインが言うように、
世界の最先端の経営術を教えているアメリカの
ハーバードビジネススクールなどでは、
「グループワークで作業をしろ!」という前提で
カリキュラムが組まれておりますし、学校全体が、個人ではなく、
とにかく社会的になって「コラボせよ!」という雰囲気。
しかしそれの一体何が間違っているというのでしょうか?

最近私は三品和広氏の『戦略不全の論理』という
経営戦略の本に書いてあったのが、
まさに主張1を裏付けるようなこと。

三品氏は、最近の日本企業の失敗の多くを、
「ボトムアップの合議による意思決定にあり」
と分析しており、そのような企業では、
市場に追い風が吹く状況ではその風に乗るような選択をしがち。

しかしこの選択肢は、
ライバル会社でも合意されやすい「安易なもの」が多く、
結果としてライバル会社とマーケットで正面衝突を繰り返し
これが低収益につながるのだ、と結論づけています。

つまりこれは、
「皆が合意するようなアイディアはダメ」
ということですね。

さらに主張2。
こちらのほうは、極端にいえば、携帯やネット、それにSNSなどで忙しい、
現代のわれわれの生活そのものを、真っ向から否定するようなものです。

「たしかに携帯メールのやり過ぎで、時間が
あっとういう間に過ぎてる感じがあったけど・・」

というあなたの感覚は非常に正しい。

なぜならこのようなガジェットを通じた
ネットワーク上の付き合いというのは、
われわれの現在の生活の「質的向上」に本当に必要となってくる、
「創造性」や「独創性」それに人間力の「土台」を形成するのに必要な、
自分の頭で考える「独りの時間」という貴重な人生の財産を
われわれの生活からどんどん奪いつつあるからです。

ちょっと毛色は違いますが、
『脳を創る読書:なぜ「紙の本」が人にとって必要なのか』
という本があります。

ここで東大教授の著者の酒井氏が指摘しているのは、
電子教科書を子供に与えてしまう危険性。
たしかに電子教科書だとなんでもすぐに調べられますが、
逆に考える前に「答え」が安易に得られてしまうため、
教育には逆効果だといいます。

子供に情報をどんどん与えると、
逆に「考えることに時間をつかっていけない」と錯覚させてしまい、
一番重要な「考える時間の大切さ」を子供から奪ってしまう、
と指摘しているのです。

これは「大人」であるわれわれにも、
全く同じことが言えるのではないでしょうか?

19世紀のイギリスの歴史家、トーマス・カーライルは

「蜂は暗闇の中で蜜をつくる。脳は沈黙の中で思想をつくりだす」

という名言を残しておりますが、これはまさに
「孤独の時間」、「独りの時間」、
そして「誰にも邪魔されないで自分の頭で考える時間」、
の大切さを言っているように思えてなりません。

ではそのような『クワイエット』の著者であるスーザン・ケインは、
そしてアメリカの軍人であった戦略思想家のワイリーは、
これらのことについてなんと言っているのでしょうか?

詳しくは以下のCDをぜひお聞き下さい!

↓↓↓

http://www.realist.jp/cumseq.html

▼若きクリエイターたちへ捧ぐ!
「Cumulative & Sequential Strategy」
〜クワイエットを読み解く:引きこもりが勝利する時代~
「累積戦略と順次戦略」を徹底解説!

http://www.realist.jp/cumseq.html

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「戦略の階層」を解説するCD

戦略を語れない人生は奴隷だ

技術を制するのは高度な技術ではない。より上流階層からルール決めには対抗できない。
今こそ日本人は「戦略の階層」を学び、その全体像を理解しなければならない。

詳しくはこちらをどうぞ


このサイトはリアリズムについて学ぶ人を増やすためのサイトです。

さて、早速ですが、・ネオコンをはじめとする勢力が狙ってきた米国の世界一極覇権支配は、長くは続かない。・中国が膨張し、アジアの覇権をねらい、世界は多極構造になる。 90年代から上記のように予想し、米国内でも論争してきたのがリアリスト学派です。

リアリスト学派は、国家のパワー(軍事力、政治力、人口規模、経済力等)がもっとも大事な要素と考え、

正義やイデオロギー、理念は関係ない。国際関係はパワーで決まり、パワーを予測し戦略を立てよう

と考える学派で、19世紀の英国の行ったバランス・オブ・パワーを活用した大戦略を信条とします。

ところが「リアリスト」を自認する日本の親米保守派は、
「経済中心主義」で「安保無料(だだ)乗り」をし続けていますが、
実は、彼らは、以下の2点で決定的、かつ、致命的な誤りを犯していたのです。
そして、そうした日本の政策は、冷酷な米国のリアリストから、
単なる「バンドワゴニング」に過ぎない、と足元を見透かされているのです。

その2点とは、

(1)日本はアングロサクソン(米英)についていれば大丈夫。

(2)米国は「民主制度」と「法治」、「人権」を重んずる日本を信頼し、
   一党独裁の共産主義中国を嫌っている。

ということです。

まず、(1)については、
日英同盟時も上手くいった。だから、これからも米国についてゆけば大丈夫!
万事問題ないというものです。

しかし、我が日本が戦後60年間、幸いにして戦争に巻き込まれなかったのは、
ほとんど偶然の産物であったということは、強く認識しておく必要があります。

米国は国益に係わることならば、いとも簡単に「友達」を切り捨て、裏切る国である。
国論が変われば友好国をあっさり切り捨ててきたことは、これまでの歴史の事実が証明しています。

・日中戦争では、蒋介石を応援しつつも、途中から毛沢東支援にまわった。

・ソ連打倒のためには台湾(中華民国)を切り捨て、中華人民共和国と国交を結んだ。

・ベトナム戦争では出口がみえなくなり、結局南ベトナム支援からあっさり撤退した。

・米国が支援していた南ベトナムは崩壊し、大量の難民があふれ出た。

・イラン・イラク戦争の時、イランが戦争に勝って影響力が拡大することを恐れた米国は、
 サダムフセインに(イラク)に軍事的な支援をした。
 しかし、支援した米国は干渉してこないと思ったフセインは、その後クウェートに侵攻し、
 湾岸戦争、イラク侵攻と2度の戦争で米国に打ちのめされ、最後は米軍に捕まり処刑された。

如何でしょうか?

これでもまだあなたは、アメリカはずっと「友達」でいてくれる!

と思えますか?

次に、(2)についてですが、
欧米メディアなどの報道によれば、米国内における中国の工作員の数は激増しています。
更には、人民解放軍には「政治工作条例」なるものまであります。
彼らは世論戦、心理戦、法律戦からなる「三戦」の任務を与えられ、
まさに今、中国は国策として、米国内で「世論戦」を仕掛けている、というのが冷酷な事実です。

正義や真実でなく、ウソでも現実をつくれると考える中国の
カネも人員もかけたまさに「人海戦術」的な、この国家戦略が功を奏し、
すでに米国世論では「尖閣は日本が強奪した島だ」ということに傾き始めている・・・
この危険な状況を皆さんはご存知でしょうか?

-*- -*-

例えば、韓国との従軍慰安婦問題をみるまでもなく、
日本国内で、いわゆる「保守派」といわれる人達が、
どれだけ「真実」を主張しても、
同じ日本人であるはずの国内左翼勢力がこの外患に呼応するという、
典型的なパターンに陥っている事例は、枚挙に暇がありません。

白州次郎は「日本をプリンシプルのない国」と言いました。
しかし、残念ながら、この分析は現在の日本にも今だに当てはまっているのです。

これらの冷酷な事実を踏まえ、
本サイトで皆さんとともに真剣に考えていきたいのは、以下の2点です。

・日本はいかにして「パワー」を獲得すればいいのか?

・どんな国家像を描き、グランド・ストラテジーを立てればよいのか?

この二つの質問を念頭に据えて、米国のリアリスト思考を学び、
日本におけるリアリスト思考を広げ、リアリスト学派をつくっていく。

これが、このサイト、www.realist.jpの目的です。
あなたも是非議論に加わって下さい。



リアリスト思考を最初に日本にもたらした、
シカゴ学派、元フーバー研究所上席研究員、故・片岡鉄哉先生に捧ぐ

日本がこのままの状態でいけば、
少なくとも十年以内に、二流、三流の地位まで確実に堕ちていくことになる。
現在の日本の状況を冷静に見れば、
どう考えてもそういう結論しか出てこないのだ。
しかし、日本はそのまま堕ちっぱなしというわけではない。

何年後になるかわからないが、日本はしぶとく復活するはずである。
国家というのはいつまでも堕ちっぱなしということはなく、
反省して自覚した国民が生まれ、それが国を復興することになるからである。

そのときに、決定的に必要となつてくるのが「理想」である。

地政学の祖であるマッキンダーは、
「人類を導くことができるのは、ただ理想の持つ魅力だけだ」
と言っている。

しかし彼は、同時に現実を冷静に見る目を
忘れてはならないことを鋭く警告している。
それが地理と歴史を冷静に分析した、
地政学という学問が与えてくれる視点なのである。
彼が一九一九年に発表した『デモクラシーの理想と現実』
という本の題名は、このような理想と現実のバランスの大切さを訴えている。

世界はこれから「カオス化」していく。
これはつまり、世界はこれからますます複雑化した
先の見えない場になるということである。

そして日本は、「カオス化」された状況の中で
自立を目指さなければならないし、
むしろ自立せざるを得ない状況に追い込まれることになるかもしれない。
そして、その中で世界に伍していくためには、
日本人は何よりもまず、リアリズムの思考法を身につけなければならない。

日本人は自分で責任を持って戦略を考えるという思考を捨ててしまい、
安易に平和的な解決だけを求めるという体質が染みついてしまった。
たとえば、外交における戦略も「善か悪か」で判断するため、
善を探そうとするあまり、次の一手がどうしても遅くなる。

しかも、日本が「善かれ」と思って世界に主張したことは、
まずもって善として見られていない。
他国はリアリズムの視点で「日本が何を狙っているのか」
と冷酷に見ているのだ。
だからこそ、わが国も外交戦略を「善悪」ではなく、
「強弱」で見るように訓練しなければならない。
「強弱」とは、現在わが国にとって、
この政策は他国と比べて立場を強めてくれるのか
弱めるものかという冷静な判断である。

弱いのであれば、より強い政策を打ち出さなければならないし、
強いものであれば、政策をより国益に近づけなければならない。
こうしたリアリズムの思考を身につけることは、
むしろ「国際的なマナー」なのである。