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地政学を英国で学んだ
しばらくお待ち下さい。
2013年04月08日 中国による植民地化・奴隷化に繋がりかねない「展転社問題」を考える。

共同管理人の和田です。

皆さんは、中国に「三戦」という言葉があるのをご存知でしょうか?

▼三戦:wikipedia
http://goo.gl/eU2P4

(転載はじめ)

三戦(さんせん)とは、世論戦(輿論戦)、心理戦、法律戦の3つの戦術を指している。
平成21年版防衛白書によれば、
「輿論戦」は、中国の軍事行動に対する大衆および国際社会の支持を築くとともに、
敵が中国の利益に反するとみられる政策を追求することのないよう、
国内および国際世論に影響を及ぼすことを目的とするもの。

「心理戦」は、敵の軍人およびそれを支援する文民に対する
抑止・衝撃・士気低下を目的とする心理作戦を通じて、
敵が戦闘作戦を遂行する能力を低下させようとするもの。

「法律戦」は、国際法および国内法を利用して、国際的な支持を獲得するとともに、
中国の軍事行動に対する予想される反発に対処するもの。
とされる。

また、一般財団法人 平和・安全保障研究所によれば、
「三戦」とは「法律戦」、「世論戦(輿論戦)」、「心理戦」である。
経済・文化交流を通じて世論誘導あるいは分断をし、敵の戦闘意思を削ぎ、
戦わずして中国に屈服するよう仕向けるものを目的としている。
また、これらの影響について、
尖閣諸島への進出も三戦の一環であるとの考察を
同志社大学教授の浅野 亮は語っている。

(転載おわり)

実は、この「世論戦(輿論戦)」「心理戦」「法律戦」の
3つの戦術すべて、「三戦」をつかった戦いが、今まさに行われています。。

『月刊WiLL』誌5月号で、阿羅健一さんが取り上げている、
展転社の南京裁判問題がそれにあたります。

私は、昨年11月14日の『「南京裁判」展転社を支援する会の決起集会』
に参加してきました。この裁判は簡単に言うと、

「中国人が中国の裁判所に、
日本在住の日本人と日本の法人を被告として訴えた。
日本側は裁判には行けないので欠席裁判となり、中国人が勝訴した。
これを東京裁判所に執行させるよう提出し、こともあろうか、
審理をはじめてしまった」
ということです。

日本人と日本の法人とは、
『「南京虐殺」への大疑問』という本を書いた松村俊夫氏と、
その出版社である展転社に当ります。

この問題はいろいろあるので、整理してご紹介します。

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(1)政治問題である「南京事件」が絡んでいる。

これは、日中の政治問題であり、
主張の食い違う南京事件についての問題です。
当時南京の人口は20万人くらいと言われており、
30万人殺したなどという中国側の主張に応じられるはずありませんが、
中国側から提出されている「証拠写真」というのも、
すべて東中野氏の調べで虚偽であったことが検証されています。
(『南京事件「証拠写真」を検証する』東中野修道著、
では証拠となる写真は一枚もなかったのだ)。

(2)中国とは法体系が違いすぎる。

違いすぎるというか、シナには有史以来法体系がありません。
いまだ近代法治国家になってすらいないわけです。
賄賂で判決が買えるような、未開の部族社会国の判決を
日本で強制執行させて良いのでしょうか?

そもそも、共産党の一党独裁で総選挙もやったことがない国です。
人民解放軍も国軍でなく、共産党の軍。それほどの権力をもっている国にとって、
都合の悪い書籍についての裁判です。
中国は、法治主義ではなく、人治主義の国なのです。

中国問題の専門家、石平氏の本を読めばわかりますが、
中国では、民衆は裁判に訴えず、デモを起こし、
直接政治にダメージを与え改善を求めるのが、正しいスタイルのようです。

日本ですと三審制がありますが、
中国で敗訴したあと控訴しても却下されるのは目に見えています。
わざわざ中国まで行って裁判を受けなければならないなら、
日本人は次から次へ訴えられその費用だけで破産してしまいます。
システマティックにどんどん訴訟起こされたら全部欠席裁判になってしまう。
次から次にやってきたら丸裸にされてしまうのです。

そもそも判決が予測できるし、控訴できないようなところに出席しても意味が無い。
欠席判決は原告側の言った通りの結末になってしまいます。

3)相互保証のない中国の裁判を持ち込まれるのか?

国際司法でなく、国際私法は、両国で裁判をやるには無駄が多いので、
どちらかがやればそれを応用するというものです。
しかし、中国とは相互保証がありません。国際関係の「相互保証」がないのであれば、
中華人民共和国で下された民事判決は日本では効力はないはずです。
中国の裁判所は日本に住む日本人の管轄権があるのか?あるわけがありません。

4)それでは、その逆は可能なのか?

こんなことができるのであれば、
逆に日本から中国人を訴えることが可能でなければなりません。
しかし、中国は共産国なのだから、建前上は私有財産はありません。
その場合、何について執行するのか?
財産がない人を訴えることはできない・・・。
中国人がさんざん著作権侵害してコピー天国になっていますが、
その中国の業者を日本人が日本の裁判所で民事にて訴え、
日本で判決をだし、中国でその結果を強制執行できるのか?
もし、できていれば、ドラクエ作曲家のすぎやまこういちさんらをはじめ、
多くの日本人は中国から毎年大金が振り込まれることになるはずです。

5)そもそも中国で翻訳されたこの本は海賊版。

本の正規版を売ってくれるのならまだ分かるが、海賊版では、
出版社にも作者にもカネも入らないし知名度も上がらない。
中国政府に都合の悪い真実があるのだから広く売るはずもない。
要するに、裁判をやるためにだけに翻訳して海賊版ができた
といっても過言ではないのではないでしょうか。

6)この裁判を指揮する日本人がいる。

この裁判を日本で強制執行させられるという意見書をだしたのが、
奥田安弘中央大学教授です。彼が原告の代理人なのです。
731部隊、南京大虐殺、無差別爆撃訴訟で中国側の証人となり、
中国法を適用すべきだと主張した人間でもあります。

荒木田弁護士がいうには、公文書は日本の裁判所では
日本の元号を使うのが決まりですが、奥田氏は西暦を使うほど、
日本の元号を誇りに思っていないようです。
全部西暦で書くような、筋金入りなのだ。

7)メディアが報道していない。

「産経新聞」と「WiLL」誌くらいしか記事にしていないようです。
これは誰が考えてもおかしな裁判なので、「朝日新聞」などは
これを国民に知らせてしまってはいけないとでも考えているのでしょうか。
審理してしまった東京地方裁判所そのものが腐っていると大騒ぎになっても困る。

中国側を密かに応援する意味で沈黙を守っているのではないでしょうか?
日本人の人権よりも人治国家・中国人の人権を重んじる
日本のサヨクメディアのやりそうなことです。

8)一千二百万円の支払い命令

平均年収の30年分にあたる金額そのものも、
原告である夏淑琴の精神的苦痛の金額としては法外である。
行ったこともない国で、読めもしない言語で書かれた書物を
しかも海賊版で訳されて読まされたから与えられた苦痛に対する金額です。
日本の平均年収が400万円だとしたら1億2000万円にあたる。
それほどの精神的苦痛とはなんでしょうか?

9)十分なダメージを与えられた
東京での裁判であっても、これに応じるための裁判費用が必要となります。
裁判準備もあり、展転社は営業妨害をされているようなものです。
勝訴したとしてもこれはダメージであり、
ましてやこの分野を研究し続けていく学者の士気は下がる。
研究し、書籍を発表しても海賊版で読まれ訴えられるのです。

10)審理し始めた日本の裁判官は大丈夫か?

荒木田弁護士によれば、日本の裁判官は朝日新聞しか読まないそうです。
そうであれば、彼らの歴史観は、南京大虐殺も百人斬りもあったこと、
とする中共と共有されていることになります。
日本国内でもサヨク弁護士対日の丸弁護士が戦ってもサヨクが勝つことが多い。
裁判官がサヨクだからです。

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これは日本人全員の問題です。

こんなことがまかり通るのであれば、日本は植民地になっているも同然です。
一方的に搾取され続ける関係をつくってしまおうとするもので、
日本のサヨクによる中共の日本支配構造計画ではないでしょうか?

中国についての著作が多い、評論家の宮崎正弘氏は
中国人についてこう言っています。

「中国人は生まれてから死ぬまで嘘をついている」
「中国人は朝起きてから寝るまで嘘をつく」
「日本人はいい人、悪い人がいるかもしれないが、中国人は悪いか、もっと悪いかだ」

こんな国とまともに付き合うことはお断りしたいが、それを導く悪い日本人がいるわけです。

これは日本を植民地にしようとしてしかけている"戦争"です。
なにも武力行使だけが戦争ではありません。
武力での支配だけでなく、心理的にも経済的にも、
コントロール下におこうとする戦争を仕掛けられているのです。

『WiLL』5月号掲載、阿羅健一さんによる
「展転社、中国との孤独な法廷戦」という記事を、ぜひお読み下さい。

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さて、早速ですが、・ネオコンをはじめとする勢力が狙ってきた米国の世界一極覇権支配は、長くは続かない。・中国が膨張し、アジアの覇権をねらい、世界は多極構造になる。 90年代から上記のように予想し、米国内でも論争してきたのがリアリスト学派です。

リアリスト学派は、国家のパワー(軍事力、政治力、人口規模、経済力等)がもっとも大事な要素と考え、

正義やイデオロギー、理念は関係ない。国際関係はパワーで決まり、パワーを予測し戦略を立てよう

と考える学派で、19世紀の英国の行ったバランス・オブ・パワーを活用した大戦略を信条とします。

ところが「リアリスト」を自認する日本の親米保守派は、
「経済中心主義」で「安保無料(だだ)乗り」をし続けていますが、
実は、彼らは、以下の2点で決定的、かつ、致命的な誤りを犯していたのです。
そして、そうした日本の政策は、冷酷な米国のリアリストから、
単なる「バンドワゴニング」に過ぎない、と足元を見透かされているのです。

その2点とは、

(1)日本はアングロサクソン(米英)についていれば大丈夫。

(2)米国は「民主制度」と「法治」、「人権」を重んずる日本を信頼し、
   一党独裁の共産主義中国を嫌っている。

ということです。

まず、(1)については、
日英同盟時も上手くいった。だから、これからも米国についてゆけば大丈夫!
万事問題ないというものです。

しかし、我が日本が戦後60年間、幸いにして戦争に巻き込まれなかったのは、
ほとんど偶然の産物であったということは、強く認識しておく必要があります。

米国は国益に係わることならば、いとも簡単に「友達」を切り捨て、裏切る国である。
国論が変われば友好国をあっさり切り捨ててきたことは、これまでの歴史の事実が証明しています。

・日中戦争では、蒋介石を応援しつつも、途中から毛沢東支援にまわった。

・ソ連打倒のためには台湾(中華民国)を切り捨て、中華人民共和国と国交を結んだ。

・ベトナム戦争では出口がみえなくなり、結局南ベトナム支援からあっさり撤退した。

・米国が支援していた南ベトナムは崩壊し、大量の難民があふれ出た。

・イラン・イラク戦争の時、イランが戦争に勝って影響力が拡大することを恐れた米国は、
 サダムフセインに(イラク)に軍事的な支援をした。
 しかし、支援した米国は干渉してこないと思ったフセインは、その後クウェートに侵攻し、
 湾岸戦争、イラク侵攻と2度の戦争で米国に打ちのめされ、最後は米軍に捕まり処刑された。

如何でしょうか?

これでもまだあなたは、アメリカはずっと「友達」でいてくれる!

と思えますか?

次に、(2)についてですが、
欧米メディアなどの報道によれば、米国内における中国の工作員の数は激増しています。
更には、人民解放軍には「政治工作条例」なるものまであります。
彼らは世論戦、心理戦、法律戦からなる「三戦」の任務を与えられ、
まさに今、中国は国策として、米国内で「世論戦」を仕掛けている、というのが冷酷な事実です。

正義や真実でなく、ウソでも現実をつくれると考える中国の
カネも人員もかけたまさに「人海戦術」的な、この国家戦略が功を奏し、
すでに米国世論では「尖閣は日本が強奪した島だ」ということに傾き始めている・・・
この危険な状況を皆さんはご存知でしょうか?

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例えば、韓国との従軍慰安婦問題をみるまでもなく、
日本国内で、いわゆる「保守派」といわれる人達が、
どれだけ「真実」を主張しても、
同じ日本人であるはずの国内左翼勢力がこの外患に呼応するという、
典型的なパターンに陥っている事例は、枚挙に暇がありません。

白州次郎は「日本をプリンシプルのない国」と言いました。
しかし、残念ながら、この分析は現在の日本にも今だに当てはまっているのです。

これらの冷酷な事実を踏まえ、
本サイトで皆さんとともに真剣に考えていきたいのは、以下の2点です。

・日本はいかにして「パワー」を獲得すればいいのか?

・どんな国家像を描き、グランド・ストラテジーを立てればよいのか?

この二つの質問を念頭に据えて、米国のリアリスト思考を学び、
日本におけるリアリスト思考を広げ、リアリスト学派をつくっていく。

これが、このサイト、www.realist.jpの目的です。
あなたも是非議論に加わって下さい。



リアリスト思考を最初に日本にもたらした、
シカゴ学派、元フーバー研究所上席研究員、故・片岡鉄哉先生に捧ぐ

日本がこのままの状態でいけば、
少なくとも十年以内に、二流、三流の地位まで確実に堕ちていくことになる。
現在の日本の状況を冷静に見れば、
どう考えてもそういう結論しか出てこないのだ。
しかし、日本はそのまま堕ちっぱなしというわけではない。

何年後になるかわからないが、日本はしぶとく復活するはずである。
国家というのはいつまでも堕ちっぱなしということはなく、
反省して自覚した国民が生まれ、それが国を復興することになるからである。

そのときに、決定的に必要となつてくるのが「理想」である。

地政学の祖であるマッキンダーは、
「人類を導くことができるのは、ただ理想の持つ魅力だけだ」
と言っている。

しかし彼は、同時に現実を冷静に見る目を
忘れてはならないことを鋭く警告している。
それが地理と歴史を冷静に分析した、
地政学という学問が与えてくれる視点なのである。
彼が一九一九年に発表した『デモクラシーの理想と現実』
という本の題名は、このような理想と現実のバランスの大切さを訴えている。

世界はこれから「カオス化」していく。
これはつまり、世界はこれからますます複雑化した
先の見えない場になるということである。

そして日本は、「カオス化」された状況の中で
自立を目指さなければならないし、
むしろ自立せざるを得ない状況に追い込まれることになるかもしれない。
そして、その中で世界に伍していくためには、
日本人は何よりもまず、リアリズムの思考法を身につけなければならない。

日本人は自分で責任を持って戦略を考えるという思考を捨ててしまい、
安易に平和的な解決だけを求めるという体質が染みついてしまった。
たとえば、外交における戦略も「善か悪か」で判断するため、
善を探そうとするあまり、次の一手がどうしても遅くなる。

しかも、日本が「善かれ」と思って世界に主張したことは、
まずもって善として見られていない。
他国はリアリズムの視点で「日本が何を狙っているのか」
と冷酷に見ているのだ。
だからこそ、わが国も外交戦略を「善悪」ではなく、
「強弱」で見るように訓練しなければならない。
「強弱」とは、現在わが国にとって、
この政策は他国と比べて立場を強めてくれるのか
弱めるものかという冷静な判断である。

弱いのであれば、より強い政策を打ち出さなければならないし、
強いものであれば、政策をより国益に近づけなければならない。
こうしたリアリズムの思考を身につけることは、
むしろ「国際的なマナー」なのである。