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地政学を英国で学んだ
しばらくお待ち下さい。
2013年03月9日 ドラッカー流「知識社会のワークスタイル」は実現するのか?

共同管理人の和田です。

さて、読者の皆さんの中にも、
このニュースに注目されている方がいるかと思いますが、
アメリカのインターネット検索大手Yahoo!(ヤフー)が、
これまで在宅で勤務していた従業員全員に
今後はオフィスでの就業を求めた、とされる「内部メール」が流出して、
話題になっています。

「オフィスで働くか解雇か」

アメリカのネット上では、時代の最先端を走る巨大IT企業が
ワーク・ライフ・バランス重視の潮流に「逆行」するようだ、
と批判的な論調が張られる一方で、
日本の専門家は「イノベーションは人と人とのつながりから生まれる」
との見方を示しています。

「私たちは一つのヤフーになる必要があり、
それは物理的に一緒にいることから始まるのです」

という、CEOの言葉が印象的です。

読者の皆さんは在宅勤務に賛成ですか?反対ですか?
もし、あなたが、会社員だとしたらどう判断しますか?
また、経営者だとしたら違う判断をしますか?

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この問題をどう考えるかは、
実は、これからの時代、誰もが無視できないほどの重要な問題です。
なぜならば、

「産業革命に対する考察、そして人類最大の過渡期をどう乗り越えるのか?」

という一大テーマに直結しているからです。

皆さんもお馴染みの
ピーター・ドラッカーは『非営利組織の経営』においてこう述べています。

「成果をあげる人とあげない人の差は才能ではない。
いくつかの習慣的な姿勢と、
基礎的な方法を身につけているかどうかの問題である。
しかし組織というものが最近の発明であるために、
人はまだこれらのことに優れるに至っていない」

この最後の「組織というものが最近の発明であるために」
という部分に注目して頂きたい。

人類の歴史上、本格的に「集団で仕事をする」
という労働形態を取るようになったのは、
産業革命の18世紀以降のことで、
たかだか300年くらいしか経っていません。

数百人、数千人規模の会社組織、
現代では、数万人規模の組織もたくさんありますが、
このような「会社組織として集団で働く」
18世紀のイギリスでスタートした第一次産業革命/工業革命からです。

300年というと、一見長いようにも思えますが、
最初期の段階では、人間を工場に押し込んで、
それこそ奴隷のように働かせていました。

その期間のことを考慮すると、
個人が、会社を作り、組織で成果を上げるという働き方は
まだじゅうぶんに確立しておらず、まだまだこれからの課題である・・・

と、ドラッカーは言っているわけです。

要するに、現代は人類最大の過渡期、とも言えます。

ドラッカーの論に従えば、
「組織で働く」というスタイルすらも未だ固まっておらず・・・。
ということですから、そもそも、
会社として組織として働くこと、がよいのか?
それとも、個人としてフリーランスで生きてゆくのがよいのか?
などの問に対する、答えはまだ見つかっていないのです。

ドラッカー自身が提唱している、お馴染みの
「知識社会の知識労働者のワークスタイル」は
まだ確立していません。

どんな働き方をしたらいいのか?
具体的な成果を上げるためにどうしたらいいのか?

今こそ、このことを、組織や個人が真剣に考えなければならない時です。

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現代は、人類史上、最も早い速度で変化している時代です。

例えば、これまでであれば、大量の書籍を維持することが出来る自宅を持つか、
大学研究室や大学図書館つきでなれば、学者にはなれませんでした。
山のような書籍・資料にすぐにアクセスできなければ、学者になれなかったわけです。

ところが、現在では、BOOKOFFなど中古書籍市場が発達したこと、
さらに、本を電子化してしまう技術も高度に進化した結果、
低コストで書籍情報をデジタル化して保持することが可能になりました。

また、映像分野では、以前は、数千万もするカメラや機材を使用し、
プロ集団が撮影・編集して映像コンテンツを製作していました。

しかし、今では、youtubeなどに代表されるように、
そこそこのスペックのPCと、安価な家庭用機材があれば、
十分に鑑賞に耐えうる映像が、かなり簡単に製作できて、
さらに配信まですることが出来ます。

ほんの数十年前は、著名な企業家にでもならなければ、
ビジネス書を書くチャンスなどありませんでした。
ですが、現在では、ブログをはじめ、ソーシャルメディアなどもありますから、
真っ当なコンテンツを生み出すことが出来るならば、
作家として世にでることも可能になりました。

このような状況下においては、
私たち、一人ひとりが、組織の中や外での「生き残り」をかけた
「戦略的思考」を身に付けられるかどうか?がポイントになります。

冒頭に紹介した、ヤフーが考える働き方とは、
「人と人とのつながりからイノベーションが生まれる」
というものです。

これは、奥山さんが最新の解説CDでも紹介している
米国での新しい働き方、つまり、「Quiet」という全米ベストセラーの書籍が
提唱しているスタイルと全く違った考え方になります。

奥山さんは、この「Quiet」なスタイルを、
戦略学上の「累積戦略」と置き換え、
これを増強させるべく、「順次戦略」をミックスさせて駆動させる、
という「人生の大戦略」を大胆に提唱しています。

これは、ヤフー流の「人間同士繋がりが生むイノベーション」
に真っ向から反論または、限定条件をつけるものです。

「累積戦略」、「順次戦略」という言葉や、
「Quiet」という本のことを聞いても、
なかなかピンと来ることはなかろうと思います。


だからこそ、今回、このややこしい概念を、
誰にでもわかるように、思いっきり噛み砕いて解説して、
2時間を超える音声CDとしてまとめました。

多くの方に、この奥山さんの壮大でありながら、
実は、とても地に足の着いた着実な大戦略の「真髄」を、
会得して頂きたいと思っています。

▼「累積戦略と順次戦略」を徹底解説!
「Cumulative & Sequential Strategy」
〜クワイエットを読み解く:引きこもりが勝利する時代~

→ → http://www.realist.jp/cumseq.html

つづきはこちら アメリカ通信バックナンバーへもどる


「戦略の階層」を解説するCD

戦略を語れない人生は奴隷だ

技術を制するのは高度な技術ではない。より上流階層からルール決めには対抗できない。
今こそ日本人は「戦略の階層」を学び、その全体像を理解しなければならない。

詳しくはこちらをどうぞ


このサイトはリアリズムについて学ぶ人を増やすためのサイトです。

さて、早速ですが、・ネオコンをはじめとする勢力が狙ってきた米国の世界一極覇権支配は、長くは続かない。・中国が膨張し、アジアの覇権をねらい、世界は多極構造になる。 90年代から上記のように予想し、米国内でも論争してきたのがリアリスト学派です。

リアリスト学派は、国家のパワー(軍事力、政治力、人口規模、経済力等)がもっとも大事な要素と考え、

正義やイデオロギー、理念は関係ない。国際関係はパワーで決まり、パワーを予測し戦略を立てよう

と考える学派で、19世紀の英国の行ったバランス・オブ・パワーを活用した大戦略を信条とします。

ところが「リアリスト」を自認する日本の親米保守派は、
「経済中心主義」で「安保無料(だだ)乗り」をし続けていますが、
実は、彼らは、以下の2点で決定的、かつ、致命的な誤りを犯していたのです。
そして、そうした日本の政策は、冷酷な米国のリアリストから、
単なる「バンドワゴニング」に過ぎない、と足元を見透かされているのです。

その2点とは、

(1)日本はアングロサクソン(米英)についていれば大丈夫。

(2)米国は「民主制度」と「法治」、「人権」を重んずる日本を信頼し、
   一党独裁の共産主義中国を嫌っている。

ということです。

まず、(1)については、
日英同盟時も上手くいった。だから、これからも米国についてゆけば大丈夫!
万事問題ないというものです。

しかし、我が日本が戦後60年間、幸いにして戦争に巻き込まれなかったのは、
ほとんど偶然の産物であったということは、強く認識しておく必要があります。

米国は国益に係わることならば、いとも簡単に「友達」を切り捨て、裏切る国である。
国論が変われば友好国をあっさり切り捨ててきたことは、これまでの歴史の事実が証明しています。

・日中戦争では、蒋介石を応援しつつも、途中から毛沢東支援にまわった。

・ソ連打倒のためには台湾(中華民国)を切り捨て、中華人民共和国と国交を結んだ。

・ベトナム戦争では出口がみえなくなり、結局南ベトナム支援からあっさり撤退した。

・米国が支援していた南ベトナムは崩壊し、大量の難民があふれ出た。

・イラン・イラク戦争の時、イランが戦争に勝って影響力が拡大することを恐れた米国は、
 サダムフセインに(イラク)に軍事的な支援をした。
 しかし、支援した米国は干渉してこないと思ったフセインは、その後クウェートに侵攻し、
 湾岸戦争、イラク侵攻と2度の戦争で米国に打ちのめされ、最後は米軍に捕まり処刑された。

如何でしょうか?

これでもまだあなたは、アメリカはずっと「友達」でいてくれる!

と思えますか?

次に、(2)についてですが、
欧米メディアなどの報道によれば、米国内における中国の工作員の数は激増しています。
更には、人民解放軍には「政治工作条例」なるものまであります。
彼らは世論戦、心理戦、法律戦からなる「三戦」の任務を与えられ、
まさに今、中国は国策として、米国内で「世論戦」を仕掛けている、というのが冷酷な事実です。

正義や真実でなく、ウソでも現実をつくれると考える中国の
カネも人員もかけたまさに「人海戦術」的な、この国家戦略が功を奏し、
すでに米国世論では「尖閣は日本が強奪した島だ」ということに傾き始めている・・・
この危険な状況を皆さんはご存知でしょうか?

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例えば、韓国との従軍慰安婦問題をみるまでもなく、
日本国内で、いわゆる「保守派」といわれる人達が、
どれだけ「真実」を主張しても、
同じ日本人であるはずの国内左翼勢力がこの外患に呼応するという、
典型的なパターンに陥っている事例は、枚挙に暇がありません。

白州次郎は「日本をプリンシプルのない国」と言いました。
しかし、残念ながら、この分析は現在の日本にも今だに当てはまっているのです。

これらの冷酷な事実を踏まえ、
本サイトで皆さんとともに真剣に考えていきたいのは、以下の2点です。

・日本はいかにして「パワー」を獲得すればいいのか?

・どんな国家像を描き、グランド・ストラテジーを立てればよいのか?

この二つの質問を念頭に据えて、米国のリアリスト思考を学び、
日本におけるリアリスト思考を広げ、リアリスト学派をつくっていく。

これが、このサイト、www.realist.jpの目的です。
あなたも是非議論に加わって下さい。



リアリスト思考を最初に日本にもたらした、
シカゴ学派、元フーバー研究所上席研究員、故・片岡鉄哉先生に捧ぐ

日本がこのままの状態でいけば、
少なくとも十年以内に、二流、三流の地位まで確実に堕ちていくことになる。
現在の日本の状況を冷静に見れば、
どう考えてもそういう結論しか出てこないのだ。
しかし、日本はそのまま堕ちっぱなしというわけではない。

何年後になるかわからないが、日本はしぶとく復活するはずである。
国家というのはいつまでも堕ちっぱなしということはなく、
反省して自覚した国民が生まれ、それが国を復興することになるからである。

そのときに、決定的に必要となつてくるのが「理想」である。

地政学の祖であるマッキンダーは、
「人類を導くことができるのは、ただ理想の持つ魅力だけだ」
と言っている。

しかし彼は、同時に現実を冷静に見る目を
忘れてはならないことを鋭く警告している。
それが地理と歴史を冷静に分析した、
地政学という学問が与えてくれる視点なのである。
彼が一九一九年に発表した『デモクラシーの理想と現実』
という本の題名は、このような理想と現実のバランスの大切さを訴えている。

世界はこれから「カオス化」していく。
これはつまり、世界はこれからますます複雑化した
先の見えない場になるということである。

そして日本は、「カオス化」された状況の中で
自立を目指さなければならないし、
むしろ自立せざるを得ない状況に追い込まれることになるかもしれない。
そして、その中で世界に伍していくためには、
日本人は何よりもまず、リアリズムの思考法を身につけなければならない。

日本人は自分で責任を持って戦略を考えるという思考を捨ててしまい、
安易に平和的な解決だけを求めるという体質が染みついてしまった。
たとえば、外交における戦略も「善か悪か」で判断するため、
善を探そうとするあまり、次の一手がどうしても遅くなる。

しかも、日本が「善かれ」と思って世界に主張したことは、
まずもって善として見られていない。
他国はリアリズムの視点で「日本が何を狙っているのか」
と冷酷に見ているのだ。
だからこそ、わが国も外交戦略を「善悪」ではなく、
「強弱」で見るように訓練しなければならない。
「強弱」とは、現在わが国にとって、
この政策は他国と比べて立場を強めてくれるのか
弱めるものかという冷静な判断である。

弱いのであれば、より強い政策を打ち出さなければならないし、
強いものであれば、政策をより国益に近づけなければならない。
こうしたリアリズムの思考を身につけることは、
むしろ「国際的なマナー」なのである。