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地政学を英国で学んだ
しばらくお待ち下さい。
2013年02月20日 東條由布子さんのご冥福をお祈りします。

共同管理人の和田です。

昨日、先週亡くなった東條由布子さんのお通夜に参列しました。
読者の皆さんの中には、もちろんご存知の方もいらっしゃると思いますが、
東條英機元首相のお孫さんです。

『月刊WiLL』誌編集長の花田紀凱氏の紹介で、
東條由布子さんが選挙に出馬されたときからのご縁でした。
よりによって8月15日の終戦記念日に、靖国神社の遊就館の喫茶店の中で、
人を紹介していただいたり、打合せする機会もありました。

当然、ものすごい数の人達が、東條さんに挨拶をするために集まって来て
一瞬パニックになりました。
"秋葉原のラジオ館で前田敦子と歩いている"ようなものでしょう。
ただし、囲まれたのが年配者ばかりでしたが。

集まったのは、英霊に参拝にきて、日本の国体を守ろうという人ばかりでした。
東條英機元首相は「戦犯」などではない、ということを知っている人が、
エールを送って下さいました。
そんな皆さんがまだご健在でお元気なうちに、
改憲、国防の問題に決着を付けないといけません。

ここに、東條由布子さんのご冥福を謹んでお祈りします。

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東條英機の評価については、どんどん資料が集まってきているので、
先の大戦の評価・検証と共に、10年に一度は再考すべきでしょう。

しかし、少なくとも東條英機はいわゆる「A級戦犯」ではありません。

・東條英機は、東京裁判でA級戦犯として1948年に処刑された。
 これは、今上陛下の誕生日で意図的でもあった。

・東京裁判は、 講和条約(1951年)を結んでいない、
 まだ占領中(戦争中)に行われた裁判だった。
 よって、東條は戦争中に敵兵によって殺された日本人に該当する。

・それでも、東京裁判において、東條英機は、自身の宣誓供述書の中で
 「侵略戦争ではなく、自衛の戦いだった」と日本の立場を弁明している。

・戦後、アメリカの上院軍事外交委員会において
 あのマッカーサー自身が、「日本の戦いは自衛の戦いだった」と発言している。

・東條とマッカサーという、戦争で戦った、日米両国の大将が同じ見解だった。
 一部左翼言論人のいうような「侵略戦争」でなかった。

・日本人の当時の全国民の7000万人中、4000万人の署名があり、
 日本国政府は連合国に対して戦犯を釈放して欲しいと請願し、
 超党派で閣議決定もされ、その活動の結果、国民の意志で、
 釈放されたり、処刑された人は犯罪者でなく「公務死」となり、
 名誉回復をしている。


・東條英機は、敗軍の将として、国内的には責任を取る、という腹積もりであり、
 それは東條由布子さんも同様に語っている。
 「国内的に敗戦のリーダーの責は甘受する。だが、A級戦犯ではない。」

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このように、東條英機は、いわゆる「A級戦犯」でもなんでもないわけですが、
GHQの周到な手筈と、日本内の左翼的偏向教育のせいで、
我々日本人は東條英機をわざわざもう一度「A級戦犯」にしてしまいました。

東條家の"家訓"的な意向としては、「語るなかれ」ということだったようです。

しかし、昨今の無知な政治家の言動や、「左翼」的偏向教育にドップリ浸かり、
「歴史観」をすっかり喪失してしまった国民ばかり...という現在の惨状に、
このままでは無駄死になってしまいかねない風潮でした。

「東條英機の子孫」としてここで反論するしかない。
そして、「国を愛する一国民として」の東京裁判を見直すことを、
東條由布子さんは再提起してくれたのです。

実際のところ、彼女が復刻した東條英機の「宣誓供述書」を読んで、
東京裁判の実態がよくわかった、という人がたくさんいたのです。

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さて、イラクは「大量破壊兵器を持っていない」と宣言しても、
アメリカから戦争を仕掛けられ、サダム・フセインは、「人道に対する罪」で、
死刑執行シーンまでも全世界に向けて、放映されてしまいました。

ところが、北朝鮮の核実験は、すでに3回目。衛星ミサイル開発も順調。
お決まりの瀬戸際作戦で、「大量破壊兵器なんでもあるよ~!」と、
熱烈にアピールしていますが、
核をもった中国という「大国」がバックにいる以上、
アメリカとしても無闇に手は出せません。

そして、日本は自衛戦争であったのに、侵略戦争を起こしたとして
いまだに罪の意識をかぶせられたままです。

この「アメ通」創始者の故片岡鉄哉先生がご存命の折、
私に向かってこのように仰いました。

「大事なのは次の戦争で負けないこと。歴史は勝者が書く。
戦って勝てる国にならないと国家の悠久はないし、
一度敗者になってしまっては、平時において、もはや歴史の書き換えは難しい。」

昨今のこの時勢を視ても、片岡先生のこの言葉が重く響きます・・・。

歴史を学び、勝てる国家をつくろうとする政治家を
我々自身がシビアに選ぶことが出来るのか?

それが、国家存亡の選択に直結するような時勢なのだと想います。
ますます「戦略」を語る日本人が増えてくることが必要になってきました。
ビジネスマンは、歴史を語り、戦略を語る、そういう国にしていきたいですね。

( 共同管理人 和田 )

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技術を制するのは高度な技術ではない。より上流階層からルール決めには対抗できない。
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さて、早速ですが、・ネオコンをはじめとする勢力が狙ってきた米国の世界一極覇権支配は、長くは続かない。・中国が膨張し、アジアの覇権をねらい、世界は多極構造になる。 90年代から上記のように予想し、米国内でも論争してきたのがリアリスト学派です。

リアリスト学派は、国家のパワー(軍事力、政治力、人口規模、経済力等)がもっとも大事な要素と考え、

正義やイデオロギー、理念は関係ない。国際関係はパワーで決まり、パワーを予測し戦略を立てよう

と考える学派で、19世紀の英国の行ったバランス・オブ・パワーを活用した大戦略を信条とします。

ところが「リアリスト」を自認する日本の親米保守派は、
「経済中心主義」で「安保無料(だだ)乗り」をし続けていますが、
実は、彼らは、以下の2点で決定的、かつ、致命的な誤りを犯していたのです。
そして、そうした日本の政策は、冷酷な米国のリアリストから、
単なる「バンドワゴニング」に過ぎない、と足元を見透かされているのです。

その2点とは、

(1)日本はアングロサクソン(米英)についていれば大丈夫。

(2)米国は「民主制度」と「法治」、「人権」を重んずる日本を信頼し、
   一党独裁の共産主義中国を嫌っている。

ということです。

まず、(1)については、
日英同盟時も上手くいった。だから、これからも米国についてゆけば大丈夫!
万事問題ないというものです。

しかし、我が日本が戦後60年間、幸いにして戦争に巻き込まれなかったのは、
ほとんど偶然の産物であったということは、強く認識しておく必要があります。

米国は国益に係わることならば、いとも簡単に「友達」を切り捨て、裏切る国である。
国論が変われば友好国をあっさり切り捨ててきたことは、これまでの歴史の事実が証明しています。

・日中戦争では、蒋介石を応援しつつも、途中から毛沢東支援にまわった。

・ソ連打倒のためには台湾(中華民国)を切り捨て、中華人民共和国と国交を結んだ。

・ベトナム戦争では出口がみえなくなり、結局南ベトナム支援からあっさり撤退した。

・米国が支援していた南ベトナムは崩壊し、大量の難民があふれ出た。

・イラン・イラク戦争の時、イランが戦争に勝って影響力が拡大することを恐れた米国は、
 サダムフセインに(イラク)に軍事的な支援をした。
 しかし、支援した米国は干渉してこないと思ったフセインは、その後クウェートに侵攻し、
 湾岸戦争、イラク侵攻と2度の戦争で米国に打ちのめされ、最後は米軍に捕まり処刑された。

如何でしょうか?

これでもまだあなたは、アメリカはずっと「友達」でいてくれる!

と思えますか?

次に、(2)についてですが、
欧米メディアなどの報道によれば、米国内における中国の工作員の数は激増しています。
更には、人民解放軍には「政治工作条例」なるものまであります。
彼らは世論戦、心理戦、法律戦からなる「三戦」の任務を与えられ、
まさに今、中国は国策として、米国内で「世論戦」を仕掛けている、というのが冷酷な事実です。

正義や真実でなく、ウソでも現実をつくれると考える中国の
カネも人員もかけたまさに「人海戦術」的な、この国家戦略が功を奏し、
すでに米国世論では「尖閣は日本が強奪した島だ」ということに傾き始めている・・・
この危険な状況を皆さんはご存知でしょうか?

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例えば、韓国との従軍慰安婦問題をみるまでもなく、
日本国内で、いわゆる「保守派」といわれる人達が、
どれだけ「真実」を主張しても、
同じ日本人であるはずの国内左翼勢力がこの外患に呼応するという、
典型的なパターンに陥っている事例は、枚挙に暇がありません。

白州次郎は「日本をプリンシプルのない国」と言いました。
しかし、残念ながら、この分析は現在の日本にも今だに当てはまっているのです。

これらの冷酷な事実を踏まえ、
本サイトで皆さんとともに真剣に考えていきたいのは、以下の2点です。

・日本はいかにして「パワー」を獲得すればいいのか?

・どんな国家像を描き、グランド・ストラテジーを立てればよいのか?

この二つの質問を念頭に据えて、米国のリアリスト思考を学び、
日本におけるリアリスト思考を広げ、リアリスト学派をつくっていく。

これが、このサイト、www.realist.jpの目的です。
あなたも是非議論に加わって下さい。



リアリスト思考を最初に日本にもたらした、
シカゴ学派、元フーバー研究所上席研究員、故・片岡鉄哉先生に捧ぐ

日本がこのままの状態でいけば、
少なくとも十年以内に、二流、三流の地位まで確実に堕ちていくことになる。
現在の日本の状況を冷静に見れば、
どう考えてもそういう結論しか出てこないのだ。
しかし、日本はそのまま堕ちっぱなしというわけではない。

何年後になるかわからないが、日本はしぶとく復活するはずである。
国家というのはいつまでも堕ちっぱなしということはなく、
反省して自覚した国民が生まれ、それが国を復興することになるからである。

そのときに、決定的に必要となつてくるのが「理想」である。

地政学の祖であるマッキンダーは、
「人類を導くことができるのは、ただ理想の持つ魅力だけだ」
と言っている。

しかし彼は、同時に現実を冷静に見る目を
忘れてはならないことを鋭く警告している。
それが地理と歴史を冷静に分析した、
地政学という学問が与えてくれる視点なのである。
彼が一九一九年に発表した『デモクラシーの理想と現実』
という本の題名は、このような理想と現実のバランスの大切さを訴えている。

世界はこれから「カオス化」していく。
これはつまり、世界はこれからますます複雑化した
先の見えない場になるということである。

そして日本は、「カオス化」された状況の中で
自立を目指さなければならないし、
むしろ自立せざるを得ない状況に追い込まれることになるかもしれない。
そして、その中で世界に伍していくためには、
日本人は何よりもまず、リアリズムの思考法を身につけなければならない。

日本人は自分で責任を持って戦略を考えるという思考を捨ててしまい、
安易に平和的な解決だけを求めるという体質が染みついてしまった。
たとえば、外交における戦略も「善か悪か」で判断するため、
善を探そうとするあまり、次の一手がどうしても遅くなる。

しかも、日本が「善かれ」と思って世界に主張したことは、
まずもって善として見られていない。
他国はリアリズムの視点で「日本が何を狙っているのか」
と冷酷に見ているのだ。
だからこそ、わが国も外交戦略を「善悪」ではなく、
「強弱」で見るように訓練しなければならない。
「強弱」とは、現在わが国にとって、
この政策は他国と比べて立場を強めてくれるのか
弱めるものかという冷静な判断である。

弱いのであれば、より強い政策を打ち出さなければならないし、
強いものであれば、政策をより国益に近づけなければならない。
こうしたリアリズムの思考を身につけることは、
むしろ「国際的なマナー」なのである。