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地政学を英国で学んだ
しばらくお待ち下さい。
2013年03月06日 「累積戦略」と「順次戦略」ってどういうことなの???

「アメ通」読者の皆様、お久しぶりでございます。
管理人です。

皆様に面白い情報をお届けしようと想いつつも、
すっかり、編集後記もサボってしまっておりまして、
申し訳ありません・・・。

ということで、今回は、情報と言いますか、
またまた、とても嬉しいことがありましたので、
読者の皆様にもシェアさせて頂きます。

管理人が何度も、何度も、何度も(笑)
ご紹介しております通り、「ロシア政治経済ジャーナル」の
北野様が、再び、素晴らしいメルマガを配信して下さいました。

おくやまさんが先日発表しました、
「累積・順次戦略」徹底解説CDを、
北野様が"徹底解説"して下さっておりまして、
管理人などは、「おぉ、そうそう!そういうことなのです!」
と、本当に膝を打ってしまいました。(笑)

ちなみに、北野様は、現在、新刊を準備中とのことで、
こちらも大変愉しみです。
管理人も発売されたら速攻で読みまして、
「アメ通」読者の皆様にもご紹介させて頂きたいと想っているくらいです。

それまでは、これまで発売されている北野様のご著書でお楽しみ下さい。

▼プーチン 最後の聖戦
  ロシア最強リーダーが企むアメリカ崩壊シナリオとは?
http://goo.gl/PmX7u

▼隷属国家 日本の岐路―今度は中国の天領になるのか―
http://goo.gl/KaWdb

▼中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日―一極主義 vs 多極主義
http://goo.gl/oGqse

▼ボロボロになった覇権国家(アメリカ)
http://goo.gl/am4tX

ということで、さっそく、北野様のいつもの名調子をお楽しみ下さい。

(転載はじめ)

== RPE Journal===================================================
        ロシア政治経済ジャーナル No.905
                         2013/3/3
================================================================

★再臨の諸葛孔明から成功法則を教わろう


全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。

いつもありがとうございます。


私が、「この人はひょっとしたら諸葛孔明の再臨ではないか?」
と考えている人がいます。

日本一、世界でも有数の地政学者・奥山真司先生です。

私は、「安倍さんも、奥山先生に外交顧問をやってもらえばい
いのに・・・」と心の底から思います。


そんな、北野も非常に尊敬する奥山先生ですが、なんと無料
メルマガも配信しておられます。

パートナーの和田先生も管理人さんも、非常にすばらしく、ま
たすごい人です。

「真の知的エリート」のためのメルマガですので、RPE読者さ
んむき。

まだ読んでおられない方は、是非ご一読ください。

http://www.mag2.com/m/0000110606.html

さて、そんな奥山先生から最近、CDをプレゼントしていただき
ました。

●若きクリエイターたちへ捧ぐ!

「Cumulative & Sequential Strategy」

~クワイエットを読み解く:引きこもりが勝利する時代~

「累積戦略と順次戦略」を徹底解説!

(詳細は→ http://www.realist.jp/cumseq.html )

といいます。

再臨の諸葛孔明が「個人の成功法則を教えてくださる」というの
ですから、これはすごい。

今回は、このCDの内容について触れます。

もちろん、CDの内容は盛りだくさんですから、全部を取り上げる
ことはできませんが・・・。


▼「順次戦略」と「累積戦略」


一般人には聞きなれない言葉。


「順次戦略」とは何ぞや?

「累積戦略」とは何ぞや?


まず「順次戦略」から。

アメリカは第2次大戦時、「三つのルート」で東京にむかって
いこうと決めました。

「北ルート」「真ん中ルート」「南ルート」。

この三つのルートで、目的地である東京を目指して進軍し
ていったのです。

そして、途中にある日本軍の拠点をドンドン撃破していきま
す。


これってわかりやすいですね。

成功法則でいうと、要するに「目標を設定しましょう」というや
つです。


「目標を設定、計画を立て、そこにむかって着実に行動して
いけば成功しますよ」


これ、とっても重要なんです。

実際、「明確な目標を立てている人」と、「目標をもっていな
い人」では、


「収入に10倍差が出る」と調査結果が出ています。


だから、これ重要。


アメリカは、「三つのルートで東京に進軍し、日本を降伏させよ
う」と、勝利までの明確な道筋を描いていた。

ところで、日本は、「どうやって勝つか」考えていたのでしょうか?

聞くところによると、山本五十六さんも「しばらくは暴れられるけ
ど勝ち目はない」といってたとか・・・。

「自虐史観」もダメですが、「勝ち目のない戦争に突入していっ
た」当時の指導者もひどいですね。

(まあ、ずる賢いアメリカに嵌められたのはそのとおりなのです
が・・・)


さて、「明確な目標を設定する」のが「順次戦略」。

しかし、奥山先生は「それだけではいけませんよ」とおっしゃい
ます。

そこで登場するのが、「累積戦略」

「累積戦略」って何ですか?

アメリカ軍は「順次戦略」の他に、「累積戦略」というのをやって
いました。

何かというと、「日本の輸送船をできるだけ多く、潜水艦で撃沈
する」という戦略。


これは、順次戦略と違って、「明確な目標」がありません。


「とにかく、日本の輸送船を見つけたら、バンバン沈めろ!」


これだけ。

「三つのルートで、東京を目指せ!」という場合、自分たちが
ゴール(東京)までどのくらいの距離にあるかわかります。


しかし、「潜水艦で輸送船を撃沈せよ!」の場合、後何隻沈
没させれば日本が降伏するのかわからない。

でも、一隻一隻沈めるたび、着実に日本船の数は減り、日
本が物資を得る量は減っていきます。

こちらは「結果がすぐ見える」順次戦略と違い、「じわじわと
きいてくる」のです。


▼個人における「累積戦略」とは?


戦時における話はなんとなくわかりますね。

「なるほど!

日本の船を一隻一隻撃沈していけばいつかへばる」


しかし、「個人の累積戦略」ってなんだ?


奥山先生は「環境」と「習慣」とおっしゃっています。


これは、私の解釈なのですが、要するに


「実力をつけるための日々の習慣・行動」のこと。


たとえば、イメージしやすい例をあげましょう。


Aさんは、「世界情勢・政治経済オタク」でした。

とにかく「世界で何が起こっているのかな?」「日本で何が起
こっているのかな?」と調べたり考えたりするのが大好き。

新聞は全紙読み、雑誌も「東洋経済」「ダイヤモンド」「エコノ
ミスト」「日経ビジネス」「サピオ」などなど、山のように読んで
います。

もちろんニュースも熱心に見ている。


Aさんは、それをメルマガやブログなどでアウトプットし、評
価がどんどん上がっていきました。

そして、ついに出版社から「本を出しませんか?」とオファー
がきた。

本を出すとますます有名になり、今度はテレビから出演オフ
ァーがきます。

Aさんの日々の習慣(累積戦略)が、成果をもたらしたので
す。

それは、「新聞を全紙読む」「雑誌を熟読する」「ニュースを
真面目に見る」などでした。

しかし、忙しくなったAさんには、もはや「新聞、雑誌を読ん
だり、ニュースを見る時間」がありません。

「累積戦略」は崩れ、彼のテレビでのコメントは、「月並み」
なものになっていきます。

そして、本は「毎回内容が同じ」ということで売れなくなり、
徐々に沈んでいきました。


こういう例からわかること。


1、順次戦略で成功することはあるかもしれないが、累積
戦略も並行してやらないと長つづきしない

2、累積戦略で成功した人は、その後も累積戦略を継続
しないと沈む

3、順次戦略も累積戦略もなければ、まず成功は無理

▼社交的でなくても成功できる


ここからちょっと違う話です。

皆さん、「成功者のイメージ」ってどんな感じですか?

だいたい、


・いつも笑顔を絶やさない

・歯が白い

・声がでかい

・初対面でもすぐうちとける

・誰とでも仲良くなれる

・握手がいたい

・目をみてはなす

・プレゼンがうまい

・朝からテンション高い


いってみれば、「初当選した頃のオバマさん」って感じでしょ
うか。


成功本読んでも「コミュニケーションの達人になれ!」とか書
いてますよね?


それで、「ああ、俺は内気でナンパもできない・・・」という人

「死ぬまで成功できない運命だ」とあきらめてしまう。

私は、昔からこういう「成功者像」に疑問をもっていました。

周りの成功者を見ると、いつもノリノリの人ばかりじゃない
からです。


スティーブ・ジョブズさんは、プレゼンがうまいことで知られ
ていますが、全然社交的じゃなかったそうです。

むしろ、日本の禅僧について、しずかに瞑想するのを好む
ような人でした。


フェイスブックをつくったザッカーバーグさんだって、偏屈
なコンピューターオタクです。


バフェットさんだって、田舎の自宅に引きこもって、一日中
株の研究をしている「株オタク」です。

何がいいたいかというと、「別に社交的でなくても成功で
きる」ってことなんです。

だから、内気な人も、オタクな人も、希望をもっていい。


オタクというのは、一人でいるのが好きなんです。

それで漫画読んだりアニメばっかり見ててもおそらく成功で
きないでしょう。


でも、一人でいるときに「累積戦略」やれば、確実に成功で
きます。


考えてみてください。

他の人が居酒屋で上司の悪口いっているとき、内気なあな
たは、「累積戦略」しているのですから。


▼コミュニケーション・ツールの落とし穴


長期間成功しつづけるのに絶対必要な「累積戦略」。

しかし、現代は「累積戦略をさせないツール」があふれてい
ます。

伝統的なのはテレビ(目的もなくボーと見る場合)

インターネット(無意味なネットサーフィン)

ソーシャル・ネット


もちろん、テレビもネットも、ソーシャル・ネットもすべてす
ばらしいものです。

私もフェイスブックで、小学校から大学の友達まで交流が
復活しましたから。

心から感謝しています。


しかし、それで「累積戦略」の時間が削られているとすれ
ば、ちょっと考えたほうがいいかもしれません。


「累積戦略」というのは、「一人」でやるのです。

それが、一日1時間だとすれば、年間365時間。

8時間の労働時間に換算すると、実に45日分。

一日2時間だとすると、実に90日=3か月分。

この時間「自分を向上させるために使うか?」

それとも、「孤独をまぎらわせるために使うか?」


が人生のわかれめになるのです。

というわけで、今回は、「順次戦略」も大事だが、実力をつける

「累積戦略」も大事という話でした。

出所は、再臨の諸葛孔明、日本一の地政学者・奥山真司先生
のCDです。

もちろん、メルマガでは、CDの100分の1も書けませんでした。

「再臨の諸葛孔明から人生戦略を学びたい!」という志の
高い方は、いますぐこちらをゲットしてください。

●若きクリエイターたちへ捧ぐ!

「Cumulative & Sequential Strategy」

~クワイエットを読み解く:引きこもりが勝利する時代~

「累積戦略と順次戦略」を徹底解説!

(詳細は→ http://www.realist.jp/cumseq.html )


このCDでは、

・アンソニー・ロビンズさん
・佐藤優さん
・勝間和代さん
・神田昌典さん
・本田健さん


などなど具体的な例をあげながら、「順次戦略」「累積戦略」

のことが、完璧にわかるように構成されています。

北野絶対お勧めです。

「もし、プーチンが日本の首相だったら?」

【3刷決まりました!】

【アマゾン(社会・政治部門)1位!】

●「プーチン最後の聖戦」 (集英社インターナショナル)

(詳細は→ http://tinyurl.com/8y5mya3 )

<プーチン本はいろいろ出ているが、これが独特で面白い。>

(立花隆 「週刊文春」2012年7月12日号)

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★編集後記


今回の奥山先生の話ですが、私はCDを聞いて

実は「うれしかった」のです。


というのも、私は子どもの頃から、一人でいるのが好きでした。


生まれてから半年くらい、全然泣くこともなく寝てばかりいた。

それで、近所の人たちは、「北野家に子供が生まれた」ことを
知らなかったといいます。

保育園に入る前も、一人で部屋にほったらかしにされても、
なくことなく、勝手に延々と遊んでいたそうです。


実をいうと、いまでも一人でいるのが好きです。

映画も一人でいくことが多いです。

携帯も切っていることが多いので、友達からクレームされます。


一人で何やってるかというと、「世界情勢」を調べているのです。

そう、私は「世界情勢オタク」。

朝から晩まで「世界情勢」を追いつづけ、疲れることがありませ
ん。


もう一つは、「日本自立オタク」です。

しょっちゅう「日本はどうすれば自立できるのかな?」と考えて
います。

今回のCDを聞いて、なんか奥山先生から、「君はオタクでよ
いのだよ」といってもらった気がしました。( ^ ▼ ^ )


RPEジャーナル
北野幸伯

●北野への応援・激励・新刊感想メールは
こちら→ tjkitanojp●yahoo.co.jp


▲迷惑メール対策のために真ん中が●になっています。
これを@にかえてお送りください。
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○メールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」


発行者 北野 幸伯


Copyright (C) RPE Journal  All Rights Reserved. 358

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(転載終了)

つづきはこちら アメリカ通信バックナンバーへもどる


「戦略の階層」を解説するCD

戦略を語れない人生は奴隷だ

技術を制するのは高度な技術ではない。より上流階層からルール決めには対抗できない。
今こそ日本人は「戦略の階層」を学び、その全体像を理解しなければならない。

詳しくはこちらをどうぞ


このサイトはリアリズムについて学ぶ人を増やすためのサイトです。

さて、早速ですが、・ネオコンをはじめとする勢力が狙ってきた米国の世界一極覇権支配は、長くは続かない。・中国が膨張し、アジアの覇権をねらい、世界は多極構造になる。 90年代から上記のように予想し、米国内でも論争してきたのがリアリスト学派です。

リアリスト学派は、国家のパワー(軍事力、政治力、人口規模、経済力等)がもっとも大事な要素と考え、

正義やイデオロギー、理念は関係ない。国際関係はパワーで決まり、パワーを予測し戦略を立てよう

と考える学派で、19世紀の英国の行ったバランス・オブ・パワーを活用した大戦略を信条とします。

ところが「リアリスト」を自認する日本の親米保守派は、
「経済中心主義」で「安保無料(だだ)乗り」をし続けていますが、
実は、彼らは、以下の2点で決定的、かつ、致命的な誤りを犯していたのです。
そして、そうした日本の政策は、冷酷な米国のリアリストから、
単なる「バンドワゴニング」に過ぎない、と足元を見透かされているのです。

その2点とは、

(1)日本はアングロサクソン(米英)についていれば大丈夫。

(2)米国は「民主制度」と「法治」、「人権」を重んずる日本を信頼し、
   一党独裁の共産主義中国を嫌っている。

ということです。

まず、(1)については、
日英同盟時も上手くいった。だから、これからも米国についてゆけば大丈夫!
万事問題ないというものです。

しかし、我が日本が戦後60年間、幸いにして戦争に巻き込まれなかったのは、
ほとんど偶然の産物であったということは、強く認識しておく必要があります。

米国は国益に係わることならば、いとも簡単に「友達」を切り捨て、裏切る国である。
国論が変われば友好国をあっさり切り捨ててきたことは、これまでの歴史の事実が証明しています。

・日中戦争では、蒋介石を応援しつつも、途中から毛沢東支援にまわった。

・ソ連打倒のためには台湾(中華民国)を切り捨て、中華人民共和国と国交を結んだ。

・ベトナム戦争では出口がみえなくなり、結局南ベトナム支援からあっさり撤退した。

・米国が支援していた南ベトナムは崩壊し、大量の難民があふれ出た。

・イラン・イラク戦争の時、イランが戦争に勝って影響力が拡大することを恐れた米国は、
 サダムフセインに(イラク)に軍事的な支援をした。
 しかし、支援した米国は干渉してこないと思ったフセインは、その後クウェートに侵攻し、
 湾岸戦争、イラク侵攻と2度の戦争で米国に打ちのめされ、最後は米軍に捕まり処刑された。

如何でしょうか?

これでもまだあなたは、アメリカはずっと「友達」でいてくれる!

と思えますか?

次に、(2)についてですが、
欧米メディアなどの報道によれば、米国内における中国の工作員の数は激増しています。
更には、人民解放軍には「政治工作条例」なるものまであります。
彼らは世論戦、心理戦、法律戦からなる「三戦」の任務を与えられ、
まさに今、中国は国策として、米国内で「世論戦」を仕掛けている、というのが冷酷な事実です。

正義や真実でなく、ウソでも現実をつくれると考える中国の
カネも人員もかけたまさに「人海戦術」的な、この国家戦略が功を奏し、
すでに米国世論では「尖閣は日本が強奪した島だ」ということに傾き始めている・・・
この危険な状況を皆さんはご存知でしょうか?

-*- -*-

例えば、韓国との従軍慰安婦問題をみるまでもなく、
日本国内で、いわゆる「保守派」といわれる人達が、
どれだけ「真実」を主張しても、
同じ日本人であるはずの国内左翼勢力がこの外患に呼応するという、
典型的なパターンに陥っている事例は、枚挙に暇がありません。

白州次郎は「日本をプリンシプルのない国」と言いました。
しかし、残念ながら、この分析は現在の日本にも今だに当てはまっているのです。

これらの冷酷な事実を踏まえ、
本サイトで皆さんとともに真剣に考えていきたいのは、以下の2点です。

・日本はいかにして「パワー」を獲得すればいいのか?

・どんな国家像を描き、グランド・ストラテジーを立てればよいのか?

この二つの質問を念頭に据えて、米国のリアリスト思考を学び、
日本におけるリアリスト思考を広げ、リアリスト学派をつくっていく。

これが、このサイト、www.realist.jpの目的です。
あなたも是非議論に加わって下さい。



リアリスト思考を最初に日本にもたらした、
シカゴ学派、元フーバー研究所上席研究員、故・片岡鉄哉先生に捧ぐ

日本がこのままの状態でいけば、
少なくとも十年以内に、二流、三流の地位まで確実に堕ちていくことになる。
現在の日本の状況を冷静に見れば、
どう考えてもそういう結論しか出てこないのだ。
しかし、日本はそのまま堕ちっぱなしというわけではない。

何年後になるかわからないが、日本はしぶとく復活するはずである。
国家というのはいつまでも堕ちっぱなしということはなく、
反省して自覚した国民が生まれ、それが国を復興することになるからである。

そのときに、決定的に必要となつてくるのが「理想」である。

地政学の祖であるマッキンダーは、
「人類を導くことができるのは、ただ理想の持つ魅力だけだ」
と言っている。

しかし彼は、同時に現実を冷静に見る目を
忘れてはならないことを鋭く警告している。
それが地理と歴史を冷静に分析した、
地政学という学問が与えてくれる視点なのである。
彼が一九一九年に発表した『デモクラシーの理想と現実』
という本の題名は、このような理想と現実のバランスの大切さを訴えている。

世界はこれから「カオス化」していく。
これはつまり、世界はこれからますます複雑化した
先の見えない場になるということである。

そして日本は、「カオス化」された状況の中で
自立を目指さなければならないし、
むしろ自立せざるを得ない状況に追い込まれることになるかもしれない。
そして、その中で世界に伍していくためには、
日本人は何よりもまず、リアリズムの思考法を身につけなければならない。

日本人は自分で責任を持って戦略を考えるという思考を捨ててしまい、
安易に平和的な解決だけを求めるという体質が染みついてしまった。
たとえば、外交における戦略も「善か悪か」で判断するため、
善を探そうとするあまり、次の一手がどうしても遅くなる。

しかも、日本が「善かれ」と思って世界に主張したことは、
まずもって善として見られていない。
他国はリアリズムの視点で「日本が何を狙っているのか」
と冷酷に見ているのだ。
だからこそ、わが国も外交戦略を「善悪」ではなく、
「強弱」で見るように訓練しなければならない。
「強弱」とは、現在わが国にとって、
この政策は他国と比べて立場を強めてくれるのか
弱めるものかという冷静な判断である。

弱いのであれば、より強い政策を打ち出さなければならないし、
強いものであれば、政策をより国益に近づけなければならない。
こうしたリアリズムの思考を身につけることは、
むしろ「国際的なマナー」なのである。