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地政学を英国で学んだ
しばらくお待ち下さい。
2013年04月11日 北朝鮮の暴発も中国との尖閣問題も地政学リスク

共同管理人の和田です。

永く太平の世を続けた江戸時代を終わらせたのは
米国の黒船が原因です。黒船の寄港地として、
米国のアジア大陸への足がかりの場所が日本だったからです。

当初、米国は"燃料エネルギー"としてのクジラを捕るため、
その捕鯨船の補給地の確保を目的として日本にやって来ました。


余談ですが、
当時、船舶の燃料として「クジラの油」が使われていました。
そのために、食料としてではなく、
燃料としてのクジラを乱獲していたのです。
食文化でもないクジラを油目的で殺しまくった米国が
現代の日本の捕鯨を批判する・・・。
皮肉にもならない話です。

「シナ大陸の開拓」という目的も当然、視野に入っていました。

しかし、米国は、南北戦争の勃発という
大きな国内問題のため、幕末の日本に関与する余裕がなくなりました。
それに対して、英国は薩長側につき、
フランスは幕府側につき、戊辰戦争が始まったわけです。

当時のシナの政権・清はどうであったかというと、
すでにフランス、イギリス、オランダ等の【シーパワー】勢力が
既にシナ大陸に食い込んでおり、
本来は強欲で強大であった清国は南進できませんでした。

その後、アヘン戦争の結果、英国に香港を奪われてしまいました。
更に、大量のシナ人が米国に奴隷(クーリー)として拉致されていました。

アフリカからの黒人奴隷拉致は人種差別の源泉になっていますが、
鉄道開拓のためのシナ人奴隷は問題になっていません。
これは、当時のシナ大陸の政権「清」からすれば、
「他民族」であったシナ人(=漢人)には"人権"はない、という認識であり、
よって、「清」国は、この拉致・奴隷化を黙認していたからです。

また、清はなぜ北進できなかったのか?
それは、【ランドパワー】であるロシア帝国が強大であったからです。

そして、明治以降の日本にとっても、
【ランドパワー】としてのロシア(旧ソ連)、
その共産主義にとの戦いの歴史、と言っても過言ではありません。

明治時代にロシアが満州や朝鮮半島に進出してこなければ、
日本は日清戦争、日露戦争を戦わなくても良かったのです。

この時、日本がロシアに対抗していなければ、
満州どころか、北京や朝鮮半島までロシア領になっていた・・・
これは間違いないでしょう。
対馬や長崎までロシアに取られてしまった可能性すらあるのです。

日露戦争では、辛くもロシアには勝てましたが、
第二次大戦では、戦争末期のどさくさに紛れて、
まんまと、ソ連に樺太、千島を占領されてしまいました。

さて、これからの日本はどうでしょうか?

今回、「海洋強国を打ち出した」習近平の中国に対して
どのように対峙すべきでしょうか?

世界を【地理】と【ランドパワー】【シーパワー】で考えるのが「地政学」です。
朝鮮半島やアフガニスタンといった
この両パワーの緩衝地帯は常にリスクが伴います。

そして、世界には【チョークポイント】といわれる要所があります。

典型的な例として、マラッカ海峡やスエズ運河などがありますが、
そこを押さえた国は栄えるという流れも、「地政学」がわかれば、
すんなりと理解出来ます。

おそらく、"日本唯一"と言ってしまっていいでしょう、
地政学者の奥山真司が、誰でも学べるようにと、
満を持して、「地政学講座」を音声化しました。

現在の日本国内で、本気でこの分野を研究している学者は
ほどんど居ませんし、当然、「地政学」は日本の大学では
教わることはできません。

そんな地政学の全10回の大講義です。

ちなみに、米国のシナ大陸への関与は幕末に始まっていますが、
その当時、米国の地政学者、マハン(シーパワー提唱者)は
セオドア・ルーズベルトに提言を行なっています。

そして、シナ大好きの甥っ子フランクリン・ルーズベルトは
日本のシナ大陸への進出を挫く"ABCDライン"で日本封じ込めを行いました。
110年後の今日、オバマもアジア回帰政策を行うと宣言しました。

今、日本は歴史的に大きな岐路に立たされています。

今回の「地政学講座」は以下のような人のためにつくりました。

・日本の未来を予測したい人
・日本の安全保障を学びたい人
・違った視点で世界の戦争の歴史をおさらいしたい人
・欧米人基準の考え方で世界を見たい人
・軍事学に興味のある人
・ニュースで繰り返されるキーワード「地政学的リスク」を学びたい人

ご興味のある方は以下をクリック!!

http://www.realist.jp/geopolitics.html

つづきはこちら アメリカ通信バックナンバーへもどる


「戦略の階層」を解説するCD

戦略を語れない人生は奴隷だ

技術を制するのは高度な技術ではない。より上流階層からルール決めには対抗できない。
今こそ日本人は「戦略の階層」を学び、その全体像を理解しなければならない。

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このサイトはリアリズムについて学ぶ人を増やすためのサイトです。

さて、早速ですが、・ネオコンをはじめとする勢力が狙ってきた米国の世界一極覇権支配は、長くは続かない。・中国が膨張し、アジアの覇権をねらい、世界は多極構造になる。 90年代から上記のように予想し、米国内でも論争してきたのがリアリスト学派です。

リアリスト学派は、国家のパワー(軍事力、政治力、人口規模、経済力等)がもっとも大事な要素と考え、

正義やイデオロギー、理念は関係ない。国際関係はパワーで決まり、パワーを予測し戦略を立てよう

と考える学派で、19世紀の英国の行ったバランス・オブ・パワーを活用した大戦略を信条とします。

ところが「リアリスト」を自認する日本の親米保守派は、
「経済中心主義」で「安保無料(だだ)乗り」をし続けていますが、
実は、彼らは、以下の2点で決定的、かつ、致命的な誤りを犯していたのです。
そして、そうした日本の政策は、冷酷な米国のリアリストから、
単なる「バンドワゴニング」に過ぎない、と足元を見透かされているのです。

その2点とは、

(1)日本はアングロサクソン(米英)についていれば大丈夫。

(2)米国は「民主制度」と「法治」、「人権」を重んずる日本を信頼し、
   一党独裁の共産主義中国を嫌っている。

ということです。

まず、(1)については、
日英同盟時も上手くいった。だから、これからも米国についてゆけば大丈夫!
万事問題ないというものです。

しかし、我が日本が戦後60年間、幸いにして戦争に巻き込まれなかったのは、
ほとんど偶然の産物であったということは、強く認識しておく必要があります。

米国は国益に係わることならば、いとも簡単に「友達」を切り捨て、裏切る国である。
国論が変われば友好国をあっさり切り捨ててきたことは、これまでの歴史の事実が証明しています。

・日中戦争では、蒋介石を応援しつつも、途中から毛沢東支援にまわった。

・ソ連打倒のためには台湾(中華民国)を切り捨て、中華人民共和国と国交を結んだ。

・ベトナム戦争では出口がみえなくなり、結局南ベトナム支援からあっさり撤退した。

・米国が支援していた南ベトナムは崩壊し、大量の難民があふれ出た。

・イラン・イラク戦争の時、イランが戦争に勝って影響力が拡大することを恐れた米国は、
 サダムフセインに(イラク)に軍事的な支援をした。
 しかし、支援した米国は干渉してこないと思ったフセインは、その後クウェートに侵攻し、
 湾岸戦争、イラク侵攻と2度の戦争で米国に打ちのめされ、最後は米軍に捕まり処刑された。

如何でしょうか?

これでもまだあなたは、アメリカはずっと「友達」でいてくれる!

と思えますか?

次に、(2)についてですが、
欧米メディアなどの報道によれば、米国内における中国の工作員の数は激増しています。
更には、人民解放軍には「政治工作条例」なるものまであります。
彼らは世論戦、心理戦、法律戦からなる「三戦」の任務を与えられ、
まさに今、中国は国策として、米国内で「世論戦」を仕掛けている、というのが冷酷な事実です。

正義や真実でなく、ウソでも現実をつくれると考える中国の
カネも人員もかけたまさに「人海戦術」的な、この国家戦略が功を奏し、
すでに米国世論では「尖閣は日本が強奪した島だ」ということに傾き始めている・・・
この危険な状況を皆さんはご存知でしょうか?

-*- -*-

例えば、韓国との従軍慰安婦問題をみるまでもなく、
日本国内で、いわゆる「保守派」といわれる人達が、
どれだけ「真実」を主張しても、
同じ日本人であるはずの国内左翼勢力がこの外患に呼応するという、
典型的なパターンに陥っている事例は、枚挙に暇がありません。

白州次郎は「日本をプリンシプルのない国」と言いました。
しかし、残念ながら、この分析は現在の日本にも今だに当てはまっているのです。

これらの冷酷な事実を踏まえ、
本サイトで皆さんとともに真剣に考えていきたいのは、以下の2点です。

・日本はいかにして「パワー」を獲得すればいいのか?

・どんな国家像を描き、グランド・ストラテジーを立てればよいのか?

この二つの質問を念頭に据えて、米国のリアリスト思考を学び、
日本におけるリアリスト思考を広げ、リアリスト学派をつくっていく。

これが、このサイト、www.realist.jpの目的です。
あなたも是非議論に加わって下さい。



リアリスト思考を最初に日本にもたらした、
シカゴ学派、元フーバー研究所上席研究員、故・片岡鉄哉先生に捧ぐ

日本がこのままの状態でいけば、
少なくとも十年以内に、二流、三流の地位まで確実に堕ちていくことになる。
現在の日本の状況を冷静に見れば、
どう考えてもそういう結論しか出てこないのだ。
しかし、日本はそのまま堕ちっぱなしというわけではない。

何年後になるかわからないが、日本はしぶとく復活するはずである。
国家というのはいつまでも堕ちっぱなしということはなく、
反省して自覚した国民が生まれ、それが国を復興することになるからである。

そのときに、決定的に必要となつてくるのが「理想」である。

地政学の祖であるマッキンダーは、
「人類を導くことができるのは、ただ理想の持つ魅力だけだ」
と言っている。

しかし彼は、同時に現実を冷静に見る目を
忘れてはならないことを鋭く警告している。
それが地理と歴史を冷静に分析した、
地政学という学問が与えてくれる視点なのである。
彼が一九一九年に発表した『デモクラシーの理想と現実』
という本の題名は、このような理想と現実のバランスの大切さを訴えている。

世界はこれから「カオス化」していく。
これはつまり、世界はこれからますます複雑化した
先の見えない場になるということである。

そして日本は、「カオス化」された状況の中で
自立を目指さなければならないし、
むしろ自立せざるを得ない状況に追い込まれることになるかもしれない。
そして、その中で世界に伍していくためには、
日本人は何よりもまず、リアリズムの思考法を身につけなければならない。

日本人は自分で責任を持って戦略を考えるという思考を捨ててしまい、
安易に平和的な解決だけを求めるという体質が染みついてしまった。
たとえば、外交における戦略も「善か悪か」で判断するため、
善を探そうとするあまり、次の一手がどうしても遅くなる。

しかも、日本が「善かれ」と思って世界に主張したことは、
まずもって善として見られていない。
他国はリアリズムの視点で「日本が何を狙っているのか」
と冷酷に見ているのだ。
だからこそ、わが国も外交戦略を「善悪」ではなく、
「強弱」で見るように訓練しなければならない。
「強弱」とは、現在わが国にとって、
この政策は他国と比べて立場を強めてくれるのか
弱めるものかという冷静な判断である。

弱いのであれば、より強い政策を打ち出さなければならないし、
強いものであれば、政策をより国益に近づけなければならない。
こうしたリアリズムの思考を身につけることは、
むしろ「国際的なマナー」なのである。