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地政学を英国で学んだ
しばらくお待ち下さい。
2013年04月18日 戦略とは壮大な"ウソ"である。

共同管理人の和田です。

『Newsweek』の最新号(2013年4月23日号)
にこんな記事がありました。

「世界が見誤る金正恩ワールド」。

(引用はじめ)

2月末に金正恩がアメリカのプロバスケットボール選手の
デニス・ロッドマンと親しげに言葉を交わしたときには、
CIA(米中央情報局)の某アナリストでさえ
「これは彼が我々と向き合いたがっているという強い兆候」
だと歓迎した。

それが軍事的な意味で「向き合う」ことだとは
誰も思わなかったが、実際にはこれと前後して
正恩はアメリカや韓国を「火の海」にすると言い出したのだ。

(引用おわり)

上記のようなエピソードをもちだし、
金正恩が瀬戸際外交をしつつも、
いかに世界から注目されたままの状態を保っていることが書かれています。

以前も米朝で食糧援助を決めた直後、
まだ支給以前のタイミングでミサイルを発射するという、
常にウラをかく手法をとっています。

祖父の金日成、父の金正日はまだ予測ができましたが、
彼の行動は中々予想できません。
ある意味では、米国外交すらを上回る行動とも言えます。

つまり、言うなれば、金正恩の「パワー」の源泉は、
「予想外である」ことと言えるのではないでしょうか。

「"何をしでかすのかわからない..."ということがパワーになるの?」
という疑問を抱く人もいるかもしれませんね。
ですが、奥山さんの「戦略の階層」を思い出してみて下さい。

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戦略はフェイク(ウソ)であり、戦術はファクト(事実)です。
そして、シナや南北朝鮮はウソばかりで固めているわけです。

「事実があればいつかは勝てる」

「正しいことをしていれば、わかってもらえる」

一般的な日本人の多くは、そう考えているように思います。
しかし、なかなかそうはならないことは、
日本と、かの国々との歴史的経緯を冷静に視てみれば明らかです。

いわゆる「南京大虐殺」問題しかり、いわゆる「従軍慰安婦」問題しかり。
もちろん、ホットな話題である「尖閣」や「竹島」の問題しかりです。

ウソばかりついている国家などは、
私たち日本人からすれば理解に苦しみますが、
最後は国際社会の評価という点では、彼らの主張のほうが、
歴史の事実になることが多々あるのです。

事実(戦術)より、戦略(ウソ)が上なのです。

これは、日本人自身が思っているよりも、重大で致命的問題です。
そして、当の日本人がこのことに気付いていないことはさらに大問題です。

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戦略とは「まだ実現できていないが実現したい未来」であり、
「ハッタリ」であったり「ウソ」であるのです。

真面目な物作り大国である日本ぬきでは世界経済は回らない
と言われつつも、世界的経済発展からは置いていかれ、
日本は20年不況に沈んでいます。

真面目な物作りを放棄し、
コピー生産でやり過ごした中国、韓国や、
金融や情報産業で成長した欧米のやり方を、
ただ揶揄して溜飲を下げているだけではダメで、
そのやり方、やり口を「識る」ことが重要です。

世界が日本人だけであればいいのですが、
世界には大ウソつきでそれだけでやってきた国もあるのです。
ここは、わたしたちも、キッチリとウソを見抜けるようにならなければなりません。

経済支援を続けていれば、いつかそのうち対話の機会が生まれると信じてきた、
そんな"お花畑"の発想では、これからいよいよ厳しさを増す国際情勢の中では、
到底、生き残っていくことなど出来ません。

中国や北朝鮮は、あたかも「戦術は関係ない、戦略だけでいい」
と考えて行動しているかの如くです。

そして、日本はといえば、現状では、その逆になってしまっていますが、
そもそも、「戦術」というフェーズは、日本の得意技とも言えるわけで、
あとは、これに加えて「戦略」を構築すればよいのです。

「そもそも、戦略とは何なのか?」
まずは、ここをしっかりと腑に落とすことが大切なのです。

( 共同管理人 和田 )

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さて、早速ですが、・ネオコンをはじめとする勢力が狙ってきた米国の世界一極覇権支配は、長くは続かない。・中国が膨張し、アジアの覇権をねらい、世界は多極構造になる。 90年代から上記のように予想し、米国内でも論争してきたのがリアリスト学派です。

リアリスト学派は、国家のパワー(軍事力、政治力、人口規模、経済力等)がもっとも大事な要素と考え、

正義やイデオロギー、理念は関係ない。国際関係はパワーで決まり、パワーを予測し戦略を立てよう

と考える学派で、19世紀の英国の行ったバランス・オブ・パワーを活用した大戦略を信条とします。

ところが「リアリスト」を自認する日本の親米保守派は、
「経済中心主義」で「安保無料(だだ)乗り」をし続けていますが、
実は、彼らは、以下の2点で決定的、かつ、致命的な誤りを犯していたのです。
そして、そうした日本の政策は、冷酷な米国のリアリストから、
単なる「バンドワゴニング」に過ぎない、と足元を見透かされているのです。

その2点とは、

(1)日本はアングロサクソン(米英)についていれば大丈夫。

(2)米国は「民主制度」と「法治」、「人権」を重んずる日本を信頼し、
   一党独裁の共産主義中国を嫌っている。

ということです。

まず、(1)については、
日英同盟時も上手くいった。だから、これからも米国についてゆけば大丈夫!
万事問題ないというものです。

しかし、我が日本が戦後60年間、幸いにして戦争に巻き込まれなかったのは、
ほとんど偶然の産物であったということは、強く認識しておく必要があります。

米国は国益に係わることならば、いとも簡単に「友達」を切り捨て、裏切る国である。
国論が変われば友好国をあっさり切り捨ててきたことは、これまでの歴史の事実が証明しています。

・日中戦争では、蒋介石を応援しつつも、途中から毛沢東支援にまわった。

・ソ連打倒のためには台湾(中華民国)を切り捨て、中華人民共和国と国交を結んだ。

・ベトナム戦争では出口がみえなくなり、結局南ベトナム支援からあっさり撤退した。

・米国が支援していた南ベトナムは崩壊し、大量の難民があふれ出た。

・イラン・イラク戦争の時、イランが戦争に勝って影響力が拡大することを恐れた米国は、
 サダムフセインに(イラク)に軍事的な支援をした。
 しかし、支援した米国は干渉してこないと思ったフセインは、その後クウェートに侵攻し、
 湾岸戦争、イラク侵攻と2度の戦争で米国に打ちのめされ、最後は米軍に捕まり処刑された。

如何でしょうか?

これでもまだあなたは、アメリカはずっと「友達」でいてくれる!

と思えますか?

次に、(2)についてですが、
欧米メディアなどの報道によれば、米国内における中国の工作員の数は激増しています。
更には、人民解放軍には「政治工作条例」なるものまであります。
彼らは世論戦、心理戦、法律戦からなる「三戦」の任務を与えられ、
まさに今、中国は国策として、米国内で「世論戦」を仕掛けている、というのが冷酷な事実です。

正義や真実でなく、ウソでも現実をつくれると考える中国の
カネも人員もかけたまさに「人海戦術」的な、この国家戦略が功を奏し、
すでに米国世論では「尖閣は日本が強奪した島だ」ということに傾き始めている・・・
この危険な状況を皆さんはご存知でしょうか?

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例えば、韓国との従軍慰安婦問題をみるまでもなく、
日本国内で、いわゆる「保守派」といわれる人達が、
どれだけ「真実」を主張しても、
同じ日本人であるはずの国内左翼勢力がこの外患に呼応するという、
典型的なパターンに陥っている事例は、枚挙に暇がありません。

白州次郎は「日本をプリンシプルのない国」と言いました。
しかし、残念ながら、この分析は現在の日本にも今だに当てはまっているのです。

これらの冷酷な事実を踏まえ、
本サイトで皆さんとともに真剣に考えていきたいのは、以下の2点です。

・日本はいかにして「パワー」を獲得すればいいのか?

・どんな国家像を描き、グランド・ストラテジーを立てればよいのか?

この二つの質問を念頭に据えて、米国のリアリスト思考を学び、
日本におけるリアリスト思考を広げ、リアリスト学派をつくっていく。

これが、このサイト、www.realist.jpの目的です。
あなたも是非議論に加わって下さい。



リアリスト思考を最初に日本にもたらした、
シカゴ学派、元フーバー研究所上席研究員、故・片岡鉄哉先生に捧ぐ

日本がこのままの状態でいけば、
少なくとも十年以内に、二流、三流の地位まで確実に堕ちていくことになる。
現在の日本の状況を冷静に見れば、
どう考えてもそういう結論しか出てこないのだ。
しかし、日本はそのまま堕ちっぱなしというわけではない。

何年後になるかわからないが、日本はしぶとく復活するはずである。
国家というのはいつまでも堕ちっぱなしということはなく、
反省して自覚した国民が生まれ、それが国を復興することになるからである。

そのときに、決定的に必要となつてくるのが「理想」である。

地政学の祖であるマッキンダーは、
「人類を導くことができるのは、ただ理想の持つ魅力だけだ」
と言っている。

しかし彼は、同時に現実を冷静に見る目を
忘れてはならないことを鋭く警告している。
それが地理と歴史を冷静に分析した、
地政学という学問が与えてくれる視点なのである。
彼が一九一九年に発表した『デモクラシーの理想と現実』
という本の題名は、このような理想と現実のバランスの大切さを訴えている。

世界はこれから「カオス化」していく。
これはつまり、世界はこれからますます複雑化した
先の見えない場になるということである。

そして日本は、「カオス化」された状況の中で
自立を目指さなければならないし、
むしろ自立せざるを得ない状況に追い込まれることになるかもしれない。
そして、その中で世界に伍していくためには、
日本人は何よりもまず、リアリズムの思考法を身につけなければならない。

日本人は自分で責任を持って戦略を考えるという思考を捨ててしまい、
安易に平和的な解決だけを求めるという体質が染みついてしまった。
たとえば、外交における戦略も「善か悪か」で判断するため、
善を探そうとするあまり、次の一手がどうしても遅くなる。

しかも、日本が「善かれ」と思って世界に主張したことは、
まずもって善として見られていない。
他国はリアリズムの視点で「日本が何を狙っているのか」
と冷酷に見ているのだ。
だからこそ、わが国も外交戦略を「善悪」ではなく、
「強弱」で見るように訓練しなければならない。
「強弱」とは、現在わが国にとって、
この政策は他国と比べて立場を強めてくれるのか
弱めるものかという冷静な判断である。

弱いのであれば、より強い政策を打ち出さなければならないし、
強いものであれば、政策をより国益に近づけなければならない。
こうしたリアリズムの思考を身につけることは、
むしろ「国際的なマナー」なのである。